社会

高齢者の介護と中高年のひきこもりという日本人の病

先日NHKのクローズアップ現代で「ひきこもり死」という番組を見ました。高齢の親と中高年のひきこもりの子の関係で、親の死亡でひきこもりの子が死亡もしくは生活困難になるという話。

この番組に関心を持った理由はおそらくひきこもりの子の年齢は私に近いのではと思ったからです。

93歳の父親と61歳のひきこもりの息子

私が注目したのは93歳の父親と61歳のひきこもり息子の話です。現在その男性は61歳で私と同じ年(私は今年62歳なので1歳上になるかも)だったので気になりました。

高齢の父親の年金で暮らしていましたが、ある日隣の部屋で寝ているはずの父親が死んでいるのを息子が発見したのですが、どうすればいいかわからず1ヶ月間放置しておいたというものです。

この心理が分かる部分と分からない部分があります。分かるというのは、誰にもひきこもりであること、貧乏な生活をしていることを知られたくないということです。

分からないところは、1か月も放置すれば腐敗が進んで体液が流れ出し悪臭まみれになったはずです。それでも「同居」していたというのは明らかに異常です。

結果、「死体遺棄」となって逮捕で執行猶予。現在は生活保護を受けて一人暮らし。

母親の介護のために仕事を辞めたのが失敗の元

若い頃10年ほど働いた会社を病気になった母親の看病をするために退職したということが間違いだったと思います。

本人はどうしてこうなったのかと首を傾げているようですが、やっぱり、仕事を続けてお金を稼いでそのお金で母親の入院費・介護費を負担すべきでした。

しかし、母親や父親の介護などで仕事を辞めざるを負えない人たちが結構いるようですが、その辺が私には理解できないことです。

もっとも私のような自己中の人間には親の介護なんて元々できませんが。ただ、もし介護をしなければならなかったらお金で解決しようとするでしょうね。つまり、保険がきく範囲で何らかの形で第3者を使うでしょう。

当然子供は引き続き仕事をしなければなりません。それは看病される親にとっても看病する子にとっても必要なことです。いずれ親は死にますが、子は引き続き生活しなければならないからです。

それが親と子の双方にとって一番いい方法だと思います。

多くは親(父親)の年金頼み

高齢の親と中高年のひきこもりの子の生活費は、多くは父親の年金です。従って父親が死亡すれば年金も減額されます。(親名義の)自宅を所有していれば少しの期間は生きていけるでしょうが、長くは難しいでしょう。

ましてや賃貸ならばとてもとても生活はできないはずです。

やはり直ちに生活保護を受けざるを得ないのですが、ひきこもりですので外部との接触がなかなかできないわけです。

また、そういった状況かにおいても生活保護を良しとしない人たちもまだいるようです。ひきこもりでもないのに生活保護を受け、パチンコなどのギャンブルにうつつを抜かす人もいるといるのに。

結局親が死ねばひきこもりの子も死ぬ

以前私が勤めていた会社の同僚は3人兄弟の末っ子で1番上が海外の工場で働いており、2番目の兄は一旦東京の大学へ行ったものの水が合わなかったのか途中で退学して実家に戻ってそのままひきこもってしまいました。

実家も当初両親とその兄の生活だったのですが、父親が亡くなりしばらくして母親も寝たきりになって母親は親戚が預かるようになったそうです。

一人になった兄は母親と一緒に親戚の家で暮らしたのか実家で一人暮らしになったのかはわかりませんが、数年前亡くなりました。当時の年齢は60歳近かったのではないでしょうか。

どんな理由で亡くなったのか元同僚は言いませんでしたが、私は自殺ではないかと思っています。生活費も大変だったかもしれませんが、精神的なものが大きかったのではないでしょうか。

私もひきこもり?だった

引きこもる理由は様々でしょう。ちょっとした理由でひきこもることがあります。いじめ、受験失敗、失恋、失業、うつ病、人間関係(対人恐怖症など)、いろいろですが基本は人間関係でしょう。

かくいう私も実家にひきこもったことがあります。

実際にはひきこもりと言っていいのかどうか。大卒後3年勤めた会社を辞め東京にいた私は英語を勉強するためにイギリスへ行く2、3日前に父親が死亡し、急遽飛行機で実家へ。

そこからトンボ帰りして当時の格安のパキスタン航空で成田からイギリスへ。半年後帰国し実家へ。当初は(末っ子)長男だったこととまた母親から「あなたは私の面倒を見なければならない」なんて直接言われる始末でかなり悩んでいました。

