日本人は衣食住という言葉からもわかるように「着るもの」「食べるもの」「住むところ」の順に関心があると言われます。
日本では従来「住むところ」では「戸建て」が理想で「マンション」はその次に位置していました。現実的には東京で「戸建て」の購入はほとんど絶望的な話でマンションが購入できれば「大・大・大御の字」といったところです。
東京在住の会社に勤務している家族持ちの人が家を購入する場合埼玉、千葉、神奈川あたりに「戸建て」もしくは「マンション」を購入しそこから満員電車に乗って都心に通勤するのが一般的なのです。
もちろん都内に家を購入する人もいますが、それは一部の大企業勤務か金持ちの自営業(美容師・医師・不動産業者など)の人たちがほとんどです。あるいはガッツリ共働きの夫婦です。
独り者の私のようにずっと賃貸住宅に住んでいる人もいますが家族持ちの場合ではその割合は限りなく少数派となります。無理をしてでもなんとか家を購入するのがこれまでのパターンです。
目次
従来の日本人の理想の人生がすでに崩れている
日本人の理想の人生は、「有名大学入学→大企業入社→結婚→家を購入→出世」が一般的でしたが、今ではその達成率が限りなくゼロに近づいています。
有名大学入学
例えば東京大学などは世界ランクでももはやアジアの大学にさえ抜かれており、少しずつですが日本の高校を卒業して最初から海外の大学へ入学するケースが増えてきました。
グローバルの時代に対応できない日本の大学があまりにも多いのです。すでに日本の大学が崩壊しているという本も発売されているほどです。
また日本でも無名ながら論文数で東大を上回る5年一貫性の沖縄科学技術大学院大学は隠れた有名大学です。探せば日本にも各部門で優秀な大学があるのです。
大学名に惑わされないようにしましょう。
大企業入社
東芝、シャープのような大企業でも経営不振に陥って買収・売却になるケースが多々出てきました。三菱、日立などでも業績不振でよくて子会社出向、悪ければリストラを実施しています。
したがって今更大企業に入ってもその先は全く不透明なのです。最近ではようやく優秀な人材が新卒の段階から外資系に入社する傾向にあります。
日本の大企業はトップが「老害」でお先真っ暗と知りましょう。
結婚
年々結婚時期が男女共遅れてきています。これは独身時代をもっと謳歌(おうか)したいという願望もありますが、経済的不安さ、特に将来への不透明さも背景にあるのです。
ちなみに40代、50代の独身者数は全国で650万人います。
持ち家
独身を続けるか結婚するかで持ち家の考えが少し変わってきます。結婚すると持ち家派になる場合が多く大多数が家を購入します。
(もともと日本は第2次世界大戦までは賃貸住宅が普通だったのですが、戦後の高度成長時代に日本の政策により持ち家が加速、増加していったのです。)
また未婚の場合は親の家に同居という場合が多くなります。これも経済的不安からくるものです。さらに親の介護で同居する場合も出てきます。未婚のまま年をとって「老老介護」というパターンがそれに該当します。
出世
上記からわかるように大企業に入ったからといって将来が約束されるような時代ではもうないのです。
今では社内出世よりも「社内で正社員として生き残っていけるかどうか」が重要なテーマとなります。なぜならほとんどの会社員は40代、50代で肩たたきが起こるからです。早期退職、関連会社出向、解雇です。
また出世の概念が根本的に変わってきています。社内で出世していくというよりもう少し外部で仕事をすることが理想になってきました。
例えば、インターネットの普及で仕事場が自宅や喫茶店、コーワーキングスペースなどの社外での場所でパソコン1台で仕事をしていくパターンです。これは国内とは限らず海外からでも仕事はできるのです。
そうすれば煩わしい会社の制約や人間関係を緩和することができます。リモートワークもその一つですがそれをさらに発展させた形が若い世代を中心に浸透してきているのです。
会社人間なんて死語なのです。
非正規社員は急速に増加中
上記の「出世」の項で放出された中年社員は中小企業でも正社員として転職できれば御の字と言われる時代です。さらに派遣社員のような非正規社員や完全なる失業者になる人もまた多いのです。
非正規社員と言っても色々で仕事環境が悪くて体を壊し仕事が減ってやがて失業して無職になってしまうパターンが多々あります。(非正規社員については以前私のブログ「ある大手メーカーの中年派遣社員の生活」にも書きました。)
日本の40代、50代の失業者は72万人おり、非正規社員に至っては全年齢層で今や800万人に到達しています。
今やミッシングワーカーの時代
今では「ミッシングワーカー」(missing worker)なる言葉もできてその数100万人と言われています。
ミッシングワーカーというのは「仕事はしていないが失業者としてカウントされない労働力」とされており国内ばかりか海外でも問題視されています。
例えば仕事を辞めて親の介護をしている人は失業者にカウントされません。失業者にカウントされるのは求職中の労働者です。
理想の人生とは何か
上記のように従来の日本人の描いた理想の人生と言われたものはとっくに崩壊しています。
それではどんな人生が理想の人生なのでしょうか。
それは人それぞれによって異なっていいのです。
例えばアメリカでは従来、おそらく現在も大きな一戸建てに住むのがアメリカのステータスです。
それはアメリカ人が「他人が羨む大きな一戸建てに住むことが幸せである」と信じているからです。
しかしそれは真実とは限りません。なぜならそれはアメリカ人自身が持つ「イメージ」だからです。『イメージ=見せかけ』となりやすいのです。
意外かもしれませんがアメリカでは自分が人生を謳歌するよりも他人からどう思われるかが大切な国なのです。
広大な国土を持つアメリカは日本以上にテレビ、ラジオ、新聞のようなマスメディアが発達しそれらの情報に自分の判断を非常に左右されやすいのです。
日本人も他人の目を非常に気にする国民性を持っています。空気を読むことからくる同調圧力などその際たるものです。そのため非常にストレスがたまる社会となっています。
もっと他人の目を気にせず自分の価値観で物事を判断していくことでより自由なよりリラックスした人生を送れるのではないでしょうか。
それこそが「理想の人生に近づく」というものでしょう。
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