アイキャッチ画像:産経新聞
私が学生時代(40年程前)「SE」という言葉が生まれました。それまでSEといえばシステムエンジニアのことでしたが、もう一つ「セールスエンジニア」という意味で使われるようになったのです。
セールスエンジニアとは簡単に言うと理科系出身者の営業マンのことです。
従来営業は文科系出身者と相場が決まっていました。当時理科系出身者は口下手で人間関係に疎いというレッテルを貼られており、一方で理科系出身者は営業なんてバカがやることと馬鹿にしていました。
それまでメーカーの営業マンは一人で顧客に自社製品の売り込みに行ったりその製品が受注後技術的問題を起こすと技術系社員を連れて行き問題解決をしたりしていました。あるいは売り込みの時もより技術的製品知識の深い技術系社員を連れて行ったりしました。
理科系出身者の台頭?
しかし時代は変わって売り込みからトラブルシューティングまで一貫して一人でできれば経費削減になることから理科系出身者が営業マンになるようになったのです。
またいわゆる体育系出身の営業マンは縦社会の日本株式会社では上下関係を重んじリーダーシップを発揮したりするのですが、論理的思考に乏しく上司の単なるイエスマンになるというデメリットも多々あったのです。
このため理科系出身者が営業をすることが多くなり現在では下記のような大手企業でも理科系出身者の社長が徐々に生まれてきています。
日本の政治家は文科系出身者だからダメなのか
新型コロナ感染対策で迷走する安部政権ですが、安部首相をはじめ日本のほとんどの政治家は文科系出身者です。
外交ではあれほど雄弁に語っていた安部首相ですがコロナ対策になると途端にシドロモドロになってしまいました。きっと頭の中は何が何だかわからずぼ〜っとしているのかもしれません。
文科系出身者の安部首相及び周囲のお友達ではコロナに関する医学的、科学的な会話は無理だったのでしょうか。それとも単に論理的思考ができない人だったのでしょうか。
しかしもしそうであれば理科系出身者である鳩山元首相(東京大学工学部出身)、菅元首相(東京工業大学出身)は論理的思考を持って適切に日本をリードしたのでしょうか。
結果はご存知の通りで理解不能の言動はもやは日本国民からも見放された宇宙人の鳩山さんと東日本大震災でリーダーとしての迷走・無能振りを遺憾なく発揮した「イラ菅」の菅さんです。
しかし一方で中国の首脳陣はほとんど理科系出身者です。それではこの事実をどう考えればいいのでしょうか。
中国首脳に理科系出身者が多いのはなぜか
下記は「池上彰のNewsweek斜め読み」からの引用です。
でも、胡錦濤国家主席や温家宝首相など理系指導者がどうして多かったのか、この記事ではわかりません。
実はこれ、文化大革命のせいなのです。胡主席や温首相の学生時代、文化大革命の嵐が吹き荒れました。このとき文科系学生の多くが、紅衛兵として「革命」の真っ只中に突入し、内ゲバで死傷したり、反革命として処刑されたりしたのです。
学内の嵐に無関心だった理系の学生だけが、嵐を生き延びることができました。胡主席や温首相の世代は、他に優秀な人材が残っていなかったため、結果として理系指導者が台頭したという背景があります。
革命の嵐が過ぎ去って平穏な社会になれば、政治や経済、法律に関心のある文系の人材が台頭するのは、世の習いです。
「なるほどそうだったのか」ですね。
そうすると日本が新型コロナで迷走する原因には理科系・文科系の関係が全くないいうことになるのでしょうか。
科学技術知識・分析力に乏しい日本のメディア
日本の新聞・テレビ局の記者はほとんど政治・経済・法律学科が出身の主流ではないでしょうか。
東日本大震災の時に毎日東京電力の社員(広報)が放射能リーク量と発電所の破損状況について非常に専門的な内容をマスコミの前で解説していましたがその解説を理解したメディアの人はほとんどいなかったのではないでしょうか。
それでもメディアはその情報を延々と国民に垂れ流すようにしていましたが、私は東京電力社員の解説がさっぱり理解できませんでした。
さらに今回の新型コロナ感染でも同じことが言えます。
当初政府側は
「PCR検査数が多ければいいというものではない」
「しかもPCR検査の精度は必ずしも高くない」
などと言っていましたが結局は
「PCR検査のキット数が不足していた」
「PCR検査官の人数が圧倒的に少なかった」
と今頃になって言っている始末。
つまり「日本には新型ウイルス感染に対応できる設備も人材も圧倒的に不足していた」というとに尽きるわけです。
これって日本のメディアが独自にきちんと調査していれば簡単にわかったはずです。それを政府に強く突きつけることでもっと緊急事態宣言が早くなった可能性は高いと言えます。
それをしないで安部政権だけを責めるのはメディアとしての責任放棄と言えるでしょう。
どうしてこうなったかというと日本のメディアには科学情報を自分たちで精査する能力が乏しいからです。
全て権力者側の情報を鵜呑みにして国民に垂れ流してしまっているのです。
ただただあちこちから個別の情報を集めてそれらを国民にばらまいているだけで自分は仕事をしているつもりになっているのです。
つまりは科学的知識が乏しい上に集積した情報を分析し精査する報告する能力に欠け、さらに論理的思考能力も欠如しているのです。
これは今回に限ったことではなく財務省から発表される経済情報もそのまま垂れ流しです。自分たちで裏をとることはありません。その理由をある新聞記者は「時間がない」と言っていました。
飲みに行く時間はあっても権力側が流した情報の「裏」をとる時間がないといわけです。
もはや仕事の放棄と言っていいのではないでしょうか。
メディアの怠慢です。
権威におもねるメディア
また政治家への「忖度」という言葉が流行りましたがそれはメディアの政治家に対する忖度もあるのではないでしょうか。
世界報道自由度ランキング(2020年発表)では日本は180か国中66位です。これって先進国の中ではほとんど最下位と言っていいでしょう。
このためよく日本政府がメディアに圧力を加えていると世界からも非難されます。しかしそれだけの理由ではありません。
実際には日本のメディアが政府に忖度して自ら報道しないせいもあるのです。つまり自ら発言を抑制しているわけで自分たちの職務を正しく理解していないのです。
はっきり言って日本のメディアは勇気がなく無責任なのです。周囲の目を気にしながら「ここまで言っても問題ないだろうか」とビクビクしながら自分の保身を考えているだけです。
日本にはジャーナリストがほとんどいないと言われる所以です。
まとめ
・新型コロナ対策で安部首相、日本政府の迷走が続いていますが、彼らのせいばかりではありません。政治家という権力者をしっかり監視(モニタリング)するのはメディアの大事な仕事であるはずです。
そこから流れてくる情報を鵜呑みにしていいわけはありません。
・コロナにかかわらず日本の政治家の発言が曖昧なのは政治家自身の資質問題と日本語固有の特徴なのかも。
・日本の政治家、メディアばかりでなく日本人自身が論理的思考が欠如しているのかもしれません。子供の頃から暗記中心の学習を強いられて「考える力」が二の次、三の次になっているのです。
・上記を踏まえ外出自粛この時期にもう一度日本の政治・メディアのあり方、そして自分自身を見つめ直すいい機会ではないでしょうか。
この記事へのコメントはありません。