また登山での滑落記事が出ました。
場所は八ヶ岳。美濃口から入って1泊2日で硫黄岳、横岳、赤岳へ縦走する途中横岳と赤岳の間に位置する三叉峰付近で滑落したようです。いずれも3000m近い高山です。亡くなったのは58歳の男性。
実は私もテント泊に憧れてこのルートで登山した経験があります。
ソロ登山でテント泊2回目だったので何が必要で不要かもよく分かっていなかった頃です。と言っても結局テント泊は3回しかしたことがないのですが。
以前登山ブログでも書いたような気がするのですが、私は赤岳鉱泉でテントで前泊して上記の山をピストン縦走しました。
横岳を通過して赤岳に行く途中間違って別の登山ルート(杣添尾根)に行ってしまいずいぶん時間と体力のロスをしたことを覚えています。どんどん下っていって何か道間違いしていないと不安になっていた頃登ってくる人がいたので聞いてみると全然違うルートでした。
何でまた下山していたのかいまだにわかりません。
何とか三叉峰まで戻っていった時は空腹でバナナ1本食したことを覚えています。その後赤岳に向かって上り始めたのですが残念ながら山頂はガスで周囲の景色が見えませんでした。
帰りのバスの時間が気になって下山開始してまた赤岳鉱泉に戻りテントを撤収してまた美濃口まで下り始めました。
本当は赤岳鉱泉小屋で昼食にカレーを食してから下山する予定だったのですがルート間違えで1時間以上ロスしてしまったので昼食をとらず下り始めたのです。
これが大きな間違いというのは後で身を持って知りました。
半分くらい?下りた頃でしょうか、建設現場の足場のようなアルミ製板が2枚並んで何枚か繋がって岩と岩の間にかかっています。
この板を渡っているときに急に立ちくらみというのか意識がスゥ〜となくなり前屈みに倒れそうになりそのまま落下してしまいました。
運よく?下は1m程度の窪みだったので助かったのですが、体は真横に落下したようで右半身が下の岩に直撃しました。頭はこめかみあたりが岩にぶち当たったようで、周囲にいた登山客が何人も集まってきて大丈夫ですかと尋ねてきます。
私は恥ずかしくて「バスの時間がないので」とそそくさとその場を立ち去りました。
後で思い返すとこれが「シャリバテ」というヤツなのでしょう。
糖質が不足して脳への回る分が不足してしまったのです。
恥ずかしさと空腹とバスの時間が気になり早足で下りて行きました。
バス停まではまだ距離がありましたが途中にあった山荘で一番早くできる食事を聞くとざるそばということだったのでそれを頼みました。
なかなか出てこないのでバスの出発時間だけが過ぎていくような気がしましたが、ようやく出てきたざるそばをガツガツ食したので近くのテーブルで休憩していた若いカップルがこちらをみて何やらささやいていました。
そんなことにはかまっていれないれないので速攻全部食い切り山荘を後にすると現金なもので急に足取りが軽くなってスピードアップ。
何とか最終バス時間に間に合いました。
これを後に知人に話すと「もう一泊すれば良かったのでは」と言われましたがテント泊は1泊で十分という気持ちが強かったのです。
それというのも憧れのテント泊でしたが
・夏場だったせいかテント内は暑い
・テント内外の音がじゃじゃ漏れ
・眠くなっては1時間ほど寝てまた目が覚め、またうとうとしてまた目が覚めることの繰り返し
・朝食時間は早出になるのでいつもよりはるかに早い時間でお腹がすかず
・さらにドライライスだったのですが全然うまくなく
・ワインを折り畳めるプラスチック製の容器に入れて持っていったが全く美味しくなく
・結局山荘で缶ビールを購入
・周囲の学生キャンパーたちの馬鹿騒ぎでうるさくまったりなどできず
楽しいテント泊とは言えませんでした。
これも経験を積むと上手になるのでしょうが重いザックを担いでこの程度かと思ったのも事実。
ただし硫黄岳に登った時と横岳に向かって縦走した周囲の景色は良かったですね。
まあテント泊2回目でソロでしたので不安と期待の入り混じった感覚で精神的に余裕がなかったのです。
その後北岳を1泊2日でテント泊したのがテント泊の最後となりました。
というわけでこの滑落事故の記事を読むとまだ登山熱真っ只中だった自分を思い出しました。
もう紙の新聞は読んでいないのでネット記事でしかわからないのですが登山事故が目立つようになりました。
低山でも事故が多いと聞きます。その理由は低山の登山を甘くみて軽装で登る人は後を立たないからだそうです。
私は奥多摩や丹沢の何度も行ったことのあるルートでも道間違いしてしまう方向音痴なので低山でも結構緊張して登っています。
三叉峰で滑落した男性もビギナーではないと思います。ちょっとした油断ではないでしょうか。
私のようにシャリバテでふっと意識が飛んでしまったのか同行者とお喋りをして足元確認不十分で滑落してしまったのかはわかりません。
私の記憶では三叉峰あたりは登山道は狭いのですが急な坂というほどではなかったのような気がします。むしろ赤岳直下のザレ場が急で滑りやすく登りずらかったような印象があります。最もあの頃はまだ今より体力がありませんでしたが。
先日ブログにも書いた北穂高岳の滑落死した69歳の男性はおそらく自分はまだ若いと自分の体力を過信していたのかもしれません。この三叉峰で滑落した58歳の男性もひょっとしたら同じく過信していたのかも。
私も自分は同年代より5〜10歳若いと自負していましたが今年右膝が変形性膝関節症になり老化の証明をしてしまいました。
まだ若いと思って奥高尾を毎週のように30km縦走し下山時には走るトレーニングをしていたので膝をやられてしまったのでしょう。
筋トレでもあちこちの関節を痛めその都度軟弱な体を思い知らされたのですが山でも思い知らされたのです。
山は自己の体力を確認できる場でもありますがときに過信させ油断させ命を奪う場でもあるのです。
加齢になればなるほど自分の体力を、身体能力を過信してはいけません。
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