映画

高橋伴明監督の社会派映画「安楽死特区」

アイキャッチ画像:映画.com

今日は新宿ピカデリーで封切りまもない高橋伴明監督の「安楽死特区」を観てきました。

この監督は私の学生時代におけるピンク映画の監督として知っていましたが結構社会派映画も撮っています。

最近では渋谷ホームレス殺人事件」を題材にした「夜明けまでバス停で」や赤軍派の逃亡者「桐島です」の監督を務めています。

「安楽死特区」のザックリしたあらすじ

なんとか安楽死が法律で認められた日本の社会で安楽死特区として安楽死を希望する者が入居する「ヒトリシズカ」という施設が開設されたが社会的、政治的にも安楽死に関しては異論が噴出している状態。

そんななか難病で余命半年を言い渡されたラッパーの酒匂章太郎(毎熊克哉)とパートナーでジャーナリストの藤岡歩(大西礼芳)は安楽死に反対しその特区の内部告発を目的に2人は入居することに。

この施設には末期がんに苦しむ池田(平田満)とその妻玉美(筒井真理子)、認知症に苦しむ元漫才師の真矢(余貴美子)らが入居しており章太郎は彼らの人生から少しずつ影響を受け心にも変化が生じて行くのだった。

章太郎はもう生きる気力を失い死にたいと言い出し、パートナーでジャーナリストである歩の猛反対を受けるが意思は変わらず最後を迎えるのだが…..。

鑑賞後の感想

映画.com

・テーマがテーマだけにもの静かに映画は始まり、また傾眠しそうになるもなんとか堪え観ていくと段々人ごとではなくいろんな面で考えさせる映画となり眠気が吹っ飛んだ。

・映画のなかで安楽死が日本でなかなか認められないのは、「安楽死を個人のものとして捉えることができず家族観の問題としてとらえてしまい家族及び社会が介入してくるのでなかなか個人の意見が通りずらい」と言った趣旨のことを医師役が言っていた。

私もその意見に同意するのです。日本人は死を希望するにあたって「もうこれ以上苦しみたくない」と思うと同時に「これ以上家族に負担をかけたくない」という気持ちもあるのです。自分の死に対してさえ家族という他者に気をつかうわけです。

個と家族、社会を分けて考えることができないのでしょう。これは個人主義と全体主義と言い換えてもいいのかもしれません。私のような自己中はやはりこういう場合やはり他者よりも自分を最優先し「さっさと殺せ」と言い放つでしょうね。

日本社会ではなかなか難しいのです。欧米のような個人主義社会でも安楽死を反対する人がいますがこれは安楽死=自殺となって宗教的な問題があるからでしょう。この点、日本は宗教的な面より人間関係の面で安楽死、尊厳死が認知されずらいのです。

・また日本の医師も延命治療が医療の最大の使命と考える人があまりにもこう言う医師の多くは患者の意思や苦痛を考えることはありません。こういった倫理観を改めない限り日本社会では認知されないでしょうね。

・出演者は上記以外に奥田瑛二、加藤雅也、余貴美子、友近、鈴木砂羽など錚々たる俳優陣が出演しています。みなさん演技がうまかったのですが私は末期ガンを抱えた池田の妻役の筒井真理子の演技がうまいなぁ〜と思いました。医師役の奥田瑛二も淡々としていて地でやっている感がありました。詐欺師(役)に向いている感じ。

・章太郎役の俳優は全く知らない人で高橋伴明監督の「桐島です」に出演していたらしい。演技はイマイチでしたが誰かに似ているなと思っていたのですがなかなか思い出せずにいます。たしか1970年代か80年代の関西出身のギターを弾くロック歌手でした。

終わりに

・会場が大きかったせいもありますが封切りまもないので半分くらいしか埋まっていませんでした。やはりテーマが重いせいもあるのかな。俳優陣は豪華なのですがね。

・後ろの方で鼻を啜っている人がいましたが身内で似たような状況の方がいらっしゃるのか、あるいは近未来に自分がなろりそうだと思ったのか。

・安楽死をテーマにした映画『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』も良かったです。むしろこちらの方が私は個人的に気持ちの導入が楽でした。

・以前私のブログでも安楽死のことを書いたブログ『高齢者は本当に長生きしたいのか?死の尊厳と国民皆保険崩壊』があります。

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