男はつらいよ!定年後の自己喪失
年をとると宗教に関心を持ったり救いを求めたりするケースが多くなります。やはり老後の生活(お金、健康)と漠然とした死への不安があるからでしょう。
特に男性は定年になって組織を離れフリーになると自分の身の置き所がわからなくなり自己の存在否定になりがちなります。
組織(会社)にいた時は、仕事と家庭のことで頭がいっぱいで余計なことを考える必要というか時間的余裕はなかったのですが、リタイヤしてみるといろいろなことを考える時間ができるのです。
現役時代に趣味などを持っていれば良かったのですが仕事に生きがいを見出してきた人にはリタイヤ後の生活は苦行そのものです。
それでも退職して半年程は自由を満喫できたりするのですが、その後段々元気長くなります。
仕事の合間に行くゴルフは楽しかったのですが、毎日ゴルフができる状態になるとあまり面白く無くなってくるのです。
また、仕事をしようと思っても60歳を過ぎると年齢制限というフィルターに振るい落とされます。
会社に残って65まで働こうと思っても今までと同じ仕事で給料は以前の0.6掛け、しかも上司はかつても部下。
モチベーションが上がらず結局早期にやめてしまいます。
どうやって今後生活したらわからなくなり、うつ状態になってきます。
とまあ、これが典型的な男性の定年後の姿です。
このうつ状態は1〜2年程続きますが、やがて定年後の生活にも心身とも慣れていきます。
ネガティブな精神状態から脱却するには
このうつ状態からの脱却にはいろいろなことにチャレンジしてみることです。
何か習い事でもいいでしょう。たとえば、中国語だとか英語だとか。
あるいはまた学生になるとか。大学、大学院に入って好きな科目を習得し、それを仕事に活かせるようにすることも「あり」です。
また、私のようにジムに行って筋トレをするのもいいでしょう。年を取っても筋肉が発達しますのでそれが確認できた時は素直に嬉しいものです。午前中に行けば同年代のジム友ができるかもしれません。
さらに、シニア海外協力隊(ジャイカ)というのもあります。難易度は高いようですが。私も何かいい仕事がないかと思いましたが、私にはちょっとハードルが高すぎたようです。
いずれにせよ、とにかく外出することです。
最悪は家に引きこもることです。
私は登山とジム(筋トレ)があったのでそういった精神状態には陥らなかったのです。しかし、そもそもそれほど会社に精神的に依存していなかったから良かったのかもしれません。基本的に会社組織を信用していませんでしたから。
それに「元々人生に意味とか目的などない」と理解しましょう。
その上で、興味の持てる目標を見つけることです。
会社員時代だけが人生ではないのです。そこを多くの人が錯覚しています。自戒を込めて!
シニアは女性の方が生き方上手
その点、女性はそのようなことになる場合が男性に比べて極めて少ないはずです。
なぜなら、日本社会の古くさい男尊女卑の考えから女性は幸か不幸か定年まで会社員でいる比率が男性に比べて非常に低いからです。つまり、女性は男性に比べて会社に定年までいることが難しいということ。
結婚後家庭に入り、子供が生まれると退職し、子育てに集中します。その後派遣やパートの仕事で復活するのが一般的です。
そのため組織に属しているという自覚が薄く、男性のように定年後の自己喪失に陥ることもないのです。
女性にとって仕事はあくまでも生活の糧と割り切っているので、男性のように仕事を「生きがい」することもないのです。
女性の生きがいは「生活をエンジョイする」ことに尽きます。仕事先ではおいしい店や旅行の話で会話が弾みます。
男性は縦社会ですが女性は横社会なのです。
男性も仕事を生活の糧と割り切って働けば、定年後の自己喪失はないはずなのですが、人生の大半を仕事中心にしてしまって心身とも浪費しているのです。そしてそこには男の見栄と世間体が見え隠れします。
女性の自己喪失があるとすれば、子育てが終わり、どんどん親離れしていく子供を見ることで起こります。
今までの自分の人生はなんだったのだろうか。これもパートの仕事を見つけたり友人と旅行に行ったり生活をエンジョイすることを意識するとその喪失感も軽減されます。
女性は男性より柔軟性があるのです。
私はあまり柔軟性がなく、要領も悪いのでメンタルの悩みは尽きません。消えては出てきます。
もう男性は肩の荷を降ろす時代
