先日ダンベルブルガリアンスクワットの記事でも書きましたが筋トレで左脚の大腿二頭筋腱(膝裏外側)を痛め登山でさらに悪化させました。
それでも最近になってようやくその痛みが軽度になってきました。
しかし下半身の筋トレ時には問題ないのですが筋トレ後ジムを出て駅の階段の昇降で軽度の痛み(違和感)を感じこれが次の筋トレ日まで続くのが現状です。
また登山を始めた間もない頃には同じ左脚の膝外側の腸脛靭帯を痛め本格的に筋トレを始めるきっかけを作りました。
何かしらの運動をしていると必ずと言っていいほど筋肉痛や靭帯・腱の炎症などを起こすことがあります。
特に中高年になって運動不足の人が運動をすると硬化した筋肉、靭帯、腱が悲鳴をあげこれらの部位が損傷したりする場合があるのです。
そこで今回はその靭帯と腱についてお話し致します。
目次
靭帯・腱の炎症の原因
先述の通り私は登山で腸脛靭帯、膝蓋腱(膝蓋靭帯)、筋トレで大腿二頭筋腱を痛めた経験があります。
左膝の腸脛靭帯炎は登山の下山時に5回に4回は起こり筋トレによる改善、克服までに1年以上要しましたが今では全く痛くなりません。大腿四頭筋が発達してきたからです。
これらすべての炎症はもともとの下半身の筋力不足と繰り返し運動によるオーバーユースが原因です。
それではそもそも靭帯や腱は筋肉とどう違うのでしょうか。
靭帯と腱
靭帯は骨と骨を結合する組織で主に線維質のコラーゲンでできています。
腱は骨と骨格筋をつなぐ組織でやはり主な組成分は線維質のコラーゲンです。特に靭帯は腱より強固で柔軟性がありません。
靭帯も腱もコラーゲンが束になって密に並列になっている状態ですがこれは筋肉が筋線維が束になっている状態と非常に似ています。
しかしこれらの組織には細胞がわずかしかないため生命に必要な血液や酸素もしくは栄養素をほとんど必要としません。
したがって毛細血管は血流が何とか保持しているレベルの数しかありません。
つまり靭帯や腱はコラーゲンという「物質」の塊なのです。
別の言い方をすれば何かこれらの部分に損傷があった時に自然回復は非常に難しい場合があると言えます。
一方筋肉には柔軟性があり血管がたくさん通っており酸素や栄養素を送ることができさらに筋グリコーゲンを貯蔵することができます。
これが筋肉が靭帯や腱との違いです。
加齢による靭帯の強度の変化
私が靭帯や腱を痛めた理由の一つに加齢があります。
靭帯には強く関節を保持するコラーゲンだけでなく靭帯に柔軟性を与えるエラスチンという両方の成分が存在しています。
これらの成分は加齢にしたがって減少していきます。
しかしこの靭帯の強度が弱くなると若い頃は問題なかったような負荷でも加齢により関節内の靭帯が切れやすくなったり関節の柔軟性が低下する原因になります。
靭帯や腱は強化できるか?
それでは靭帯や腱は強化できるのでしょうか。
先述の通り筋肉に比べて靭帯や腱には毛細血管がほとんど通っていません。
筋肉はトレーニングを行うと筋肉に酸素や栄養素が運ばれ筋肉が強化されていきますが靭帯や腱にはそれが期待できないのです。
そう考えると靭帯や腱は強化できないはずなのですが、そうではないとする意見もあります。
例1)「動物実験で動物に数週間運動させると膝の靱帯が変化した」
これは運動により膝周りの筋肉が発達したのに伴い膝の靭帯も発達したという報告です。
また「筋肉肥大にはその結合組織の細胞も強くなることが必須」という研究報告もあります。
つまり筋トレで筋肉肥大を狙う場合必然的に靭帯や腱も強化されるということです。
例2)「腱に適度な運動や物理的刺激を与えることで腱が発達する」
日本の大学教授のマウスやラットを使った実験研究によると
「筋肉などの体の部位を作るときに司令塔となるMohawk遺伝子が腱の発達に重要な役目を果たす」
「腱・靭帯特異的遺伝子Mohawkは腱を構成するI型コラーゲンや腱線維をつなくプロテオグリカンの産生に必須の遺伝子である」
「腱に適度な運動や物理的刺激を与えると腱にMohawak遺伝子の発現を促進しコラーゲン繊維も増加した」
「腱の細胞には運動・物理的刺激を感知しMohawk遺伝子をコントロールする別の遺伝子がある」
これらが全て人にも当てはまるならば運動で靭帯や腱を断裂損傷した人や中高年にとって朗報です。
しかし靭帯や腱を構成する主成分であるコラーゲンなどは血流の少ないこれらの組織にどうやって運ばれるのでしょうか。その辺がまだよくわかりません。
ちなみにコラーゲンを体外から摂取しても体内で分解されてアミノ酸になるだけですのでコラーゲンをたくさん含む高価は食品やサプリを摂取しても意味はありません。
その辺の詳細は「コラーゲンを摂取してもアミノ酸に分解されるとを知っておこう」を参照願います。
靭帯や腱の損傷の予防
加齢による靭帯や腱の機能低下や経年劣化を防ぐためにはやはり適度な運動によってこれらの部位に刺激を与えることです。
これらの部位は血流が乏しいのですが運動によって体温の上昇があるのでこれらの部位も上昇するはずです。体温の上昇により筋肉の柔軟性を高めます。
これによって靭帯や腱の柔軟性が保持できます。
また筋トレ前の動的ストレッチ、筋トレ後の静的ストレッチで筋肉と一緒に弾性のない靭帯や腱にも物理的刺激が与えられこれらの部位の強化が期待できます。
栄養面から言えば血流の乏しい部位ですがコラーゲンというタンパク質が主成分ですのでやはりタンパク質、タンパク質の代謝を促進するビタミンB6、コラーゲン生成を促進するビタミンCを摂取を日々摂取するといいでしょう。
まとめ
・靭帯や腱の主成分がコラーゲンというタンパク質の一種である
・筋肉に比べて靭帯や腱はほとんど弾性がなく血流に乏しい
・筋肉など体の部位を作るときの司令塔となるMohawk遺伝子は腱の運動・物理的刺激によって発現しコラーゲン線維を増加させる
・腱や靭帯に適度な運動や物理的刺激を与えることで腱や靭帯が発達する可能性がある
・食品で腱や靭帯の発達が促進されるならばその摂取すべき栄養素はタンパク質、ビタミンB6、ビタミンC、そして亜鉛である
・コラーゲンを摂取しても体内でアミノ酸に分解されるだけである
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