平日週3回ジムへ行く以外に週末も1回別のジムへ行くことが多くなったせいか最近疲労感が抜けない状態が続きます。
さらに日帰り登山をしても以前より登りでは脚が重く息もハァハァとなることが多くなってきたような気がします。以前筋トレの翌日に登山してもこんなに疲労感は感じられなかったはずです。
もちろん筋トレをやり始めた頃はジムを出て駅の階段の登りで脚が痛くなり電車に乗ってもいつの間にかコックリコックリしていましたが。
単に年齢のせいなのでしょうか。やっぱりお酒のせいか。あるいはスタミナがなくなってきたのでしょうか。
よく日常的に「スタミナがある」とか「スタミナがつく」とか言ったりしますがこのスタミナとは一体どういう意味なのでしょうか。
スタミナとは
スタミナは英語でstaminaといい日本語では「気力」とか「根気」という意味ですが、少なくとも日本では「持久力」として使う場合が多いようです。
加齢にしたがってこの「スタミナ」(持久力)がなくなってきます。
サッカー、ラグビー、テニス、野球、マラソンなど多くのスポーツにはスタミナは必要です。筋トレでも継続的にウエイトを挙上できるためにはスタミナがあったほうがいいわけですから。
それではスタミナの源(みなもと)となるものは何でしょうか。
スタミナの源とは
栄養学では、3大栄養素という言葉があります。
タンパク質、脂質、炭水化物(糖質+食物繊維)のことですが、この3つの栄養素をバランス良く摂取することが体の健康維持に重要といわれています。
この中で糖質は、「体を動かすための必要なエネルギー源になる」という役割があります。
体を動かす筋肉、各内臓器官や脳なども糖質(ブドウ糖)をエネルギー源としています。
体内でブドウ糖に変換される糖質は、人が生きてい上でなくてはならない栄養素であり、通常肝臓と筋肉に蓄積され必要に応じてエネルギーとして利用されます。
また過剰な糖質は、脂肪細胞に取り込まれ体脂肪となります。
さらに運動の初期で運動負荷が大きいとき脂肪よりも糖質がメインに利用されます。
特に大量のエネルギーが必要の場合、糖質(グリコーゲン)の貯蔵がどれだけあるかが問題となります。
ブドウ糖は多数結合してグリコーゲンとなって筋肉や肝臓で貯蔵されます。
アスリートのスタミナには、この糖質(ブドウ糖)の摂取量とその貯蔵量(グリコーゲン量)が大きく関わってきます。
大量のグリコーゲンを体内に貯蔵することができ、それを効率よく引き出せるアスリートは「スタミナがある」といえます。
したがって、アスリートにとっては、単に筋トレなどの運動だけでなく、どれだけグリコーゲンを体内に取り込めるかが大変重要になってきます。
グリコーゲンはどれだけ貯蔵されれいるのか
グリコーゲンは先述の通り主に筋肉と肝臓で貯蔵されますが、それ以外にも血中に存在します。
それではこれらのグリコーゲンは通常どれだけ体内に貯蔵されているのでしょうか。
個人差はありますが成人では下記の通りです。
・筋肉:300g前後
・肝臓:100g前後
・血中:15〜20g
非常に限られた量しか貯蔵されていませんね。
激しい運動をすると数時間で筋グリコーゲンが枯渇し「スタミナ切れ」となるのです。
運動のエネルギー源としては、
・血糖
・筋グリコーゲン
・血中の遊離脂肪酸
・筋肉の中性脂肪
などがありますが、筋グリコーゲンは脂肪燃焼の着火剤の役目があるのでこれが枯渇すると脂肪をエネルギー源として利用できなくなります。
また肝臓に貯蔵されているグリコーゲンは主に脳のエネルギーに使われたり、血糖値を一定にするために使われます。
体内にグリコーゲンを増やすには
それでは体内にグリコーゲンを増やす方法はないのでしょうか。
一般にマラソン選手など持久力を要するアスリートは、このグリコーゲンを増やす方法を取り入れています。
それは「グリコーゲンローディング」とか「カーボローディング」と言われている方法です。
運動により体内のグリコーゲンを一度枯渇させてから再度蓄積するとグリコーゲンがさらに増えることがわかっています。
そのため大会1週間前から運動や糖質制限した食事でグリコーゲンを枯渇状態にしてから高糖質の食事をしてグリコーゲンを増やすという方法です。
これにはアスリートによってそのアプローチの仕方は異なってきますが、基本的にグリコーゲンを枯渇させてから糖質の高い食事をするのです。
また糖質摂取後、筋グリコーゲンになるためには24時間以上必要です。
このカーボローディングを3日ほど前からするアスリートもいるようで個人差がありさらにスポーツ種目によっても違いがあるようです。
適切なカーボローディングで通常の2倍以上のグリコーゲンを体内に蓄積できると言われています。
