広く一般にインナーマッスルという言葉が認知されてきましたが、どうも使い方に誤解があるようです。
トレーニング本などで体幹を鍛えるときほとんどインナーマッスルに注目する傾向があり、一部に体幹=インナーマッスルというイメージが出来上がってしまい勘違いしている人も多くいるようです。簡単に言えば、体幹とは胴体のことです。インナーマッスル=体幹ではありません。
一般に筋トレなどで筋肉肥大や筋力アップを狙う時の筋肉は、表層筋(アウターマッスル)と言いますが、これに対してより体内の内部の方にある筋肉を深層筋(インナーマッスル)と言います。
しかし、実際は表層筋と深層筋も入り組んでおりその判別は一般の人には難しいのです。
また、インナーマッスルとアウターマッスルは、筋肉の質が異なります。筋肉には、遅筋と速筋があります。全ての筋肉には遅筋と速筋が配合されています。この配合率は遺伝によってほぼ決まっています。
遅筋は、持久力がありますが、瞬発力はありません。また、鍛えても筋肉肥大はほとんどありません。一方、速筋は、瞬発力はありますが、持久力がありません。鍛えると筋肉肥大をします。
インナーマッスルは、遅筋量>速筋量の傾向があり、アウターマッスルは、インナーマッスルよりも速筋量が多くなります。ただし、日本人は欧米人に比べて遅筋量が多い傾向があります。
したがって、インナーマッスルを鍛えても筋肉肥大にはなりません。
それでは、アウターマッスルは、主に骨格全般を動かすために使われますが、インナーマッスルは、どんな働きがあるのでしょうか。
インナーマッスルの働き
・姿勢を正す
インナーマッスルは別名「姿勢筋」とも言われ、主に姿勢を保持するために使われます。
背骨や骨盤の維持するための脊柱起立筋や腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)などはその代表的なインナーマッスルです。
・関節の位置決め及びその動きの微調整
肩、肘、膝、腰などの関節の動きの微妙な動きの調整をします。また、各関節は骨と骨の接合部ですが、これらをガッチリつないでいるのは靭帯です。しかし関節を安定にさせ動かすためにはこれらのインナーマッスルが必要なのです。インナーマッスルのサポートがあって筋トレなどで十分にアウターマッスルを鍛えることができるのです。
例えば、手首、腰、足首などのひねりなど力の方向を変える時にはインナーマッスルが働きます。
つまり、インナーマッスルは体の動きをコントロールする筋肉と言っていいでしょう。インナーマッスルを鍛えることによって体の動きを安定にさせるのです。
アウターマッスル:関節を動かす
インナーマッスル:関節を安定にする
主なインナーマッスル
それでは、インナーマッスルは具体的に人体のどの部位にあるのでしょうか。主なインナーマッスルは下記の通りです。
[胴体]
横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群、腰方形筋、 脊柱起立筋、内腹斜筋など
[肩関節周囲]
棘上筋、棘下筋、大円筋、小円筋
[股関節周囲]
梨状筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋など
[骨盤周囲]
腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)、骨盤底筋など
上図(腸腰筋)画像出典元:http://glut110.blogspot.com/2009/09/blog-post_28.html
上図(骨盤底筋)画像出典元:https://www.seitai-refuge.com/お悩みの症状/筋-筋膜性腰痛/骨盤底筋群が原因の腰痛/
インナーマッスルが弱くなると
それでは、どのインナーマッスルが弱くなるとどんな症状を起こすのでしょうか。
・椅子に座ると脚を開く→内転筋群(太もも内側の筋肉)の筋力低下
・段差につまづく→腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)の筋力低下
大腿骨につながっている腸腰筋は脚の上げ下げに関与する筋肉です。
・ちょっと駆けたり、階段を上がるとすぐ肩で息する→横隔膜、外肋間筋、内肋間筋などの呼吸筋の筋力低下
・背中が丸くなる→脊柱起立筋群の筋力低下
・咳を何度もするとお腹が痛くなる→腹横筋などの呼吸筋の筋力低下
・尿漏れ、便漏れ→骨盤底筋の筋力低下
インナーマッスルの鍛え方
それでは、インナーマッスルを鍛えるにはどうしたらいいのでしょうか。下記はその代表的なトレーニング方法です。
[内転筋群]
[腸腰筋]
[骨盤底筋]
[呼吸筋]
・ジョギング
[脊柱起立筋]
・プランク
ただし、インナーマッスルの中で腸腰筋は少し特別で、インナーでありながらアウターマッスルような働きをします。
この記事へのコメントはありません。