アイキャッチ画像:映画ナタリー
今日は吉祥寺のアップリング吉祥寺で「スワンソング」を観てきました。
東京ではこの吉祥寺と新宿、銀座の3館でしか上映していないマイナーな映画です。新宿の上映時間は夕方からの1本だったので仕事帰りの会社員の電車のラッシュ時間にぶつかりたくなかったので昼から上映していた吉祥寺の映画館にしたのです。
この映画館はミニシアターが複数ある映画館で数年前まではパルコブックセンターでした。
あらすじ
アメリカの田舎町の実在した著名なゲイの美容師のお話です。
美容師として成功していたゲイの主人公パット(ウド・キアー)はその弟子に顧客を奪われ、さらに同棲していたゲイが死亡した後そのゲイの甥に2人で住んでいた家を追われ落ちぶれて施設(老人ホーム)で生活保護を受けて余生を送っていました。
そんなパットにその町の名士でありパットの顧客であったリタが亡くなり、その遺言で死化粧を依頼されます。
初めは断りましたがいろいろな想いからその依頼を引き受けることに。
そして老人ホームを脱走?し、その町の葬儀場へ行くまでにいろいろな思い出の場所を通り人生を振り返ります。
しかしリタの家について孫と面会するも死化粧をすっぽかしてしまうのです。
そしてかつてのゲイ仲間と会いベンチ昔話をするのですがそのゲイ仲間はとうに死んでいるわけです。
過去と現在が混沌としたままの精神状態の中そのゲイ仲間との会話でやがて死化粧を引き受けることを決心します。
リタの実家では死化粧をすっぽかしたパットの代わりにあの裏切った(と思っている)かつての弟子が来ており髪が衰えすぎてできないとパットに死化粧を託します。
パットはここでもまた逃げようとしますが死んだリタが現れ口論します。
やがてパットは見事に死化粧をしてリタの孫とソファに座ってリタの話をします。
その孫がゲイであることを初めてリタに告白したときに「大丈夫。私の友達にもゲイはいるから。」と慰めてくれた話をしている最中、パットは急死するのでした。
注)「スワン・ソング」という全く別の映画も存在します。
主人公のゲイ役が今ひとつ?
主演は名優とも怪優とも言われるらしいウド・キアーです。
私はこの俳優はどこかで観たことがありそうだとは思いましたが何処かだったは覚えていません。
この映画の中でもテレビドラマか映画かどこかで観たことがあるなという俳優が何人かいました。
この役には誰がふさわしいのかわかりませんがいまいちこの主人公はゲイ役は合っているような合わないようなもどかしい感じを持ち続けました。
まあゲイもいろいろな人がいるでしょうし、意識的にあまりくどいゲイにしなかったのかも。
著名な俳優はいない(と思っている)のでストーリー(脚本)で映画の出来不出来は決まりやすくなりますが前半は少し単調に感じました。
映画に入り込めはしませんでしたがこの手の映画は嫌いではありません。アメリカの退廃する田舎町(オハイオ州サンダスキー)を表現させているのかもしれません。
しかし昔「ヘドウィグ・アンド・アグリー・インチ」(アメリカ)や「プリシラ」(オーストラリア)を興味深く観ました。それに連なる映画かと思ったのですがちょっとインパクトが足りなかったようです。
アメリカの老人ホーム
アメリカの老人ホームってあんな感じなのでしょうか。
廊下のシーンは刑務所のような殺風景で冷たい印象がありました。
私は日本の老人ホームも知りませんが老人たちが会話する内容は日本とほぼ同じような気がしました。
もう本当に余生を余命を生きているという感じで誰もが死を待っているだけというあの感じです。
もちろんアメリカも日本も老人ホームはお金次第でピンキリでしょうが。
しかし終の住処であろうことには違いなくここで死ぬまでいるのかと思うと私だったらいたたまれないでしょうね。
なぜならそんな人たちの集まりですからもうネガティブなオーラ全開のような気がして気が滅入りそうです。
終わりに
上映時間が昼頃だったのでお客は60席あまりの映画館に10人程度しか入っていませんでした。
この主人公はいろいろなことはありましたが最後になって思い残すことなく人生を全うできたのではないでしょうか。
「いろいろなことがあっても好きなことをして人生を全うしてください。」というのがこの映画のテーマのような気がします。
もっとも老人ホームには入りたくはないですね。決まった時間に決まった食事が出るというまるで入院患者のようなエサを与えられる鶏小屋の鶏のような気がしてきます。
私は若い頃間違って新宿のゲイバーに入ってしまったことがありますがカウンターに座った瞬間に何か違和感がありマスターに「ここゲイバーですか」と聞くとマスターはうなずいたので「間違えました。」と言ってそのバーを飛び出したことがあります。
昔はゲイバーというのは今とは全く違ってエイリアンのように感じた時代でしたから。踏み込んではいけない独特の領域というのでしょうか。先方の同じ仲間だけが楽しむスペースという認識だったはずです。
もちろん今ではノーマルの客もずいぶん多いはずです。
それもおかまがたくさんテレビ出演するようになって一般人もかなり免疫が付いたのです。
いい時代といっていいのでしょうね。
この記事へのコメントはありません。