60代になるとすでに定年になった人が多く、環境の変化により体調を崩しやすくなります。リタイヤしたら自由に好きなように生きればいいのですが、長年「会社」という組織で仕事に追われ、自分自身のことをじっくり考える余裕がなかったり、あるいはあえて避けていたりする人もいたでしょう。
その結果、今後何をしていいのかわからなくなる人が多く、特に真面目な日本人にその傾向が強いようです。
そういう人たちは、自分の体型を見直してみることから始めましょう。今後の生き方のきっかけがつかめるかもしれません。
目次
まず、裸になって自分を大きな鏡で見る
お腹が出ていませんか。それも下っ腹が。それは、腸間膜周囲に内臓脂肪がたっぷりついているからです。
胸を見てみましょう。乳首の位置が若い時よりかなり下になっていませんか。それは大胸筋が落ちているのです。
首を見てみましょう。完全に二重アゴになっていませんか。首回りの筋肉や顔の表情筋が落ちたりして顔や首回りの脂肪が下方へ下がってきたり、皮下脂肪がついたりした結果です。
下半身を見てみましょう。太ももが細くなっていませんか。大腿四頭筋やハムストリングが落ちているからです。脛(スネ)が細くなっていませんか。それは腓腹筋が落ちているからです。
お尻を見てみましょう。お尻が垂れてきていませんか。それは、大臀筋が落ちてきているからです。
腕を見てみましょう。二の腕がたるんでいませんか。それは、上腕三頭筋が落ちてきているからです。
いかがですか。若い頃に比べてかなり筋肉が落ちているのがわかるはずです。普段仕事で忙しく自分の体をじっくり見ることがなかったから気がつかなかったのです。自分の最も身近なものなのに。
さらに、内臓脂肪や皮下脂肪がたっぷりついているでしょう。仕事での付き合い、理不尽な出来事での暴飲暴食、接待などでもう体中脂肪だらけかもしれません。
それでは、あなたはどんな体型になりたいのでしょうか。
若い頃の自分の体型に戻りたいのであれば、食事制限だけでは無理です。体脂肪(内臓脂肪+皮下脂肪)を落とし、筋肉をつけるためには、筋トレやジョギングなどの無酸素運動と有酸素運動の組み合わせが必要です。
それとも別にこのままの体型でいいと思っているのでしょうか。
60代からの体は、自分が思っている以上に体力がかなり落ちています。
その自覚がない人があまりにも多いのです。したがって無理は禁物です。少しずつ自分の体を変えていきましょう。
まず、何キロ痩せたいのでしょうか。別の言い方をすると、どの程度体を絞りたいのか。
ダイエットで問題になるのは過剰な減量です。1ヶ月に10kg減量するのは無謀なことでリバウンドが起こる可能性が高くなります。
1ヶ月での適切な減量は体重の最大4-5%までと言われいます。例えば70kg人であれば、最大3.5kg/月となります。
しかし、これでも大変です。通常健康的なダイエットは月1kg程度の減量であればリバウンドの可能性も低くなるはずです。
どうやってダイエットをすればいいのか
食事編
・基本3食摂取し、糖質制限する
朝、昼、晩の食事をきちんと取りましょう。もう長年朝食抜きで問題ない方はそのままでもいいでしょう。
朝、昼は普通に糖質を摂取し、晩には糖質制限をしましょう。例えば、ご飯を摂取しない。糖質は野菜などから摂取する。ご飯1膳(150g)のカロリーは252kcalあります。糖質が最も太る原因になります。
白米や食パンなどの白い炭水化物(糖質+食物繊維)の摂取を制限することが大事です。これらは砂糖と同じで、虫歯、血糖値の急上昇(→肥満、糖尿病などを誘発)の原因になりますのでここから食事制限しましょう。
それに代わる食物として玄米、ライ麦パン、全粒粉パンなどの褐色炭水化物を摂取しましょう。これらはカロリーは白い炭水化物とほとんど変わり合いませんが、血糖値が緩やかに上昇し太る原因を抑制してくれます。
例えば、脂肪1kgを燃焼させるためには7200kcalのエネルギーが必要です。つまり、1ヶ月で1kg減量するには、240kcal/日の摂取カロリーを控えなかればなりません。ちょうどご飯1膳分ですね。
・タンパク質を意識して摂取する