日本の社会はまだ男性社会なので仕事では男性がその能力に関係なく優位に立ちます。
しかし、これが男性にとっても女性にとってももう苦痛になってきたのです。
男性は会社の出世競争と家庭の間で板ばさみとなり、女性はやりたい仕事であっても結婚や子育てで中止しなければなりません。
いつの頃からか「男の止まり木」なんて言葉が生まれました。会社から真っ直ぐ帰宅する気持ちになれず、どこか飲み屋などによって帰宅するというものです。
この心理は、真っ直ぐ帰宅しても家庭での安らぎを感じない、仕事での心身の疲労を家庭では癒せない、あるいは家庭内離婚の状態から起こる現象です。
男の見栄なのか、仕事上の辛さを家庭に持ち込めないのです。あるいは、持ち込めない雰囲気が家庭(妻)にあるのかもしれません。それはどれだけ結婚後夫婦間のコミュニケーションが取れていたかの結果でもあります。
もういいのではないでしょうか。男性が無理して仕事をするのは。
何でもかんでも男性が仕事などで問題を背負い込むのはもう止めにした方がいいのです。
女性が社会にもっと進出しやすくなり、男性と仕事を分担できれば男性ももっと楽になるでしょう。妙に「女のくせに」などとは思わないことです。
別に私が女性の味方をしているわけではありません。性別に関係なく仕事ができるのであれば、その人を積極的に採用した方が仕事の効率が上がり会社への貢献ができ給料もアップ(底上げ)するでしょう。
仕事ができる有能な女性に男性は「嫉妬する」とこなく一緒に仕事をすればいいのです。私は外資を2社経験しており、常にM&Aで買収される側(つまり中小企業)にいたので上司は私より若い人が結構いました。
また女性社員に雑用(コピー、郵便など)をさせることは御法度という会社もありました。古い日系会社のおじさんにありがちな女性に「お茶汲み」をさせるなんて私に言わせれば信じられない行為です。
さらに、アメリカの親会社で女性がトップに立って日本の子会社に訪問した時は、やっぱりアメリカの方が進んでいるなぁと思ったものです。(もちろんアメリカもまだ男性優位社会ではあります。)
まあ、私とすればその時はもう50代半ばだったので「もうすぐお迎えが来るから」と女性がトップに立とうがどうでも良かったのですが。というよりあまりにも雲の上過ぎました。
女性も結婚を機に退職したりせず、仕事をしたいのであれば続ければいいのです。
もちろん、その時夫は妻も仕事をしている分、家事を分担することが大前提です。
それと日系の会社より欧米の外資の方が男女平等の感覚がある傾向なので女性は外資に入った方がいいかもしれません。給料も日系よりいいでしょう。
ただし、日本支社の場合、大きな会社は別として小さな会社では出世は見込めないかもしれませんが。
いずれひとりになるのです
独り者の私が最初に結婚を意識したのは20代ですが、その時私は「彼女を食べさせなければならない」と自覚していました。つまり、「夫が妻を養う」という意味です。
そんな話をすると彼女は「今時そんなことを言う人は珍しくなったわね。」と珍獣を見るような感じで回答してきました。
今から35年以上も前の話です。
彼女はエレクトーン(ピアノだったかな)講師でした。自活できる女性だったので共稼ぎの感覚でいたのだと思います。
今から考えると私は本当に頭の固い男だったと思います。結局私と家の事情で別れたのですが。申し訳ないことをしてしまいました。だからでしょうか、今でも夢に出ます。
男性(夫)も仕事で辛い時には女性(妻)に正直に言った方がいいと思います。
家計のために男女共稼ぎは今は常識になっています、というよりそうでなければ生活できない社会になっています。
しかしながら、共稼ぎと言っても夫は家事をほとんどしない人がまだ多いのが実態です。掃除・ゴミ出し・洗濯・買出し・子育てはできる範囲で折半すべきなのです。
今は夫にも与えられている会社の育児休暇もフルに活用しましょう。
ゴミ出しなんかやってられるかという男性もいるようですが、私は毎回ゴミ出しをやっています。独り者なので当然といえば当然ですが、何も恥ずかしいことはありません。
掃除・洗濯・スーパーの買出しも一人でやっています。
やがて否応なく誰でも一人になるのです。今から予行演習をしておきましょう。
以上は自分にも言い聞かせているのです。
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