アイキャッチ画像:Business Insider
最近新聞やデジタルニュースでアメリカでのアジア系へのヘイトクライム(差別犯罪)を目にする機会が多くなりました。
路上でフードを被って顔が見えないようにした男性?がアジア系の年配女性を突き飛ばした動画もありました。
つい先日もアトランタでアジア系のマッサージ店が銃撃され韓国系女性4人が死亡した記事があり、犯人は若い白人男性でした。
以前ニューヨークの地下鉄構内で日本人男性のジャズミュージシャンが複数の黒人に襲われ重傷を負った記事もまだ記憶に残っています。しかし、これは現地の新聞には載っていませんし犯人も捕まっていません。捕まえる気がないのかもしれません。
アジア系アメリカ人が狙われるのはトランプ前大統領が自分のコロナ対策の失敗を隠すために新型コロナウィルスを「中国ウィルス」と呼んで中国非難をしていたので一部のアメリカ国民が中国嫌悪→中国人嫌悪→アジア系アメリカ人嫌悪になってしまったのは誰もが知っていることです。
アメリカ人にとって中国人も韓国人も日本人も区別できませんからアジア系を勝手に中国系とみなしたのです。あるいは中国系でなくても良かったのかもしれません。犯罪者から見ればコロナ禍における単なるストレス発散なのかもしれないからです。
こういったヘイトクライムの犯罪者もアメリカ社会ではマイノリティで弱者な場合が多いのです。
以前黒人が白人警察官に殺される事件が続き”Black lives matter”なんて言葉が流行りましたが、あれは一体だんだったのでしょうか。
白人に差別されている黒人がアジア系アメリカ人を差別し攻撃するなんて。
コロナ禍では黒人だけではなくヒスパニック系アメリカ人もアジア系アメリカ人を襲ったりしています。
黒人もヒスパニック系アメリカ人も以前はアメリカ社会ではマイノリティでしたが、現在では黒人とヒスパニック系を合わせると決してマイノリティではなくなっており、近い将来アメリカでは白人がマイノリティになると言われています。
ニューヨークではアジア系アメリカ人の人口は16%ですが、彼らは「永遠の外国人」とみなされていると言われています。
そのため2020年のヘイトクライムによるアジア系アメリカ人の犠牲者は28人でしたがここ3年で最も多くなっています。しかしこの数字もニューヨーク警察がヘイトクライムと認定した数であり、実際はもっと多いと言われいます。
確かにニューヨークの警察は黒人だけでなくアジア系人種が事件に巻き込まれても大した捜査をしないという話は耳にします。
彼らニューヨークの警察官が不祥事(誤認逮捕、誤認殺人など)を起こしても「揉消す」なんて保身のために多々あるようです。
こういった警察官への従来からの不信感も”Black lives matter”につながっています。
またアジア系アメリカ人は黒人に比べておとなしく、あまり積極的にアメリカ社会で発言しないので「弱者」「弱虫」として軽視されているのかもしれません。
コロナ感染が始まって以来アメリカではアジア系や太平洋島民へのヘイト事件は3,000件を超えています。
トランプ前大統領がアメリカが分断国家であることをより鮮明にしました。
分断国家というのは、従来の「白人と有色人種」、「貧困層と富裕層」に加え「白人の貧困層とそれ以外」、もしくは「白人の貧困層と白人の富裕層」に社会が分断され互いに敵対しているということです。
ヘイトクライムは人種的には白人→黒人→ヒスパニック→アジア系(ネイティブアメリカンを含む)の順に差別しておりアジア系はほとんど差別される底辺にいます。
差別されるものがよりマイノリティを差別する負のスパイラル。
注)しかしアジア系アメリカ人は大学の入学の優遇措置ではマイノリティに入らないのです。なぜなら真面目で比較的裕福だからがその理由のようです。おそらく中国人、インド人そして日本人を見ていっているのでしょう。
この辺りはちょっとアジア人は中途半端な扱いを受けているようです。
またこのヘイトクライムを行う人たちに共通するものは「貧困」です。
貧困から来る教育水準の低さが問題なのです。トランプ前大統領の支持層は貧困層の白人で低学歴が多いのは周知の事実です。
よく海外の学者は日本は移民を受け入れないので「多様性がない」とか「外国人嫌い」とか言いますが、アメリカのような移民国家には必ずこのような人種問題と貧困問題が付きまといそれに伴って犯罪が増加するのです。
ドイツもたくさんの移民を受け入れていますがその中でも昔からトルコ系が多くドイツ人は彼らに同化を求めています。したがって同化できない(しない)トルコ系ドイツ人はドイツ社会では不遇な存在です。
そして失業したり生活環境の悪化は移民のせいと人種問題からナチズムなどの極右グループが勢力を伸ばしています。もうそれは組織的で現職警察官や兵士までいて武器弾薬やそれらにかかる費用を出費するパトロンまでいる始末です。
移民を受け入れることは本当に簡単なことではありません。
日本では技術実習としてアジアや南米(主にブラジル)から多くの外国人を受け入れていますが彼らが日本で家族を形成するようになるとその親たちの経済的理由により満足に学校へ行けず日本語の理解力が不足している子供達が大きくなってもまともに就職できない状態が続きます。そうするとその移民の一部は犯罪に走る場合が多々あるのです。
日本政府は外国人労働者を受け入れる場合が彼ら及び彼らの家族の教育問題まで考慮に入れる必要があります。
アメリカやドイツ、その他の国々における人種差別は日本にとって対岸の火事ではありません。
日本人だってすでに在日やアイヌ、同和問題を抱えています。
また最近よく話題になるのがベトナム人技術実習生による犯罪です。多額の借金をして日本に来てもこのコロナ禍で失業し自国へ借金の返済ができなくなったり生活が苦しくなって犯罪に走るのです。
日本の習慣や秩序を守りたいと考えるのは当然のことですが、自国の常識を単に押し付けるのではなく移民の文化を尊重することも大事になってくるのです。
日本人には欧米と比べても他人を思いやる気持ちがありますが、果たして今の日本人には移民に対してそれだけの寛容な精神があるのでしょうか。
生来自己中な私は他人に寛容な精神はあまり持ち合わせていませんが、ある意味良くも悪くも鈍感な面があるので私に害を及ぼさない限り移民に対して干渉しないかもしれません。
欧米で移民を受け入れているのは日本と同様に労働力不足だからです。また日本よりも移民に対して一見寛容そうに見えるのは欧米の人たちが日本人以上に個人主義だからでしょう。要は古来から異国人の行き来があった国々ですので異人慣れしているのかもしれませんね。
余談ですが、日本は単一民族と思っている日本人が多いようですが、日本人の顔を見て分かる通り、モンゴル系、太平洋(ミクロネシア、ポリネシアなど)系、中国系、コーカソイド(ヨーロッパ)系などいろいろな人種が混じっています。
ちなみに日本のアイヌ人はコーカソイド系になります。
もっともこれらは1万年以上前の話ですが、数百年前でも西日本を中心に中国や朝鮮半島経由で渡来してきた人たちは結構いたのではないでしょうか。
そうすると日本人が本当に単一民族であることは大分怪しくなってきていますね。
参考記事:『日本人による国内での人種差別は様々でさりげなく無自覚です』
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