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以前から骨盤のことが気になっていました。
骨盤は背骨と脚をつなぐかなめであり下半身の筋トレで意識してる股関節の一部を形成しているからです。
この骨盤の位置によって人の姿勢・体形や走り方まで大きな影響を与えます。
目次
骨盤の前傾と後傾の位置関係
骨盤の前傾と後傾とはザクっというと、前傾は骨盤が体の前側に傾いていること、後傾は骨盤が体の後ろ側に傾いていることをいいます。
日本人は骨盤が後傾しており欧米人は骨盤が前傾しているとよく言われます。
しかしこの骨盤の前傾と後傾とはどう判断するのでしょうか。
一番手っ取り早いのは背中を壁につけて立ち頭、肩、お尻、かかとをつけます。
この時背中に手の指が縦に2本分(もしくは握りこぶし1個)以上隙間に入れば「前傾」、手のひらが差し込めなければ「後傾」と言われています。
しかし、これはあくまでも一般的な目安であり医学的には主に下記の判断になります。
<骨盤の中間位(基準)>
上前腸骨棘(ASIS)より上後腸骨棘(PSIS)が2〜3横指高いもの
<骨盤の前傾>
3横指以上
<骨盤の後傾>
2横指以下
ちょっと専門的すぎてわかりづらいのですが一応これを押さえておきましょう。
その他下記は前傾、後傾を簡単にわかりやすく描かれています。
左右のイラストはともに左側がお腹、右側がお尻となります。
前傾・後傾による姿勢の変化
上記から骨盤の前傾・後傾によってどう姿勢が変わってくるのでしょうか。
前傾の主な症状
・腰痛
・ポッコリお腹
・大腿四頭筋の緊張(張り)
・ハムストリングス、お尻のたるみ
・X脚
後傾の主な症状
・腰痛
・ハムストリングスの緊張(張り)
・猫背
・O脚
上記のように骨盤の前傾と後傾によって反り腰やポッコリお腹、猫背などの姿勢の変化が出てきます。
逆に言えば姿勢を正すことで骨盤の前傾や後傾を直すことができるということでもあります。
骨盤の前傾・後傾に関与する関節
また、骨盤の前傾・後傾に必要な関節は下記の通りとなります。
・腰椎
・仙骨関節
・股関節
しかし骨格は関節で骨どうしが連結しているので一か所の骨の形が変わると他の骨や筋肉に影響を与えます。
したがってこれらの関節だけで骨盤が前傾・後傾するとは限らないのです。
さらに骨盤には骨格を動かす筋肉が多数付いています。これらも骨盤の前傾・後傾に強く関与しているのです。
それではどんな筋肉が骨盤についているのでしょうか。
骨盤に付いている筋肉
骨盤には下記のようにたくさんの筋肉が付いています。
体の前面
・腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)
・大腿筋膜張筋
・内転筋群
・恥骨筋
・縫工筋
・大腿直筋(大腿四頭筋の一つ)
・薄筋
・腹直筋
・内腹斜筋
・外腹斜筋
体の後面
・大臀筋、中臀筋、小臀筋
・回旋筋群
・大腿二頭筋長頭(ハムストリング)
・半腱様筋(ハムストリング)
・半膜様筋(ハムストリング)
こられの筋肉が骨盤の前傾・後傾に関与しています。
これ以外では骨盤に付いていないのにもかかわらず、骨盤の前傾に強く関与する筋肉があります。
それは大腰筋です。
大腰筋は腰椎と大腿骨の大転子をつなぐ筋肉ですが、股関節と仙骨をまたいでいるので腰椎を引っ張ると骨盤も引っ張られるのです。
さらに上記の中の筋肉で特に前傾・後傾に関与する筋肉は下記の通りになります。
前傾に関与する筋肉
主に前傾に関与する筋肉は下記の通りになります。
・脊柱起立筋
・大腿直筋
・大腰筋
・腸骨筋
骨盤前傾型は上記の筋肉、特に大腿四頭筋(主に大腿直筋)がハムストリングスより緊張し骨盤が前に引っ張られている状態と言えます。
後傾に関与する筋肉
主に後傾に関与する筋肉は下記の通りになります。
・大臀筋
・ハムストリングス
・腹直筋
・内・外腹斜筋
骨盤後傾型は、上記の筋肉、特にハムストリングスが大腿四頭筋(主に大腿直筋)より緊張(硬化)し骨盤が後ろに引っ張られている状態と言えます。
これらの筋肉が緊張(硬化、硬直)すると骨盤が引っ張られて前傾したり後傾したりする場合が多いのです。
日本人は後傾が多いというのは本当か
