健康

長友佑都選手のファットアダプト食事法に対する素朴な疑問

前回脇の下から発する甘酸っぱい匂いの正体について書きましたが、ネットサーフィンをしているとたまたまプロサッカー選手として海外で活躍している長友佑都選手の「ファットアダプト食事法」という本がヒットしました。

ファットアダプトというのはファットアダプテーション、直訳すると「脂肪の適応」という意味です。

この長友選手はこれまで体幹を鍛える本などいろいろな本を出していますが、この本の言いたいことはおそらく下記に集約されるでしょう。

「ファットアダプト食費法」の言いたいこと

・食事による高タンパク質・高脂質・低糖質の摂取の推奨

その比率は、P(タンパク質):F(脂質):C(糖質)=3:4:3

・糖質の代わりに脂質を運動エネルギーにする(ケトン体の利用)

・1日の総カロリーは気にしない

ただし、上記の高タンパク質、高脂質には「良質の」という形容詞がつきます。

高タンパク質:肉、魚、卵、大豆などの植物をバランス良く摂取する。

高脂質:不飽和脂肪酸の中のオリーブオイルや青魚に多いEPA,DHAなどを摂取する。時間のたった揚げ物は酸化しているのでNG。

特に青魚はフィッシュオイル(脂質)やタンパク質が豊富なのでなるべく加工しない状態で食するのがオススメです。

低糖質というのも1日あたり糖質何gときめえいるようですが食事の総カロリーには制限を設けていません。

これはまさしくケトン体の利用でトレラン選手などが採用している体質改善法です。

この食事法が向く人

長友選手はどうも高血糖の体質のようですが、この食事法が向く人は下記の通りです。

・食後高血糖になる人

・トレラン、トライアスロン、マラソン、サッカーなど長時間の持久力を要するアスリート

・ダイエットをする人

ケトン体のメカニズム

ここで少しケトン体の簡単なメカニズムを紹介します。

1.脂肪細胞中の中性脂肪

2.脂肪酸が分離

3.血中のアルブミンと結合し肝臓へ

4.ミトコンドリア内でアセチルCoAに分解される

5.さらにアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸を生成(ケトン体)

6.肝臓から血中へ

7.脳や筋肉などのミトコンドリアでエネルギー源になる

上記アセト酢酸から揮発性のアセトンも生成し呼気や皮膚から排泄されます。これが甘酸っぱい匂いの正体で、ケトン臭です。

このアセトンは脳や筋肉のエネルギー源にはなりません。

注)ケトン体の利用での注意は体臭が非常にきつくなることです。周囲に迷惑をかけないようにしましょう。

しかし、この本で気になったのが下記の部分です。

「ファットアダプト食事法」に対する素朴な疑問

この本はさらっとしか読んでいませんが(全部読まなくとも目次だけでも大体分かります)ネットで盛んにコピペされているのでそこからの抜粋です。(太文字は私が加工)

体脂肪は、脂肪細胞に中性脂肪として貯められている。中性脂肪も、食べる油と同じく3個の脂肪酸と1個のグリセロールからなる。そうなると食べた油⇒中性脂肪という直通ルートがあるように思える。でも、違うのだ。

食べた油は脂肪酸とグリセロールに分解されて吸収される。このうち、脂肪細胞に入れるのは脂肪酸だけ。中性脂肪=脂肪酸+グリセロールだから、片割れのグリセロールがないと、いつまで経っても中性脂肪は合成されない。

このグリセロールを作るのが、実は糖質=血糖。

「食べた油は脂肪酸とグリセロールに分解されて吸収される」

これは以前はそう言われていましたし、私も脂肪分解システムの中のブログでそう書いた記憶があります。しかし、現在では下記のように修正されています。

体内では中性脂肪→脂肪酸+モノグリセリド に分解されます

モノグリセリドとは脂肪酸1分子がグリセロール1分子に結合したものです。グリセロールはグリセリンのことで3価のアルコールで甘味料などに使用されます。

つまり現在では脂肪は体内の消化(代謝)ではグリセロールまで分解されないことがわかっています。

まだ多くの書物やネット記事にはこのような誤ったまま文章が表記されています。

「中性脂肪=脂肪酸+グリセロール」だから、片割れのグリセロールがないといつまで経っても中性脂肪は合成されない」

これが本当なら嬉しい話です。つまりここで糖質制限の意味が出てくることになります。

しかし、中性脂肪は小腸から門脈経由で肝臓へ行く中鎖脂肪酸(MCT→ケトン体質になりたい人が摂取すべき脂質)は別として多くの中世脂肪(長鎖脂肪酸)は、

胆汁酸で乳化さて「ミセル」となる( 十二指腸)

脂肪分解酵素のリパーゼで脂肪酸+モノグリセリドに分解(十二指腸)

小腸上皮細胞膜でミセルが分離(小腸)

小腸上皮細胞内で中性脂肪の再合成(小腸)

アポタンパク質と結合(小腸)

カイロミクロンとなる(小腸)

リンパ管に入り血液を通じて全身へ

上記から小腸上皮細胞内で中性脂肪になってアパタンパク質と結合して全身へ移動するのです。

したがって血中には中性脂肪が存在しその中性脂肪そのものが過剰の場合脂肪細胞に取り込まれないのかどうかが疑問です。

あるいは脂肪酸だけ脂肪細胞に取り込まれた場合のみの話なのかもしれません。この辺が不明です。

食後に血糖値が上がるとインスリンによって血糖は中性脂肪に取り込まれた後、グリセロールに変化する。食べた油からの脂肪酸と、血糖からのグリセロールが出合い、中性脂肪が体脂肪として脂肪細胞に蓄積される。体脂肪は脂質と糖質の合作。だから、糖質の摂りすぎは体脂肪の蓄積を促進させてしまうのだ。

「血糖は中性脂肪に取り込まれた後、グリセロールに変化する」

血糖とはグルコース(ブドウ糖)のことでブドウ糖が血中で中性脂肪に取り込まれて体脂肪として脂肪細胞に蓄積されるというわけです。

先述の本の内容からするとブドウ糖が脂肪細胞に入って脂肪酸と結合して中性脂肪になるのではないかと思います。

だとすれば「血糖は中性脂肪に取り込まれて」は「血糖は脂肪細胞に取り込まれて」の誤りではないかという疑問です。

あるいは先述のリンパ管経由で入った血中の中性脂肪が血糖を取り込んで体脂肪として脂肪細胞に蓄積されるでしょうか。この辺も不明です。

まとめ

上記の記事では自分の勉強不足もあり「脂肪の脂肪細胞での蓄積について」今後も調べていきたいと思います。

いずれにしても重度のてんかん病対策の一環としてケトン体が考えられましたが、日本国内の医療機関ではこのケトン体質への風当たりはまだ強いようです。

しかし、トレラン、トライアスロンのような長時間の持久力を要するアスリートたちにとっては馴染みのある食事法です。

私は筋トレと登山をするだけでアスリートでもなんでもないのですが、糖質制限だけはもう20年前からやっています。夕食だけ主食を抜くという「プチ糖質制限」ですが。

一般人の極端な糖質制限は体に良くないと思いますが、ある程度の制限はこ必要になってくるでしょう。

ただし、ケトン体質になると体臭が臭くなるというのは本当です。甘酸っぱい匂いが周辺に充満しますので自己責ということで。

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