ただし、グリコーゲン1gにつき水2.6gが一緒に貯蔵されますから体重が増加することになります。体重制限がある場合はこの辺の考慮も必要でしょう。
筋トレで糖質は必要か
人が生きていく上で糖質は絶対必要な栄養素であり、アスリートにとっても糖質(グリコーゲン)がどれだけ体内に貯蔵できるかがスタミナのキーポイントであることもわかりました。
それでは、筋トレにとって、糖質は重要な栄養素なのでしょうか。
一般に筋トレでは、多くのトレーニーは筋肉肥大を狙っています。
筋肉肥大するためには、適度なウエイトを体にかけ筋肉を強く刺激しなければなりません。
筋肉を強く刺激することによって筋線維に微細な損傷を与えそれを回復、修復してさらに筋線維が大きくさせることが筋肉肥大です。
そしてこのときに適切な栄養を取り込むことが筋肉の肥大にはとても大切です。
特にタンパク質の摂取は必須となりますが、糖質はどうでしょうか。
実は、糖質も必要なのです。
単に筋肉を動かすエネルギー源としてだけでなく、「インスリンの分泌」を促進させるためにも必要なのです。
糖質を摂取すると血糖値を調整するためにインスリンというホルモンが分泌されます。
このインスリンは、タンパク質合成を促進するホルモンとして知られています。
したがって、筋トレにも「ある程度」糖質は必要となります。
それでは、どの程度の摂取量にすればいいのでしょうか。
筋トレに必要な糖質の摂取量
運動量によって個人差はありますが、一般に下記の量が推奨されています。
筋肉肥大を狙った筋トレ:6g/体重kg/日
筋持久力を狙った筋トレ:7〜12g/体重kg/日
筋肉には、瞬発力がある速筋と持久力がある遅筋がありますので、トレーニングの目的に応じて糖質の摂取量は異なってきます。
筋肉肥大をターゲットとした無酸素運動の筋トレと持久力系の筋トレやマラソンのような長距離走では、使う糖質量が全く異なります。
したがって、運動エネルギーに糖質は必要だからといってむやみに糖質の摂取量を増やすと太る原因になります。
先述したタンパク質の合成を促進する「インスリン」は、意外にもこの太る原因になります。
このインスリンは、別名「肥満ホルモン」といわれて、過剰な糖質摂取によって血糖値が急上昇すると多量のインスリンが分泌されます。
このときインスリンは、血中の過剰糖質を脂肪細胞に溜め込み、これが「体脂肪」となります。
このようにインスリンは、タンパク質合成に役立つ一方、糖質の量によっては肥満にも貢献してしまう厄介なホルモンなのです。
お相撲さんや柔道選手がご飯を山盛りにして食べている姿をテレビや雑誌で見かけたことがあると思いますが、スタミナをつけるためにご飯は有効ですが、過剰摂取すると太ってしまうという典型的なパターンです。
本来はタンパク質をより摂取して糖質を運動エネルギー分だけ摂取するのが格闘技系アスリートの栄養配分です。
まとめ
私がジムや登山で疲労感が残り、持久力も落ちているような気がする原因の一つには少し糖質不足があるかもしれません。
ジムでは毎回60分間の筋トレ後トレッドミルで40分程度運動しています。
さらに日帰り登山では、朝が早いので朝食は登山口などでおにぎり1個にアミノ酸ゼリー1本程度で済ませ、途中でまたアミノ酸ゼリーを1本飲む程度です。
昼食時にはおにぎり2個程度で済ませて下山します。通常6〜8時間程度の山行なのでこの程度でもなんとか持つのですが、やはり糖質やその他の栄養素不足でしょうね。
その分下山後自宅で糖質たっぷりの食事をしています。もちろんビールや焼酎も飲みます。普段夕食は糖質制限しているのでこれが私の登山の楽しみの一つです。したがって帰宅途中では絶対に食事やお酒は摂取しません。
登山中摂取するカロリーは、行動食を含めてせいぜい800kcal程度でしょう。登山では2000〜4000kcal/日のカロリー消費をしており、さらに基礎代謝量が私の年齢では1400kcal/日です。
したがって帰宅後1200kcal程度摂取したとしても、合計2000kcal/日程度の摂取量です。
これに対して消費カロリーは(2000〜4000)+1400=3400〜5400kcal/日となります。
そうすると1400〜3400kcal消費カロリーの方が多くなり、脂肪に換算すると0.2〜0.47kgの消費となります。なんだかあまり大したことはないですね。
しかし、糖質摂取後24時間以上経過しないと筋グリコーゲンとして蓄積されないのであれば、登山に行く前日の朝から意識的に糖質を少し多めに摂取する必要があります。
もちろんその他の栄養素や疲労回復を促進するビタミン類の摂取も必要でしょう。
ただし、糖質の過剰摂取は太る原因になることだけはしっかり覚えておきましょう。
全てはトータルバランスなのです。
この記事へのコメントはありません。