糖質制限の分タンパク質を摂取しましょう。肉、卵、チーズ、魚、豆腐、納豆などには多くのタンパク質が含まれています。日本人はもともとタンパク質の摂取量が少なく、60代以降が特にそれが顕著です。タンパク質は、筋肉だけでなく毛髪、皮膚、歯、骨、消化酵素、ホルモンなどの材料になります。
また、食事でなかなかタンパク質を取れない人は、プロティンパウダーを摂取してみましょう。
・海藻、きのこ類を摂取する
海藻、きのこ類は低カロリーであり、腸内環境の改善をしてくれます。また、食事の量を増やしてくれるので満腹感も得やすくなります。
・こまめに水分を補給する
水分を摂取することで代謝を高める効果があります。1日に必要な水分は体重kgの4%と言われています。例えば、体重60kgの人であれば、60×0.04=2.4kg(=2.4リットル)の水分が必要です。
・アルコールもほどほどに
アルコールの主成分であるエチルアルコールはエンプティカロリーと言って、人の活動エネルギーにならないし、体内にはとどまらず排出されます。しかし、エチルアルコール量が増えると中性脂肪を溜め込もうとする物質が体内から分泌されます。
このためアルコールも太る原因になります。さらに、ビール、日本酒、ワインなどの醸造酒にはこのエチルアルコール以外に糖質が含まれているので、多量に摂取すると太る原因になります。
醸造酒よりもウイスキーや焼酎などの蒸留酒を飲みましょうと言われるのはこのためです。しかし、アルコール度数の高いほど、エチルアルコールの量が多くなるので結局摂取し過ぎれば蒸留酒も太る原因になるのです。
一般に缶ビールなら500ml1本であれば問題ないでしょう、ということですが、これも個人差がありますので注意が必要です。
毎晩飲酒している場合は、少し節酒してみましょう。
運動編
食事制限だけでは、体脂肪が落ちても同時に筋肉量まで落ちてしまいます。筋肉量が落ちると基礎代謝が落ちるのでダイエットを長期で見た場合得策ではありません。基礎代謝は、年齢や体重で決まる安静時に消費するエネルギーのことですが、骨格筋は基礎代謝の20%を占めています。
例えば、基礎代謝(新陳代謝)量が1600kcalあるとすると、1600×0.2=320kcal/日の消費になります。黙っていても320kcal消費してくれるのです、筋肉は。この筋肉が落ちてくると基礎代謝が落ちてくるのです。
食事制限だけによるダイエットが失敗する理由の一つには、この基礎代謝が落ちることによるリバウンドがあります。
また、筋肉がつくと体に張りが出てきます。これも重要で見た目を意識する場合、筋肉があったほうがいいのです。
もちろん筋肉があったほうが活動範囲が広がり心身ともに健康的になるでしょう。筋肉がついてみるとはっきりその違いがわかります。
20歳の頃より徐々に筋肉量が落ちて60歳になると20歳の時の筋肉量の80%程度に落ちています。そしてさらに加齢にしたがって急降下で筋肉量が落ちていきます。
・有酸素運動で内臓脂肪を落とそう!腹筋運動は無駄!
まず、お腹周りの内臓脂肪を落としましょう。内臓脂肪はつきやすく落ちやすい体脂肪です。ジョギングなどの有酸素運動によって、内臓脂肪を徹底的に落としましょう。
運動による消費カロリーの計算式は下記の通りです。
運動による消費カロリーkcal=1.05×(METs−1)×時間h×体重kg
METs(メッツ)は運動強度で軽いジョギング(7km/h)は6メッツですのでこれを使います。なお、そのほかの運動強度はこちらを参照願います。
ここで体重60kgの人が1時間ジョギングをしたとすると、その消費エネルギーは下記の通りです。
1.05×(6−1)×1×60=315kcalとなります。
1か月に1kg体脂肪を落とすのに十分な消費エネルギーですね。
しかし、1回1時間も走っていれれないという人は、30分×2=60分と分割してみましょう。分割しても同じ消費カロリーになります。
繰り返しますが、お腹周りの内臓脂肪を落とすには、食事制限と有酸素運動が重要です。筋トレでは落ちません!間違ってもお腹の脂肪を落とすためにクランチなどの腹筋運動をしないように。100%無駄な努力です。お腹の割れた腹筋が見えるようにしたいならば、内臓脂肪を落とせば自然と見えてきます。
・筋トレで基礎代謝を上げう!
