会社員時代からほぼ毎夕本屋へ立ち寄っていた私ですが、無職になってから毎日本屋を徘徊しています。その私が最近目に付いたのが「残業学」なる新書。まだこういった本が出版されているんですね。なんだか笑いを誘うタイトルです。
それ以外にも
・「5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人」
・「残業の9割はいらない」
・「なぜ残業は無くならないのか」
などなど、読まなくてもなんとなく書いていあることがわかるような気がします。こんな本を出版するなんて日本くらいではないでしょうか。本当に日本人は小さな世界で生きていると感じます。
この手の本は、少なくとも20年前からあったと記憶します。
「残業なしでもできる」
「ノー残業ディ」
「できるサラリーマンは定時で帰る」
などなどをキーワードにした本は資源の無駄遣いと思うほど出版されています。でも売れるから出版するんでしょう。逆に言えば、いかに日本の会社員は残業が多くそれに悩んでいるかということです。
なぜ残業するのか
なぜ日本の会社員はかくも残業するのでしょう。
ざっと思いつくだけで
1. 仕事の能力がない(個人の問題)
2. 残業代が欲しいのでわざとゆっくり仕事をする(個人の問題)
3. みんなが帰らないので帰りずらく結局残業してしまう(個人の問題)
4. 人手がなく何人分の仕事を一人でしてる(会社の問題)
5. なぜ仕事をするのか突き詰めて考えたことがない(個人の問題)
6.会社の習慣上長時間の会議など時間の使い方に無駄が多い(個人と会社の問題)
7. 上司もしくは人事が残業をする人を評価する(会社の問題)
どれも日本の企業に当てはまりますね。
もちろん、全員日本人の欧米系の外資系会社にも当てはまる項目がありますけど。
でも基本的に「おかしなことをおかしい」と言えないんでしょうね、日本人は。
残業の多さから見ると大手企業もほとんどブラック企業です。
仕事と自分のプライベートな時間とどちらに比重を置くべきかなんてあまり考えていないのです。というか考える余裕がないんでしょうね。
50代になれば先が見えてきて否応なく考えるのですが、20代から40代はまだ目の前にある自分の仕事をこなしたり、出世競争で精一杯でそういうことを考える余裕がないのです。
私も売れない海外製品をどうすれば国内で売れるようになるかなんて考えていました。頭が良くなかった(ビジネスセンスがあまりなかった)のでなかなか売れませんでしたが。外資系の人間から見ると日本の顧客は超保守的です。
いいものの判断が自分ではできなくとにかく実績、実績と言ってきます。つまり、これって他社がこの海外製品をどう判断しているのか、製品の判断を自社でなく他社に委ねている(委託している)わけです。
これでは、国内ばかりか海外市場でも海外メーカー(中国・韓国メーカーなど)に先を越されてしまいます。アジア市場ではそれが顕著です。
日本は祝日も海外と比較して多いのですが、みんな一斉に休まないと不安で休めないのでしょう。
非正規雇用と生産性の問題
もう一つは今問題になっている「下流社会」でしょう。
若くても正規社員になることができなくなってきて低収入、長時間労働が増えてきたせいもあります。(「ある大手メーカーの中年派遣社員の生活」でも書いています。)
小泉内閣あたりから非正規雇用経営が進んできました。
正社員に比べて給料が安く、各種の保障もない労働者の増加により労務コスト削減により製造業の生産コストは上がりましたが、非正規雇用労働者が増えたサービス業では逆に生産性が落ちたのです。
そして結局、日本は現在も先進国では生産性は最下位レベルのままなのです。
もっとも最初から正規社員にはならず、もっと自分の時間を大切にしたいという人たちも増えてきているので、少しは多様性が出てきてもいますが。
何れにしても日本の企業は意識改革しないと他国に追い越されるのは時間の問題。実際はもうとっくに追い越されているけど、日本人の意識としてはまだそれに気がつかないだけでしょう。
GDPは世界3位だけど、ドイツ、インドに追い抜かれるのも時間の問題と言われています。国民一人当たりのGDPではすでに26位。
改革すべき点は、
・年功序列の廃止
・人事部の権限の縮小
・長期にわたるリーダーの育成
・有能な役員・社員を外部から積極的に取る
・シフト制への移行
・有給休暇、産休などの完全消化の義務付け
・同調圧力をかけない
などなど。まだいっぱいあると思います。
日本人の国民性
こういったことには日本人としての国民性も関係しています。
・人目(世間体)を気にする
・新しもの好きな面もあるが基本的に保守的
・集団主義で個人が不在(群れたがる)
・議論が苦手
・孤独(ひとり)が苦手
もちろん日本人のいいところもたくさんあると思いますが、もっと自分に自信を持った方がいいのではないでしょうか。
ここでいう自信は「自己自慢」ではなく、「静なる自信」「内面から出てくる自信」とでもいうのでしょうか。
「周囲の目に影響されず自分の考えに従って行動し失敗してもくじけず何かを成し遂げていく姿勢」から得る「自信」です。
一夜にしてできるものではありません。
日本にはこういった「自信」を持った人が少ないように思われます。
必要な自己改革
そのため各個人の改革が必要になるのです。
・他人の目を気にしない(同調圧力に屈しない、また自分も同調圧力をかけない)
・自分にもっと自信を持つ
・仕事以外に何か趣味を持つ
・「会社=人生」ではないと理解する
・辛くなったら一旦休んでみる
・それでも辛いのからスッパリ会社を辞める(その会社だけがあなたの仕事場ではありません)
・外資系に入社する(外資系もピンからキリまでありますが、基本的に日系より残業も少なく、年功序列でもなく、収入も高い傾向にあります。)
・ブランド名で会社を選ばない
・一つの会社に固執しない(会社ごとに自分のスキルをつけていきましょう)
以上は自戒を込めて感じることです。
自分にとって人生で大切か、どう生きたらいいのか、何て本質的なことを考えるのが日本人は苦手なんでしょうか。
やっぱり何か人生の転機に出会わないと考えないのかもしれません。
私も50代半ばから色々今後どうしようかと時間があると考えていましたが、もっぱらもう仕事をしなくなったら今の資産(預金、年金)でいつまで暮らせるのか、なんてことが中心でした。今でもお金は心配のタネでなんとかしようとジタバタしています。
時には、自分が大切にしたいこと、やりたいこと、を考える時間を作るの必要がありますね。
でも私の場合、いつも考えると頭がおかしくなるので、「時々」ということで。
電車に乗っていると、サラリーマンを見てこの人たち本当に生きているのかな、なんて考えてしまいます。あまりにも「もはやお前は死んでいる」状態に見える人が多いのです。おそらく、私も現役時代はそうだったのでしょうね。
私は上司から「ない知恵を出せ」とか言われてりしたものです。外資に入りたての頃は、いつクビになるかわからないので不安からか寝汗でシーツがびっしょり濡れていたこともママありました。
今だから実感します、仕事は生活のために必要ですが、仕事だけが人生ではないということを。
趣味を持つと仕事を違った目で見ることができます。残業なんてする時間がもったいないと思うようになり、どうすれな時短できるか、何が自分の人生で大事かなんてことを自ずと考えるようになります。
それと先述した通り本当に一度は個人を大事にする外資系の会社に入った方はいいのではと思います。風通しは日系よりいいと思います。もっとも中には外資とは名ばかりで中身は日系という会社もありますので注意が必要ですが。
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