社会

ある大手メーカーの中年派遣社員の生活

「家について行っていいですか」というテレ東の番組があります。たまに見ていますが、途中から見た先日の番組では、中央線のマイナー駅として豊田駅周辺での取材がありました。

中央線の豊田駅は、高尾や山梨、長野方面に登山に行く時に通る駅です。東京の立川と八王子に挟まった本当にマイナーな駅です。

ある中年独身男性の派遣社員生活

53歳の独身の男性で仕事帰りの夜安い定食屋(確か日高屋だったかな)で食事をした帰りに取材を受け自宅まで付いていかれる羽目になったようです。

家に着くと引っ越して1年ちょっとの6畳一間にキッチンとバストイレ付きのアパートで、洗濯機は室外の通路に。家賃は35000円/月。ほとんど外食で家ではスナック菓子を食べる。

仕事は大手自動車会社系列の倉庫での仕事で派遣社員ということです。月給は15〜18万円。3ヶ月毎の更新。

養護施設出身で中学卒業して働き始め、夜間高校へ行ったものの不景気で会社をリストラされ、以来派遣社員を転々としているそう。

趣味は、AKB48だったか、アイドルグループのファンでセーラー服が大好き。ネットでそういうアイドルと見るのが楽しみらしい。そういう店に行かないのかという問いに、「お金がもったいないので行かない」との返事。

今雑誌や本などで中年の派遣社員の悲惨さが話題になったりしていますが、それを地で行っているような感じです。

登録型派遣社員と常用型派遣社員

一口に派遣社員と言っても「登録型派遣」と「常用型派遣」があり、一般企業に多い事務系派遣社員(ほとんど女性)は、この「常用型派遣」社員となり、製造工場など派遣先が決まったら派遣会社と派遣社員で雇用期間を決めるのが「登録型派遣」社員です。

したがって、この53歳の派遣社員は3か月更新なので「登録型派遣社員」なのでしょう。

現在派遣社員は、2017年度の統計では160万人程いたようですが、この登録型派遣社員が圧倒的に多く135万人程いたようです。しかし、実際はもっと多いでしょうね。

事務系の派遣社員は、派遣会社と派遣先の契約期間が終了しても、派遣会社と派遣社員の雇用関係は継続しますので、こちらの方が安心感はありますし、生活の困っているというよりも自分の使いたい時間(育児、趣味など)のために派遣社員として割り切って働いている人も多いでしょう。

一方で登録型派遣社員は本当に「食うために」「生きるために」働いている人たちです。

それにしても彼と私では、育った環境とは全く異なります。しかし、私も子供の頃、別の家庭で育っていれば別の人生があったろうにと思ったこともありました。

慢性的な金欠でこのままでは後何年今と同じような生活できることやらと思ってしまう状況ながら、この映像を見てちょっと考えてしまいました。

私は、独身であり会社員時代から公私にわたって親しい人は極端に少なかったせいか、周囲と比較することがあまりなかったので人に対する羨望や嫉妬などは非常に少ない方だと思っています。

逆に言えば、自己中で自分のことしか考えていなかったので人のことなどどうでも良かったのかもしれません。また、人間のキャパが小さいので仕事のこと、生活することで頭がいっぱいだったことも事実です。外資系だったのでいつ事業撤退や解雇されるかもわかりませんでしたので、そう言った不安もありましたね。

そんな私でも私より8歳若いのに現在も今後も不安定な派遣社員しか生活の場がない(であろう)ということは、少なからずショックでした。実際その晩の夢にも出てきました。

私が53歳の頃はまだ会社員(正社員)でした。つまり、厚生年金制度も社会保険もありました。3か月更新なんてありえません。雇用期間が限定されているなんて相当なプレッシャーで、何か仕事に問題あってもクレームを入れることは困難でしょう。嫌だったらやめれば、と言われるのがオチですから。

もっともそういう私は、59歳になる年にM&Aでリストラされてしまったのですが。

それでも多少の蓄え(本当に多少!)があり、今こうして生きていられるのですが、彼には今を生きるので精一杯で(失礼ながら)多少の蓄えなんてないでしょう。

こういう人がいっぱい日本の工場にはいるんでしょうね。自動車工場だけじゃないと思います。海外からくる技術研修生なんていう人もそんな境遇なのでしょう。妊娠したのに病院へ行くお金がないというか保険証を持っていないので、生まれた赤ちゃんを捨ててしまうアジア系女性の事件が最近あったのを思い出しました。こういう人たちは今後も増えてくると思いますよ。

テレビの弊害がいろいろ言われて久しいのですが、テレビのすごいところは、ビジュアルでしょうね、やっぱり。雑誌や本では想像するしかなかったことが、テレビでは、派遣社員本人が画像として登場し、散らかった自宅を公開し派遣社員の生活感を映し出し、本人自ら自分の半生を語っているのですから、派遣社員に対するインパクトは強烈です。

それにしてもこういうのって単にその人の運・不運なんでしょうか。何が人の将来を分けてしまうのでしょうか。

他人の人生と比較する

こういう映像を見た人はほとんど「自分はまだ恵まれている方かもしれない。」と思うのでしょう。それでも中には「あの派遣社員の方が恵まれている。」と思う人もいるかもしれません。

また、「あの派遣社員よりはるかに給料は貰っているけど、その分ストレスで心身ともズタズタになっているので彼がそんなに大変とは思わない。」という人もいるでしょう。実際真っ当に働いて高給取りになるには大変な代償を払っているはずです。真っ当に働かなくても金持ちなんていう人もいますが。

結局比較してしまうんでしょう。私は比較しましたよ。「まだ俺の方がマシか。」と。普段あまりこういう比較する状況になることはないのですが。しかし、いつどうなるかわからないその不安があるから当夜夢を見てしまったのも事実です。小心者なので。

なんともやりきれない映像でしたが、当の本人が明るく語っていたのが救いでした。テレビだったので無理していたのかもしれませんね。

さて今後彼はどうなるんでしょう。

所詮は他人事ですか。

私にとっては他人事ではないのですが。

60歳になったら自分の体を見直そう!前のページ

お腹の脂肪の落とし方を知らない?ジムの中高年!次のページ

関連記事

  1. 社会

    新宿で見かけるおかしな人たちと哲学者の共通点

    毎日のように新宿へ行っています。目的地が新宿という場合と経由…

  2. 社会

    若い人のおかしな会話「大丈夫ですか」「大丈夫でしたか」

    私の衣類は下着を含めてほとんどユニクロか無印です。今…

  3. 社会

    オランダと日本の年金制度から自分の年金を考えてみた

    私のメールボックスに日本年金機構からまた「ねんきんネット」が…

  4. 社会

    4人以下にすべきところ5人で会食したと謝罪するおバカな政治家

    アイキャッチ画像:朝日新聞新型コロナ禍ではどうしても…

  5. 社会

    コロナウィルスの日本政府の対応について

    アイキャッチ画像:ウィキペディア連日連夜日本のマスメ…

  6. 社会

    日本の入管の人権問題はウクライナ支援よりもなぜ軽く扱われるのか

    先日札幌高裁で札幌地裁がトルコ国籍のクルド人男性の難民申請を…

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

最近の記事

2022年12月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
PAGE TOP