食事制限で減少しやすい筋肉を維持・増加させるために筋トレは必要です。人の体の筋肉量は下半身に60-70%あります。したがって、ダイエットする場合は下半身を鍛えるのがダイエットに効果的です。
下半身を鍛える筋トレには、スクワット、ランジ、デッドリフトなどがあります。鍛えられる筋肉(群)は下記の通りです。
スクワット、ランジ:大腿四頭筋(メイン)、ハムストリング、大臀筋
デッドリフト:ハムストリング(メイン)、大臀筋、大腿四頭筋
私はやっている下半身の筋トレは、ブルガリアンスクワットとフロントランジです。いずれも腰に負担がかからない筋トレとなります。腰痛持ちの私にとってはありがたくも辛い種目です。
ここで自重によるスクワットとランジのついて簡単に説明しておきます。
[スクワット]
①肩幅程度に両足を開いて立ち、両手を胸の前に突き出すか、腰に当てます。
②前方を見てトイレに座るように股関節から曲げていきます。
③太ももが床と平行になるまで曲げたら元の姿勢に戻ります。
④これを20回×3セットほど行います。
ジムでは、バーベルを担いたりダンベルを両手に持って行うとさらに負荷がかかって筋肉がつきます。
自宅では、背中に重いものを詰めたリュックを背負って行ったり、ペットボトルを持って行うこともできます。
[フロントランジ]
ランジは、スクワットが足を横に開いて行うのに対し、一歩前に足を出して行います。ここでは、フロントランジについて説明致します。
①肩幅程度に足を開き、片足を一歩踏み出します。
②前脚の太ももが床と平行になるまで曲げます。
③曲げたらかかとを蹴って元の位置に戻ります。
④これを左右の足でそれぞれ15回×3セット行います。
これもジムでは、バーベルを担いだり、両手にダンベルを持って行うとさらに負荷がかかり筋肉量が増えます。
自宅では、スクワット同様背中に重いものを詰めたリュックを背負って行ったり、ペットボトルを持って行うこともできます。
さらに上半身では、ジムに行かなくとも腕立て伏せで大胸筋、懸垂(公園の鉄棒)で広背筋を鍛えることができます。
・筋トレ後に有酸素運動を
ただし、筋トレによるカロリー消費には期待しない方がいいでしょう。有酸素運動の方が同じ時間ではエネルギー消費が高いのです。
筋トレのような無酸素運動のエネルギー源は糖質です。一方、有酸素運動は糖質と脂肪になります。
筋トレで脂肪は燃焼しない代わりに、脂肪を脂肪酸(のちに遊離脂肪酸となる)とグリセロールに分解します。
このため、筋トレの後に有酸素運動をすると脂肪(遊離脂肪酸)が効果的に燃焼します。
また、神社仏閣などの長い階段、坂道ダッシュでは、下半身強化と心肺機能アップの無酸素運動と有酸素運動を組み合わせたようなトレーニングとなります。ぜひ試してみてください。
このような食事制限や運動を続けていると、自分の体型が少しずつ変わっていくのがはっきりわかります。はじめは、ゼイゼイ肩で息をしていた運動もいつも間にか楽にこなしている自分に気がつくでしょう。ウエストも確実に絞れます。
体脂肪が落ち、筋肉がつくと自分に自信が持てるようになります。
服装にも変化が現れ、同年代より若い服装が似合うようになるでしょう。
株や不動産に投資するのではなく、自分自身に投資しましょう。(←慢性金欠の私には株も不動産投資ももともと無理ですが。)
まとめ
・糖質制限する
・食事制限だけでは脂肪だけでなく筋肉も落ちる
・タンパク質を意識的に摂取する
・お腹周りの脂肪(内臓脂肪)を減らしたい時は、糖質制限+有酸素運動が必須
・腹筋運動では100%お腹周りの脂肪は減らない
・内臓脂肪が落ちたら皮下脂肪を落とそう
・皮下脂肪の部分痩せはない
・筋肉をつけて基礎代謝を上げる
・筋トレ後の有酸素運動が脂肪燃焼に効果的
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