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ようやく観たい映画、観て良かったがまた出てきました。
映画タイトルは「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」です。監督は私の好きなスペインのペドロ・アルモドバル。
題材は安楽死。映画館は私の好きな新宿ピカデリー。
『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』の超ザックリしたあらすじ
癌に侵された女性が安楽死を求めて親友に死まで寄り添うことを託す物語です。
最新の化学治療中で回復の期待を持っていたマーサ(ディルダ・スウィントン)はやがて癌の転移を知り絶望感を感じる。その治療のために今までどれだけの苦痛を味わっても回復を信じて我慢してきたのに。
戦場記者だったマーサは安楽死を決意。そして親友の作家イングリッド(ジュリアン・ムーア)にその決意を伝え自分の死まで隣室にいて欲しいと依頼する。
しかしイングリッドは安楽死は犯罪であることや死そのものへの恐怖心から一旦はその提案を拒否するもマーサから彼女の友人・知人全てからその依頼を拒否されたことを聞き最終的にその付き添いを受け入れることになる。
実行猶予は1ヶ月以内。その間森の中にある家を借りて2人はそこで過ごすことに。
イングリッドはマーサに内緒でマーサと関係を持ったことがある男性と接触。その男性は社会では犯罪とされる安楽死からイングリッドを守るために弁護士をつける。
マーサは安楽死の合図として普段は開いているマーサの寝室のドアが閉まっていたら安楽死を実行したということ、とイングリッドに伝える。
そしてその後充実した数日間を過ごすが、まもなくそのドアが閉まっていることに気づく。
鑑賞後の感想
・この監督の映画は独特の色彩感覚がありますが今回もいろいろな原色を使っていました。
・私がこの映画に興味を持ったのは好きな監督というだけでなく、なんといっても安楽死が題材だったからです。余命何年と言われた人たちは日本国内にも何万人もいることでしょう。(体のあちこちにガタがきていますが)一応筋トレ・登山で健康を維持している私にとっても死は無縁の世界ではありません。
現在67歳の私は男性の平均寿命から言えばすでに余命15年前後なのです。全く他人事ではないのです。
かねてより私が癌になったら延命治療はしないと決めています。今現在安楽死は一部の国・地域にしか認められていませんが自分も長期苦痛を伴いながら死ぬよりは安楽死を選択したいと考えるほうです。
この映画の特徴はキリスト教(おそらく一神教の全て)では安楽死、つまり自死は犯罪であるという概念がありまた法律でも犯罪であることから社会的に否定的なことをこの映画ではある意味肯定しているのです。
そして最後まで観ていても重苦しい感じはなくむしろ清々しい感じさえ与えてくれます。
これがこの映画を成功に導いているのではないでしょうか。
私も観ていてこう言う死もいいな、と思いました。
映画のなかで癌支援団体から安楽死は「裏切り」「卑怯者」と言われているようですが。
・マーサの死後、長らく疎遠だった一人娘も登場するのですが、その娘役がなんとマーサ役のディルダ・スウィントンの一人二役だったのはちょっと無理があるような気もしましたが…。
・この映画は2024年ベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞しました。
終わりに
この映画は役所広司主演の「PERFECT DAYS」以来、観て良かったと言える映画でした。
午前10時40分開場の映画でしたので客の入りは大きな会場といえ半分もいませんでしたが先週末の土曜日は満席で私は予約を断念したほどでした。
やはり年配の方が多くご自分たちの年齢から平均年齢を考慮すると余命10年前後の人たちが多かったように思います。
私もこの先どうなっていくのか全くわかりませんが言えることがただ一つ。
「先のことは誰にもわからないので今を楽しく生きること」です。
そう達観したのはかなり前なのですがいまだにグツグツ考えたるするのは人間だからでしょうか。それとも単に往生際が悪いからか。
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