社会

なぜ日本の原発ALPS処理水はこんなに問題視されるのか

アイキャッチ画像:president online

日本の原発で発生した放射性物質を含む水の海洋放出について中国、韓国などがゴチャゴチャ言っていますがなぜ岸田首相自らこれらの国々に対して「処理水は人体に安全である」と毅然と言えないのでしょうか。

私は別に日本政府や東京電力の肩を持つ気はサラサラありません。

むしろ岸田内閣や東電は大嫌いです。

しかし下記のような世界の原子力発電所からの放射性物質の海洋排出のデータを見ると日本の放射性物質の排出はむしろ少ない方です。

中国や韓国は何をそんなにわめいているのでしょうか。

そこには日本の政治家やマスコミにも問題がありそうです。

国内でも問題になっている放射性物質トリチウムの問題

原発で発生した汚染水を多核種除去設備「ALPS(アルプス)」に通してこし取り、放射性物質の濃度を下げ、汚染処理水として敷地内のタンクに保管します。

アルプスは62種類の放射性物質を国の基準値以下に除去できるが、トリチウムと炭素14は取り除けません。

トリチウムは水素の仲間で化学的にも水素とほぼ同じで自然環境の中でほとんど酸素と結びついて水と混じっており、その除去は困難です。

放射性物質のトリチウムは水素の仲間です。化学的な性質も水素とほぼ同じで、自然環境の中ではほとんどが酸素と結びついて普通の水と混じっており、除去が難しい。

このトリチウムはベータ線と呼ばれる放射能を出しますがその力は弱く紙1枚で遮ることができます。

一方炭素14もベータ線という放射線を発生させる物質で安定な元素である窒素14に変化します。

このトリチウムを海洋放出すると問題があるとかないとかいろいろな学者や環境団体が発言しているのです。

特に国内では地元福島県では実被害とともに風評被害を心配しているのです。

処理水の海洋放出に対する問題点

・処理水ではトリチウムと炭素14を取り除けない

・処理水には上記2つの放射性物質以外にも放射性物質が残存している可能性がある(その存在を日本政府・東電が誤魔化している)

・処理水を海洋放出するときに正確な処理水のデータを公開しない

・トリチウムが海洋放出されても一定に希釈されるかどうかわからない

・福島の地元漁業関係者に納得のいく説明ができていない

まだまだありそうですがより専門的な話になってくるのでこのへんで。

要は東電や日本政府の説明が信用されていないということです。これまでの福島原発問題から考えてそう思われてもしようがない面がありますね。特に東電を初め電力会社は極め付けの隠蔽体質の会社ですから。

しかしトリチウムは日本だけでなく原子力発電所を持つ海外の国々では福島以上にトリチウムを海洋放出しています。

汚染水と処理水

ここで汚染水と処理水の違いを説明します。

「汚染水」とは原子炉内の冷却水が溶け落ちた核燃料(デブリ)に接触したり建物内に侵入した雨水た地下水がその冷却水と接触したときの高濃度の64種類の放射性物質を含んだ水を言います。

「処理水」は汚染水をALPSで処理した水を言います。

世界の原発の放射性物質(トリチウム)の年間排出量

下記のデータから日本のトリチウムの排出量はむしろ少ない方だとわかります。

もっと簡単に中国や韓国のと日本のトリチウムの液体放出量を比較すると下記の通りになります。

出典:産経新聞

さらに別の原子力発電所から見やすいデータで見ればこんな感じ。

各国の原子力施設から排出されるトリチウムの総量

国名施設名排出量基準年
日本福島第一原発22兆ベクレル2023年以降
韓国月城原発23兆ベクレル2016年
中国泰山第三原発143兆ベクレル2020年
米国キャラウェイ原発42兆ベクレル2002年
カナダダーリントン原発241兆ベクレル2015年
フランスラ・アーグ核燃料再処理施設1京3,700兆ベクレル2015年
出典:国際情報ネットワークIINA(笹川財団)