本当は東京で外資系に入って仕事をしたかったのですが、決断がつけずズルズルと実家で過ごす羽目になりました。当時はなんとも優柔不断で軟弱!あれほど日本の会社はダメだ、外資系だと言っていたのに!何をしにイギリスへ行ったのでしょうか。

バイトや契約社員をしたことがありますが全く興味が持てずほとんど実家にいました。というのも「自分の人生を犠牲にして親のために実家で生活するのだから意に沿わない仕事は絶対にしない」と意地を張っていたところもあります。

そのため結構姉貴にこずかいをせびっていましたね。今から思うと恥ずかしい限り!!

しかし本人はひきこもりという意識は全くなく、毎日本屋や図書館へ行ったりたまに高校時代の友人と話し込んだりしていましたが、毎日これからどうすればいいのかと焦る日々だったことは覚えています。当時「ビーング」というリクルート雑誌を結構読んでいた記憶があります。

さすがに母親もこれではダメと思ったのでしょう。朝起きると新聞記事の就職欄の切り抜き記事がテーブルに置いてあり、その会社の所在地は東京でした。

そうこうしているうちにようやく決心がつき東京で就職することになったのです。実に6年かかりました。この間は私の人生で最も暗黒の時代で恥部です。

6年のブランクがあって正社員で入社できるのはかなり難しいと思いますよ。私はかなりラッキーだったのではないでしょうか。しかし、その会社は出来立ての会社だったので色々問題があり大変でしたが。

希望通り外資系に就職しましたが5年後さらに別の外資系に転職しそこで落ち着きました。

従って私は厚生年金を収めていない時期が他の大卒より多く、さらに独り者なのでもらえる年金が少ないのです。まさに自業自得、不徳の致すところです。

しかし、母親の「あなたは私の面倒を見なければならない」と言われたことにはショックでしたのを今でも覚えています。私が母親の介護(要介護2の認知症)などする気など全くないのはこの言葉のせいもありますね。

私が自己中なのは母親譲りか?

日本人は自己否定しやすい(自虐的)性格

ひきこもりには日本人の性格もあります。基本的に真面目で従順。協調性があるといえば聞こえがいいのですが、要は人の目を非常に気にするという性格を持っています。それが最近問題にもなっている「同調圧力」が生まれる要因になっています。

海外では何か問題が起こると自分のせいではなくまず他者のせいにする癖がありますが、日本人は、ひょっとしたら自分が悪かったのかと内向的になる傾向があります。

他人の目を気にする性格と自虐的な性格。これらが日本にひきこもりが多い原因になっています。

もっと他人の目などを気にしなければいいのです。

ひきこもりはなぜ女性より男性に多いのか

それにしても話題になるひきこもりはほとんど男性です。これはどうしてなのでしょうか。一説にはひきこもりの3/4が男性と言われています。

おそらく、日本社会が男性に厳しい社会だからしょう。いわゆる学歴、職歴が大きく関与しているはずです。

これはいろいろあるひきこもりの原因の一つに退職によって行き場をなくした結果ひきこもるケースが多いという事実からもわかります。

女性の場合は、無職になって家にいても家事手伝いなどという中途半端な形で生活を継続できるのでひきこもりとは言えない状況に置かれやすくなるのです。

男はつらいよ!の世界と言いたいのですが、そのひきこもった男性も結構自宅でPCでゲームをしたり漫画を読み漁ったりしているらしく親がいるうちはなんとかなるわけです。

しかし、一方では今の自分を決して良しとはせず、なんとか抜け出したいと思ってもいるのです。まさにジレンマの世界にいて現実逃避しているのです。

日本の雇用問題にも原因

これらの性格に加えて日本の雇用問題も絡んでくるのです。

ステップアップの転職であれば問題ないのですが、それ以外の個人都合(親の看病など)で転職を繰り返すと段々雇用条件が悪くなってきます。

その結果厚生年金や雇用保険などがない会社で働かなければならなくなります。たとえそれが大手の会社(工場)であってもブラック企業です。正社員と同じ仕事をして一方が社会保障されて他方がされないというのはおかしな話です。

しかし、一方で生活保障された人が多くなると社会保障を脅かす問題にもなるわけでひきこもりをなくす手立てを考えなければなりません。

ひきこもりの人の再就職支援のバックアップがないのではないかと思います。一気に現場復帰ではなく徐々に復帰するという形があるはずです。

参考記事:

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