アイキャッチ画像:日本記者クラブ
NHKテレビのプロフェショナルという番組で「黒柳徹子」さんの特集をやっていました。
10日間密着取材するというものでNHKも黒柳さんの年齢(87歳)を考慮して今のうちに撮っておこうと思ったのに違いありません。
好奇心旺盛の黒柳さんもNHKの意図はお見通しなのですが自分でもどういう日常を過ごしているのかを映像として自分を見てみたいと思ったのでしょう。
そして私はその映像の中で黒柳さんの歩き方が気になったのでした。
自然と(?)二軸歩行をしている黒柳さん
老化にしたがって高齢者の歩き方は変わってきます。
それは加齢による筋肉の減少(サルコペニア)によって自然に変わってくるのです。
筋肉がある若い頃は右足や左足が身体の中心に来るような歩きかたをする一軸歩行(中心軸歩行)をしていましたが加齢とともにその歩き方だと身体のバランスが取りづらくなるのです。
特に老化すると下半身の筋肉の減少が著しくなるので無意識のうちに安定して楽に歩こうとします。
例えば両足を揃えて起立する場合と肩幅に足を開いて起立するのとではどちらが身体が安定するかといえば、足を少し開いた方が安定します。
黒柳さんの歩き方は右と左の足の間隔(歩隔)が開いておりまさに二軸歩行のような歩き方になっているのが印象的でした。
歩く速度はゆっくりでさらに上半身が前傾し上半身の筋力が弱っている様子がわかります。
これは多くの高齢者に見られる歩き方です。
登山で推奨される二軸歩行
先述の歩行のイラストは山のブログであるYAMAYAから抜粋したものです。
二軸歩行は足場の悪い登山では推奨される歩き方です。
特に重いザックを背負って上り下りを歩く場合は膝などの下半身にかかる負荷が大きくなりますので一軸歩行よりエネルギー消費が少なく身体の安定性が高い二軸歩行が推奨されるのです。
なぜ一軸歩行はエネルギー消費が高いのか
一軸歩行は右脚を前に動かしたとき、骨盤は反時計回りに回転します。
そのままでは身体は左に向いてしまうので左手を前に出すことによって身体のバランスを取ろうとします。
今度は左脚を前に動かすと骨盤は時計回りに回転し、右手が前に出ます。
この繰り返しで前方に進むのですが常に骨盤を反時計・時計周りに回転させ、かつ両手を前後に振らないとうまくスムーズに前に進むことができません。
それに引き換え二軸歩行では一軸歩行より骨盤の回転が少なくて済むので両手の前後の振りも少なくて済むのです。
したがって二軸歩行は一軸歩行よりエネルギーの消費を抑えることができるのです。
しかし逆にいえば、ダイエットをする場合はよりエネルギー消費の高い一軸歩行が推奨されます。
ナンバ歩きも二軸歩行
歌舞伎などで右脚と右手、左脚と左手をそれぞれ同時に動かすような歩き方を「六方を踏む」といういい方をしますがこの六方の踏み方も二軸歩行です。
古来日本人はこのような歩き方をしており、特に着物を着ていると膝を高く上げては歩きにくいのでこの歩き方になったのかもしれません。
また下駄やわらじといった日本のはき物も影響があったのでしょう。靴はつま先(フォアフット)で蹴り出すことができますが、下駄やわらじはすり足に向いたはき物です。
最近では日本のアスリートがこのナンバ歩きにヒントを得てスポーツに利用しているようです。
まとめ
二軸歩行は登山では初心者が膝を痛めて初めて学ぶ歩き方です。私もその歩き方を知っていましたがこれは老人のような歩き方と思って好きになれませんでした。
また登山をやり始めた頃はダイエット(お腹の脂肪を減らしたい)も兼ねていたので一軸歩行で登山をしていたのです。
さらに極端なO脚や変形性膝関節症になると自然に歩隔が広くなります。後ろから見ると脚の間から前方の景色が見えるのです。
そのため私個人は生涯こういう歩き方にならないようにしたいと思っています。
プロフェショナルで「孤独を感じることはありませんか」というインタビュアーの質問に黒柳さんは「それは独身で子供もおりませんからそう感じることはありますが、家庭を持たなくても後悔したことはありません。」
そして「好奇心を持って生きていたい。」と答えていました。
高齢者になっても好奇心を持って生きていれば何も不安を感じることなく「お迎え」が来るのでしょう。
それでもテレビで黒柳さんの歩く姿を見ていつポックリ逝ってもおかしくないと思ったのは私だけでしょうか。
合掌!
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