相変わらず夕方薬局へ行くとマスクばかりかトイレットペーパーもありません。どうしてトイレットペーパーがなくなるのか不思議で仕方がありません。
東京の人口が増えているわけでもなく絶対数が変わらないのにどうしてトイレットペーパーを普段以上に購入するのでしょう。
さらにマスクと同様に薬局には消毒液もほとんどありません。たまに除菌スプレーがポツンと棚に置かれています。
目次
店頭からトイレットペーパーがなくなる理由
ざっと思いつくだけ列記すると下記のようになります。
・緊急事態宣言で自宅待機が増えてトイレに行く回数が増えた
・災害の多い日本で習慣的に災害時の非常用品として各家庭に在庫しようとしている
・生活消耗品であるトイレットペーパーの購入で心理的不安感を解消しようとしている
・思慮の足りない高齢者や専業主婦が買いだめに走っている
ところがトイレットペーパーだけではなくアルコール消毒・除菌液(ジェル)などの衛生製品もなくなっています。これは一般家庭だけでなく各飲食店、一般の会社、スーパーなども今や入口に置くべき必須製品なので需要が供給を上待っているのです。
また買いだめもあるでしょうね。
ここでふと気になるのはアルコール消毒とか除菌スプレーなど「消毒」とか「除菌」とかいう言葉。さらに滅菌、殺菌、抗菌なんて言葉もあります。
これらの紛らわしい言葉はどういう意味でどんな違いがあるのでしょうか。
殺菌・滅菌・消毒・除菌・抗菌の違いは?
殺菌:菌を殺す(ただし、どの程度殺すという定義はない)
除菌:対象物から細菌数をある程度減らすこと
消毒:病原菌を感染症を防ぐ程度まで殺すこと
滅菌:病原菌の有無にかかわらず全ての微生物を殺すこと
抗菌:細菌の増殖を抑制すること
したがって、細菌を殺すという意味でその確度の高い順番は、滅菌>消毒>除菌 となります。
さらに下記の図にすると分かりやすいと思います。
殺菌・除菌・抗菌の違い
ウイルスは細菌のような微生物とは少し異なり人体の中に入らないと増殖できません。したがって体内に入らないようにすることが大事でウイルス感染予防には手洗い、うがい、洗顔などが必須となるのです。
ウイルスについては「パンデミックするコロナウイルスはなぜコウモリは多いのか?」を参照願います。
また手洗いについての実験では下記のような面白いデータがあります。
手洗いの時間・回数によるウイルス数除去効果
これって食品にも当てはまるのでしょうか。例えばもしスーパーで売っているむき出しの野菜に新型コロナウイルスが付着していた場合、上記のようなやり方でウイルスを除去できるのでしょうか。
もしこれが有効とするとできるだけウイルスを落とすには野菜も洗剤で洗わなければならないことになります。
しかし、日本よりはるかに新型コロナウイルスの感染防止に成功した台湾の医療従事者の話では、野菜に付着したウイルスは流水で洗えば80〜90%落とせるそうです。
これを上図の方法を当てはめると野菜は流水でウイルスの80〜90%が落ちるということは100万個のウイルスに対して10〜20万個がまだ残存するということです。
上図では流水で15秒手洗いするとウイルスが1万個に減少するということですからウイルスは99%落ちたことになります。
時間とウイルスの減少数が逆比例になるとすれば、野菜を10〜20万個まで減少させるには流水を約1.4秒流すことになります。
これではほぼ一瞬水洗いしただけで野菜に付着したウイルスが80〜90%落ちることになります。
そうするとやはり手洗いと野菜ではウイルスの落ち方は違うのでしょう。
また理論上は野菜に付着したウイルスは48時間以上留まるそうですが、理論上と言っていますので実証実験をしたかどうかは不明です。
主な病原体と感染症名
ここでウイルスと細菌を混同するといけないので感染症を引き起こす主な病原体(ウイルス・細菌・真菌)とその感染症名を挙げておきます。
ウイルス | 細菌 | 真菌(カビ) |
インフルエンザ | O157 | 水虫 |
麻疹 | 結核 | |
風疹 | 中耳炎 | |
肝炎(A型、B型、C型) | ||
エイズ |
新型コロナウイルスに有効な消毒液
ウイルスには外膜(エンベロープ)があるものとないものがあり、外膜があるものはアルコールが消毒に有効です。
新型コロナウイルスは外膜があるのでアルコールが有効ですがその代用として物の表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効です。
<新型コロナウイルスに有効な消毒液>
・次亜塩素酸ナトリウム(0.05〜0.1%)
・アルコール(70〜80%エタノール、70%イソプロバノール)
注1)70%イソプロバノールは匂いがあるのと手荒れの原因になるので皮膚の弱い方には向きません。
注2)消毒用アルコールは品薄ですのでその代用として「物に対して」次亜塩素酸ナトリウムが利用できます。
注3)次亜塩素酸ナトリウムは市販されているハイターやブリーチなどの塩素系漂白剤に含まれています。それらを使って消毒する場合は下記のように希釈して使用してください。間違っても手などの皮膚には使用しないこと。
用途 | 濃度 | 希釈方法 |
---|---|---|
ドアノブ・手すり等 | 0.05% | 500mlの水道水に塩素系漂白剤を 5ml(ペットボトルのキャップ1杯分)を入れる |
吐しゃ物が付着した床等 | 0.1% | 500mlの水道水に塩素系漂白剤を 10ml(ペットボトルのキャップ2杯分)を入れる |
まとめ
・菌をなくす確度は高い順に除菌>消毒>除菌となる
・トイレットペーパー不足は主に高齢者と専業主婦の買いだめが原因
・また自宅待機による自宅でのトイレ回数が増えたことも二次的原因
・ウイルスには外膜(エンベロープ)があるエンベロープウイルスと外膜がないノンエンベロープウイルスがある
・新型コロナウイルスのような外膜があるウイルスにはアルコールや次亜塩素酸ナトリウムが有効である
・野菜に付着した新型コロナウイルスは流水で80〜90%落とせる(流水時間は不明)
・新型コロナには消毒用アルコールは70〜80%エタノールが効果がある
・消毒用アルコールの代用として「物に対して」希釈した次亜塩素酸ナトリウムが効果的(手などの皮膚用ではない)
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