アイキャッチ画像:ヘルスUP(日経電子版)
週3回のジムでいつも姿を見かけた30前後の男性が全くその姿を見せなくなったのは3回目の緊急事態宣言以降です。しかし先日ジム近くで駅方向へ向かうスーツ姿を見かけました。ジムへ行く時間を早めたのでしょう。なんだかホッとしました。
目次
高齢者の下半身の筋肉減少はすごい
5月中旬から右膝に痛みを感じてからもう2ヶ月あまりまともに下半身の筋トレをやっていないので右脚の筋肉がかなり落ちてきたのを目視できます。
左脚は自重でブルガリアンスクワットをしているのでまだなんとか維持していますが加重トレーニングではないのでやはり筋肉減少は起こっています。
今現在は下半身のウエイトトレーニングを我慢して休養に努めて主に自重トレとストレッチに重点を置いています。
私がストレッチをする時間帯になると80歳前後の高齢男性もストレッチにやってきます。
もう何年も前から見かける高齢者でジムにも毎日来ているようです。以前は膝があまり曲がらず本当にトボトボ歩いていました。
そのせいか何度か有料のトレーナーについていろいろ指導を受けていました。
それが今では開脚などは私より大きくできますしいろいろなストレッチ種目をこなしています。私も最近ときどきやっている膝伸ばしもやっておりこの人も変形性膝関節症の発症者かと思ったりしました。
ただその中で気がついたのはつま先を上げて真っ直ぐ伸ばした脚を上げたり下げたりする運動で脚を上げたとき太ももの前面にはっきり大腿骨だけが太く浮かび上がり太もものお肉は重量によりプランプランと垂れ下がっていました。(最初見たときは内側広筋かと思いました)
太もも全体の太さは私より太い(私が細いだけか)のですが筋肉量がかなり落ちているようです。
高齢者はこんなにも筋肉がなくなってしまうものなのかと驚きました。
日本人の多くは大腿四頭筋(太ももの前面)が発達しやすくハムストリング(太ももの後面)は発達しにくいと言われていますがこの高齢者もそれに当てはまるようです。
また腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)も衰えが目立ちます。
一般に筋トレでもなかなかこの部位は肥大しません。その理由は日々歩いて使っているのでもともと筋持久力がありなかなか筋肉肥大には至らないのです。ボディビルダーもここを鍛えることに苦労しています。
しかし第二の心臓と言われているふくらはぎは下半身を流れる血液(静脈で老廃物を送る)を心臓まで送り届ける役目をしており非常に重要な部位なのです。
この部位を鍛えるためには一般につま先立ち運動が良いとされ、ジムではバーベルを担いで加重トレーニングしている人を見かけます。
変形性膝関節症の対処法にレッグエクステンションは正しい?
整形外科医は高齢者や変形性膝関節症に発症者に対して下半身の筋トレを薦めますがその種目は決まってレッグエクステンションと言います。筋トレなどしたことがないような彼らの決まり文句で私も言われました。事前チェックでスポーツ欄に「筋トレ」「登山」と書いたのにです。
その推奨理由は「大腿四頭筋に特化した種目であること」と「膝に過負荷がかからないこと」の2点が挙げられます。
しかし膝関節に負荷がかからないようにその周囲の筋力をアップすることは大切なのですがレッグエクステンションは本当に膝関節に過負荷がかからないのでしょうか。
レッグエクステンションは上のイラストのようにマシンを使って膝下に負荷をかけて伸ばす筋トレ種目です。単関節種目で大腿四頭筋をターゲットにしています。
このレッグエクステンションは膝下を伸ばしきったところで大腿四頭筋に最大負荷がかかるのでジムのトレーナーは「最後まで脚を上げきってください」と言うはずです。
しかし、この上げきる動作が一番膝関節には危険なのです。それはこのときにせん断力が膝関節にかかってしまうからです。