注)ベクレル(Bp)は放射能の強さを表す単位。

本当に中国、韓国は自分のことを棚に上げて何を言っているのやら。

特に中国の排出量は日本と桁違いに多いのです。

韓国は相変わらず野党や反日活動家が中心になって「反日ビジネス」をやっているだけですが、中国はもう完全に共産党の政策としてやっているのです。

現実に中国は日本の多くの水産物の輸入を全面的に禁止しました。しかし中国沿岸で獲れる海産物に関しては何の制限もしていません。

それどころか日本近郊に来て相変わらず魚を乱獲しているのですから空いた口が塞がりません。

中国はなんでもあり、ということはよく耳にしますが本当に節操がない自己中の国なのです。

また韓国にいたっては水道水から大腸菌は発見されたりするほど下水処理設備などのインフラが不十分で不衛生な国なのに日本にとやかくいう前に自国のことを心配するべきです。ましてや日本以上に原発処理水を放出しているのですから。

日本国内でも海洋放出は反対する運動がありますがそれはほとんど風評被害を心配してのことです。

なぜここまで原発処理水海洋放出が問題になったのか

日本の原発処理水の海洋放出はIAEA(国際原子力機関)も容認しておりかつ世界中の原子力発電所が放射性物質を放出しているのにも関わらず日本だけがなぜこんなに騒がれるのでしょうか。

ポイントは3つ考えられます。

(1)日本政府の説明の仕方が不十分だから

とにかく日本政府は何事にも国民やマスコミへの説明が下手なのです。「処理水の海洋放出は安全である」という確固たる科学的説明をわかりやすく説明できていないのです。

さらに野党にも処理水の海洋放出に反対するヤカラがいるので統制がとれないということもあります。韓国と共闘している国会議員もいます。

確か公明党も当初反対だったのでは。

(2)日本のマスコミが海洋放出に対して懐疑的だから

日本政府が懸命に処理水の放出が安全と唱えてもそれが日本のマスコミに十分響かず安全性に対して懐疑的になった結果風評被害が大きくなったことが挙げられます。

また日本のマスコミは科学的・論理的思考ができる人材が少なく処理水の海洋放出が本当に安全なのか理解できないのではないでしょうか。

これは日本の研究者にもさまざまな考え方がありベクトルが逆向きになっているのでマスコミが判断できないのです。

さらに経済に関しても財務省から提出されるデータを裏を取らずにそのまま報道していますから。日本のマスコミの調査・分析能力、さらに批評精神の欠如がここにも現れています。

(3)政権与党は親中派だから

さらに中国や韓国の政治的攻撃に対しての批判も日本のマスコミは少ないのが問題です。

特に中国に対しては日本政府だけでなく日本のマスコミもツッコミが不十分です。

また岸田首相がリーダーの宏池会、二階俊博がリーダーの志師会、そして公明党は親中派として知られています。

親中、媚中なので中国に遠慮して強く出ていけません。

これが一番の問題なのかもしれません。

とにかく上記の2派閥と公明党の親中振りは有名でこれらの政治家をなんとかしないと中国共産党の思う壺になる(あるいはなっている)と言われる所以です。

(4)そもそもIAEA(原子力機関)が信用できないから

IAEAには日本が10%強出資しておりさらに多数の職員を派遣しています。

したがって日本に有利になるような発言をしている可能性があります。

終わりに

日本の原発処理水の海洋放出がこれほど問題になったことはありません。

中国や韓国が日本近海で獲れる魚介類を食することができないのであれば、日本以上に処理水を放出していた中国や韓国はすでに自国近海の魚介類は食せないでしょう。しかし平然と食しています。自国の国民がそれで健康を害したのでしょうか。

この問題は多分に政治的な問題に利用されていることは誰もがわかっています。

しかし日本政府は適切に反応しているとはとても思えません。

岸田さんじゃ無理でしょうね。

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