先日の丹沢山のピストンでまだ筋肉痛の残っていた昨日、本屋で月刊誌の立ち読みをしていると面白い記事を見つけました。
その記事を書いたのは渋谷でワインバーを開いているオーナーで、コロナ禍における飲食店の将来に関しての話です。
誰でも簡単に開業できる飲食店
私は飲食店を開くためには調理師の資格を持った人が必要だと思っていましたがそれは間違いでした。
調理師の資格がなくてもお店で調理できるのです。その場合は調理師とは言わず「調理士」という場合があります。
ただし国家試験である調理師は調理師の資格を持っていない人は調理師ということはできません。
飲食店を開くために必要な資格は「食品衛生責任者」だけです。
これは各都道府県の保健所に行って1日講習を受けるといただける資格です。
つまりほとんど誰でも有資格者になって飲食店を開業できるのです。
さらに自分のやりたい居酒屋やバーなどで2、3年修行してから日本政策金融公庫あたりから200〜300万円の融資を受けて開業すれな良いのです。
もちろん自前のお金があったり自分で他店で修行しなくても自信のある人は即開業してもOKなのです。
いたってハードルが低いのが飲食店の開業。
しかし、ここに「ワナ」があるとそのワインバーのオーナーが言っています。
コロナ禍における飲食店の明暗
コロナ禍で長期休業に追い込まれた結果倒産したり閉店したりした飲食店は後を絶ちません。そのほとんどが個人事業主です。
全国展開している大手の居酒屋チェーンでも100店、200店閉店したりしています。
しかし大手は倒産はしていませんね。
その他料理店でもテイクアウトをしたりネット販売したり、あるいはそのお店の料理人がネットで料理講座を開いたりしてコロナ禍を乗り切ろうとしています。
しかし一般の個人経営の飲食店ではどうでしょう。
どの組織にも属していないので政府に援助を持ち込めることができません。
JA(農協)のような大きな組織をバックに持つ団体であれば政府に持ちかけいろいろ便宜を図ってもらえます。
ここが超簡単に開業できる個人事業の飲食店のもろさでもあります。
また個人事業主がコロナ禍でいきなり簡単にネット販売だとか料理教室などを開くことができるでしょうか。
テイクアウトはどうでしょうか。以前お店で出していた食事を同じ料金でテイクアウトで販売しようとすると「高い!」と思うことはないでしょうか。
冷めているしテイクアウトもなかなか大変そうです。
このワインバーのオーナーも店内での食事をテイクアウトで販売したところ「高い!」と言われたそうです。
結局自分の店は「空気」を売っていたと言っています。
店の雰囲気や客同士の会話など「空気」を売っていただけでその店が出す料理やお酒を売っていたわけではなかったのだと気がついたのです。
したがってこのオーナーは自分のコロナ後のワインバーの経営に関してはとてもネガティブな考えを持っています。
中小企業の行く末
これらの個人事業の経営者はすべて中小企業に属します。
日本の中小企業は全企業の99.7%(357万社)を占めます。そして大企業は0.3%のみなのです。
従業員20人未満の会社の割合 :20.5%
従業員250人以上の会社の割合 :20%以下
です。
これをOECDの中で比べると
日本を含めて従業員20人未満の会社の多い国は、多い順にギリシャ、ポルトガル、イタリア、スペンン、そして日本となってます。
これらの国々はすべて「生産性の低い国」です。
GDP世界第3位といってもそれは日本の人口が多いからで一人当たりのGDPに換算すると日本は世界の中で何十位となり、もうすぐお隣の韓国に追いつかれる状況です。
新しく日本の首相になったショボい菅首相はこの中小企業対策に取り掛かってりはずです。
2020年政府の成長戦略会議のメンバーにもなったイギリス出身の「デービッド・アトキンソン」さんは小西美術工藝社の社長であり、元ソロモン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックスのアナリストでもありました。
この人が菅首相の強力なブレーンともっぱらの噂です。
デービッドさんは日本の生産性が低いのは「日本に中小企業が多すぎるから」と言っています。
このことは以前も私のブログ(「景気が良くないと感じる原因は少子化、中小企業、低賃金」)にも書いています。
日本経済は0.3%の大企業からコストダウンを押し付けられた中小企業の「低賃金」で成り立っています。
別に大企業だけで日本経済が成り立っているわけではありません。
いかにしてこの理不尽な大企業の押し付けを跳ね返すことができるような体力を中小企業が持つかが「カギ」となります。
そのためには「最低賃金をアップ」させ「中小企業を統合」させるしかないというのがデービッドさんの持論のようです。
おそらく最低賃金をアップさせることで大企業との板挟みになって倒産する弱小企業も出てくるでしょう。
それでもなお「非効率な生産性」の中小企業を改革しなければならない、と私は思います。
そして超簡単に開業できる個人事業の飲食店なども20人未満の中小企業に入るのです。
まとめ
コロナ禍で飲食店が廃業、倒産、閉店と呼び方は違っても営業中止には変わりません。
こういったお店はやはりきつい言い方かもしれませんが「なるべくしてなった」と言えるでしょう。
営業中止を回避するためには何らかのアイデアが必要です。
個人の体力のみで何とか営業してきたお店はコロナと老齢のダブルパンチでもろさが露見したのです。
若ければまた新しいお店を持つことも可能でしょうが高齢者にとっては厳しい現状です。
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