せん断力とはハサミで紙を切る力です。下のイラストのように脛骨には上方向に力が加わり、大腿骨には下方向に力が加わります。これによって膝関節にせん断力が働くのです。
特に膝関節内の全十字靭帯や半月板などに過負荷がかかります。
したがって膝に異常のない人には問題なくとも膝関節に問題を抱えている人には要注意な筋トレ種目となります。
膝痛にならないためのレッグエクステンション
一般にレッグエクステンションは足首より少し上のスネ(脛骨)にパットを当てて真っ直ぐ脚を上げる動作をします。
このときつま先は真っ直ぐ上を向くように指導されるのが定石です。
しかし膝下の脛骨は伸ばすときは自然と外旋(つま先が少し外側を向く)するようにできているのでそれを無視してつま先を真っ直ぐ上に向けたままで脚を上げると膝に過負荷がかかるようになります。
この動作を繰り返すことによって膝痛の原因になっていく場合があるのです。
したがってより安全にレッグエクステンションをする場合は脚を伸ばしきるときにつま先を少し外側に向けるといいでしょう。(このときつま先は寝かせないで立てること。)
また高重量を狙うのではなく最初は軽重量で20回x3セット程度で行い、少しずつ重量を増やし15回x3セット程度にしましょう。あくまでも高重量ではなく中重量まで。
膝関節の保護には大腿四頭筋の筋トレだけでは不十分
また大腿四頭筋の他に特に大臀筋、中臀筋、ハムストリング、腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)、内転筋を鍛える必要があります。
ハムストリングは大腿四頭筋の拮抗筋ですので両方の筋力のバランスをとることが必要でどちらから一方的に強かったり弱かったりすると下半身の関節(足首、膝、股関節など)に不具合を起こしやすくなるのです。
上記の筋肉にも同様のことが言え、どれもバランス良く強くなけばいけません。
また筋トレ後のストレッチは入念にしましょう。
膝痛の原因および対処法は筋トレだけでは不十分
膝痛の原因の一つに下半身の筋力不足が挙げられます。特に高齢者には該当する場合が多く見受けられます。しかし、それよりも可能性がある原因には様々な原因があります。
骨格のアライメントの問題
O脚、X脚、がに股など骨格上の問題によって膝痛を起こします。
股関節の内旋・外旋、脛骨の内旋・外旋、足首の内反・外反などいろいろな問題が連動して起こります。
歩行・走行の姿勢が悪い
歩き方や走り方が適切でないと膝に過負荷がかかり膝痛になる場合が多々あります。これは上記の骨格のアライメントの問題と密接に関連しています。
筋肉や腱などに柔軟性がない
腸腰筋(大腰筋と腸腰筋)は腰椎や腸骨と大腿骨をつないでいるインナーマッスルですがここが硬いと無理な歩行姿勢となり股関節、膝間接、足首の関節ばかりではく腰痛の原因にもなります。
大腿四頭筋、ハムストリングや腓腹筋が硬くても膝に過負荷がかかりやすくなるのです。
まとめ
・膝関節に不安を抱えている人が下半身の筋トレをする場合整形外科医はレッグエクステンションを推奨しますが全面的に真に受けてはならない
・レッグエクステンションをする場合はつま先を少し外側に向ける
・膝の保護や膝痛の対処法として必要な筋肉は大腿四頭筋だけでは不十分
・下半身の筋肉をバランス良く鍛えることが膝の保護につながる
・膝痛の原因は下半身の筋力不足だとは限らない
・膝痛の原因の多くは骨格のアライメント、歩く姿勢、走る姿勢、骨格筋や腱の柔軟性の問題である
・整形外科医はX線、MRIなどの検査、診断、手術および痛み止めの処方のみでそれ以外のことを求めてはいけない
・整形外科医は痛みの取り方や筋トレのやり方は知らない
・高齢者の下半身の筋力の衰えは自分たちの想像以上だと心得ること
・歩くときに歩幅が短い、膝があまり曲がらない、猫背などはサルコペニア予備軍である
・ちなみに高齢者の転倒予防体操はこちらのサイトで
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