テストステロンは筋肉合成を促進するホルモンと知られています。
特に筋トレをする人にとっては成長ホルモンと共に大事な神経伝達物質なのです。
それに対抗して筋肉合成を抑制する代表的なホルモンがストレスホルモンと言われるコルチゾールです。
コルチゾールは朝方もっとも活発に分泌されるホルモンですがストレスがたまると多量に分泌されるので筋トレをするものにとってできるだけ分泌して欲しくないホルモンでもあります。
しかし「アイアンマン2月号」の栄養科学においてこのコルチゾールがある面筋肉合成に関してポジティブに表現されています。
それは何故でしょうか。
コルチゾールの働き
まず副腎皮質から分泌されるコルチゾールの働きを簡単に説明した方がいいでしょう。
・抗ストレス作用
ストレスを感じると交感神経を刺激し脈拍や血圧を上昇させる。
・抗炎症作用・免疫抑制作用
細菌、ウイルスあるいは筋肉損傷などで体内に炎症が起きるとそれを抑制しようとする。
・糖新生
早朝など血糖値が低下しているとき筋肉中のタンパク質を分解し、肝臓でブドウ糖を合成し血糖値を上げる。
・脂肪分解
糖質などのエネルギー源が不足しているときに脂肪を分解してエネルギー源にする。
以上から適切な量のコルチゾールが適切に働けば人体にはむしろ有効なホルモンなのですがストレスがかかりすぎると過剰分泌が起こったり逆に必要な時にその分泌量が不足したりします。
つまり免疫力が落ち感染症やがんの発症リスクが高まるということです。
なぜコルチゾールが筋肉合成を促進するのか
「アイアンマン2月号」の栄養科学によれば
・有酸素運動を60分を超えて行えばコルチゾールが増加し筋肉の分解作用が高まる
・すでに体脂肪率が低く、タンパク質の摂取量が少ない人は2時間を超えた有酸素運動では筋肉の分解が起きやすくなる
・逆に言えば体脂肪率の高い人や十分タンパク質を摂取している人は2時間以内の有酸素運動では筋肉は分解しない
・筋トレ直後においてテストステロンの分泌量は上昇するが1時間程度で正常値に戻るが、この間テストステロンは筋肉合成には貢献していない
・筋トレ直後において筋肉中のグリコーゲンが枯渇しているとコルチゾールは脂肪を分解させエネルギー源を作りそのエネルギーで筋肉中のタンパク質合成を促進させる
・ストレスが高まりコルチゾールの分泌が増え筋肉中のグリコーゲンが枯渇すると、体脂肪を分解しエネルギーを作りストレスに対抗するためにそのエネルギーを使う
ザックリ言ってこんな感じの記事が載っていました。
キーポイントは「筋トレ直後」と「グリコーゲンが枯渇する」という条件下に起こる現象です。
私は120分程度の筋トレ後に30〜40分程度トレッドミルで傾斜ウォーキングをしています。
その理由は筋トレによって体脂肪を糖質と脂肪酸に分解させ、その後トレッドミルで血中に入り込んだ遊離脂肪酸を燃焼させるためです。
脂肪燃焼のシステムに関しては『中高年太りのお腹は腹筋では引っ込まない』を参照願います。
そうすると上記のコルチゾールの話は理にかなっているようにも見えます。
コルチゾールが分泌されっぱなしになると…
ストレスによりコルチゾールは分泌されますが、それでは一体いつコルチゾールの分泌は終わるのでしょうか。
体内に余ったコルチゾールは脳の海馬の中にあるグルココルチロイド受容体と結合してもうコルチゾールはいらないという信号を出します。
しかし受容体が活性酸素によって壊されるとコルチゾールは出っ放しになるのです。
その結果交感神経が優位に働き続け
・慢性疲労
・不眠症
・うつ病
・生理不順
等の障害が出てきますので注意が必要です。
終わりに
筋トレをする者にとってコルチゾールは天敵のような物質でした。
特にボディビルダーの中には有酸素運動などもってのほかという人もいます。
それが筋トレ直後という条件下ではテストステロンよりもタンパク質合成に貢献するようです。
筋肉は毎日分解と合成を繰り返していますのであまり一喜一憂する必要はないのですが1gでも筋肉が欲しいというボディビルダーにとってはコルチゾールは不要な代物なのです。
また有酸素運動や筋トレを継続して行うことでストレスに耐性を持つようになり平常時はもとよりストレスがあってもコルチゾールは低い値を示すようになります。
やはりここでも「継続は力なり」なのです。
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