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映画「グリーンブック」に見る人種差別はぬるすぎ?

アイキャッチ画像出典元:映画.com

昨日新宿バルク9で「グリーンブック」を観てきました。

1960年代の著名黒人ジャズピアニストとニューヨークの高級クラブのイタリア系用心棒(ドライバー兼ボディガードとして)と当時も人種差別の激しいアメリカ南部へあえて演奏旅行に行くロードムービーです。それはあたかも自分の存在、勇気を確認するためのようにも見えます。

テーマは当然当時も今も存在する人種差別の話。その人種差別の話をウイットとユーモアで流していくストーリー仕立て。映画タイトルの「グリーンブック」とは黒人が「快適に」過ごせるためのガイドブック、つまり、黒人が宿泊できるホテル等が記載されている手帳サイズの情報誌のことなのです。

本作品は、アカデミー作品賞、脚本賞、主演男優賞を受賞したらしい。(もうこう言った賞には興味がなくなってきたので後で知りました。)

この主演男優賞を受賞した黒人ピアニストはどこかで見たと思ったら、少し前に観た「アリータ」で悪役ベクターを演じた俳優でした。驚き!無学なイタリア人を演じた俳優も有名なハンサムで渋目の俳優でしたが役柄のためがお腹が出ていて多いに太っていました。役者も大変ですね。(私は事前に映画情報をよく見ないで映画を観るので観てから驚くことが多いのです。)

画像出典元:映画.com

それにしても、現実の黒人の人種差別はもっと酷かったはずであり、あまりにもそれを軽く扱っていることに対する批判もアメリカ国内であったようです。

私は、この作品を見て歳のせいで自然と涙が出てしまう場面もありましたが、やはり全体的に人種差別に対する「ぬるい」感はありました。実際の当事者である黒人あるいは日本人を含む有色人種はこの映画シーンをはるかに超えるいろいろな差別を受けていたと思います。監督の意図としてあまりこの映画を重くしたくなかったんでしょう。

黒人ジャスピアニストの住居はカーネギーホールの上階に住んでいる知的で裕福な黒人として登場していますが、イタリア系アメリカ人は無学で腕っ節だけでの能天気なイタ公として演出されています。このイタリア人感もハリウッド映画にしばしば見受けられるステレオタイプのイタリア人です。

この映画の中で黒人ピアニストが白人から差別されるだけでなく、裕福ゆえに同じ黒人からも差別されることで「私は黒人でもなく白人でもなく一体誰なんだ!」と叫ぶシーンでは、なぜか在日朝鮮人を連想してしまいました。

なぜ思い浮かべたかというと現在の日韓問題、米朝問題を見て以前読んだ韓国の歴史の本を今読み返していたのでそう思ったのでしょう。(断捨離せず残っていた数少ない本の1冊です。)

在日朝鮮人は、日本では朝鮮人(韓国人)と差別され韓国に行っても在日(韓国語では別の呼び名があるらしい)と差別されるのです。自らの意思で日本に渡ってきた世代は別として、日本で生まれ育った在日は「なぜ差別されなければいけないのか」「一体私は日本人か朝鮮人(韓国人)か、何者なんだ!」と思うことでしょう。

北・南アメリカの黒人は何世紀も前にヨーロッパの人間がアフリカを植民地化し、奴隷として売られてきた黒人の末裔がほとんどです。当時のヨーロッパの人間はアフリカを鉄道や学校、病院建設などのインフラすることなく搾取するだけでした。

しかも、現在に至るまできちんとした謝罪はなく「不幸な出来事はあった」とか例え謝罪はしても何ら補償することなく現在に至っています。しかし、こういうヨーロパの国々が他国の人権問題を口にするとき、例え当時は合法であったとしても果たして彼らはそれを口にする権利があるのでしょうか。

翻って日本人はどうでしょうか。朝鮮半島や中国の一部(満州)、台湾及び東南アジアなどを植民地化しました。各国に対する謝罪および補償(ODAなどを含む)は一応済ませているはずです。(相手国はそれで納得しているかどうかは別として)

特に韓国などは大変なインフラを日本の税金を使ってしています。当時(1910年代)の韓国は世界でも最極貧国で日本が投資しなければニッチもサッチもいかない状態でした。かといって日本の韓国併合を正当化するつもりはなく、むしろ日本にとって「併合」は失敗だったでしょう。あれだけ投資したのにもかかわらず現在に至るまでこんなに韓国から恨まれるのですから。

朝鮮人からすると、搾取するための投資としか映らなかったかも知れません。1千年以上中国の属国として生きてきた(北・南)朝鮮人の「恨」の国民性を日本人はよく知らなかったからでしょうか。

中国も日清戦争のときには中国の国民党と新興の共産党がすでに争っており、日本軍は主に国民党と戦ったのです。共産党は、国民党の力を削ぐべく日本軍とは極力戦わないようにして国民党が全面で出るようにしたのです。それをうまくハンドリングしたのが共産党の毛沢東でした。

したがって日本と中国が国交を再び開いた時、日本の首相であった田中角栄は戦争を謝罪しましたが毛沢東から「謝罪する必要はありません。むしろ感謝しています。」と言われたのです。そこには単なるリップサービスだけではなく、共産党にとっての宿敵である国民党を(日本軍が)追い込んだことへの感謝があったのでしょう。国民党がある限り共産党が政権を取ることはできなかったでしょうから。

ご存知の通り、第二次世界大戦後日本が中国から撤退した後日本軍との戦いで疲労困ぱいしていた国民党は共産党との争いで負けて台湾に逃れたのでした。

その後日本は中国よりもその台湾との方が友好なのはなんとも皮肉なものがあります。

日本人である私がイギリスへ語学留学した1980年代前半は日本の商社マンが世界中を闊歩していた時代です。その当時でさえ私自身イギリスでいろいろな差別を受けたので1960年代のアメリカの黒人は想像を絶する差別をされていたことでしょう。

この映画を見て人種差別は大変ね、なんて他人事みたいに言っている人は鈍感な人です。自分が差別されているのにそれを感じないだけなのですから。あるいは差別していることにも気がつかないのかもしれません。

日本政府も他国との友好など生ゆるい考えを早く捨てて、もっとビジネスライクで海外の国と付き合えばいいのです。日中友好、日韓友好、日米友好などは幻想です。お互い利害関係があって付き合っているのです。

無理をしてまで付き合う必要はないのです。

こんなことをぬるい人種差別の映画「グリーンブック」は思い起こせてくれました。




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