農耕民族の日本人は長らく稲作や畑を耕してきたので前かがみになり猫背で骨盤後傾しており、狩猟民族の欧米人は骨盤が前傾しているとよく言われます。
さらに90%の日本女性は骨盤が後傾しているという人もいます。
一方アスリート出身の身体のトレーナーの中には逆に日本人の骨盤はほとんど「前傾」しているという人もいます。
またある整体師は日本人の骨盤が「後傾」しているというのはウソで本当はもともと「弱前傾」で明治以降になって椅子に座る習慣になってから姿勢(骨盤の位置)が悪くなったという人もいます。
ただし圧倒的多数で日本人は「後傾気味」だと言われています。
一般に日本人と欧米人の姿勢はやはり異なります。欧米人が上背骨を真っ直ぐ伸ばしているのに対して日本人はやや猫背気味という印象があります。
ただし背骨の湾曲という意味では日本人の方が欧米人より少なく身体の後ろ面の筋肉、股関節周囲の筋肉が発達しづらく瞬発力が不足するのです。
しかし反面、日本人は繰り返し作業をするのに適しているので持久力があるのです。
それは歩き方・走り方にも表れています。欧米人はハムストリングを使うに対し、日本人は大腿四頭筋を使います。
ここで日本人の後傾を考える前に、逆になぜ欧米人は前傾が多いのか考えてみましょう。
先述の通り、骨格は関節で骨どうしが連結しているので一か所の骨の形が変わると他の骨や筋肉に影響を与えます。
欧米人の背骨では、腰椎(ようつい)が前に強くカーブするので下につながる骨盤も前に倒れます。
これが骨盤の前傾でそのためにお尻が後ろに突き出るような形になるのです。
極端にいうと出っ尻ですが平坦なお尻が多い日本人と違って身体の背面の凹凸がはっきりしています。
それでよく言われるのが陸上競技での日本人と黒人(あるいは欧米人)の走り方の違いです。
走り方でわかる前傾と後傾
日本人と黒人の走り方の違いには上記の大腰筋とハムストリングスが関与しています。
骨盤の前傾姿勢では体の背面にある背筋や太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)が引き伸ばされ、立つ、歩くなどの動作の場面で強い力が加わり、筋肉が発達しやすくなるのです。
ハムストリングなどの筋肉はしっかり伸びることではじめて力強く縮まります。
ちゃんと縮まないということはしっかり伸ばせていない証拠で、日本人はこの筋肉(ハムストリングス)が常に緊張(硬化)気味なので上手く使うことができないのです。
したがってハムストリングを上手に使うには伸びながらその(張)力を発揮するハムストリングスの伸ばされる感覚がでる動きをたくさんとりいれるべきなのです。
黒人を始めとする欧米人はこのハムストリングを上手く取り入れて走るのに対し日本人の陸上アスリートは脚の回転力(ピッチ)で速く走ろうとしているのです。
この違いはまさに骨盤が前傾しているかしていないかによるものです。
骨盤が後傾していると体の重心がかかとの方へ移動し、走る、飛ぶ、ボールを蹴るといった動作が前傾に比べて不利になります。
したがって日本人の骨盤は一般に中間位(ニュートラル)か後傾気味と言っていいでしょう。
まとめ
・医学的には骨盤の前傾・後傾には骨盤の上前腸骨棘(ASIS)と上後腸骨棘(PSIS)の2点の位置で決まる
・ASISよりPSISが2〜3横指高いものを基準(中間位)とする
・前傾:3横指以上
・後傾:2横指以下
・骨盤の前傾・後傾に関与する関節は腰椎、仙骨関節、股関節である
・骨盤の前傾に関与する主な筋肉は、脊柱起立筋、大腿直筋、大腰筋、腸骨筋
・骨盤の後傾に関与する主な筋肉は、大臀筋、ハムストリングス、腹直筋、内・外腹斜筋
・日本人は欧米人に比べて後傾気味はニュートラル(中間位)である
・欧米人の走り方はハムストリングスを上手く使っているが日本人は上手く使っていない
・日本人のハムストリングスは緊張(硬化)気味であり上手く伸びることができない
・骨盤が後傾していると体の重心がかかとに移動し体の後面の筋肉、股関節周囲の筋肉が発達しづらい
骨盤の前傾・後傾に関してランダムにザクっと書きましたが次に書く機会があればもう少し筋トレや運動機能との関連で書きたいと思っています。
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