日本では政府の対応の遅れによりこれから新型コロナウイルスで悲惨な状態になっていく気配があり実質的なピークがいつなのか全く分からず予断が許さない状態が続いています。
欧米での悲惨な状況を見るといつ日本もあのような状況になるかわかりません。
テレビやネットでも自粛要請内容や補償問題でカンカンガクガクです。見ていて、読んでいてうんざりしてきますね。
しかし、そもそもウイルスって何者なんでしょう。
目次
そもそもウイルスは生物か?
ウイルスを簡単に言うと
「遺伝子である核酸をタンパク質(キャプシド)の殻が包み込んで粒子を作っているもの」
なのですが、従来ウイルスは「物質」だとか言われてきました。(以前私のブログでもそう書きました。)しかしその後の研究により「生物と無生物の境界領域に存在するもの」と言い方が変わってきました。
なぜこんな曖昧な表現になるかというとウイルスが下記のような機能を持っているからです。
・単独では自己複製できないが生きている細胞の中では複製できる
・宿主となった生物の行動にも大きな影響を与える
・細胞から独立した存在だが宿主の細胞に入ると遺伝子として機能する
・侵入した細胞のタンパク質を利用するなどして活動できるようになる
・生命維持のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)を合成できない
・タンパク質を合成できない
物質っぽいし生物っぽいですね。
つまり「生きている」という定義をどう決めるかによってウイルスの位置付けが変わってくるのです。
ウイルスの起源
それではウイルスはいつ生まれたのでしょうか。現在2つの「仮説」があります。
・DNA(デオキシリボ核酸)生物が出現する前に存在したRNA(リボ核酸)生物の遺物
46億年前誕生したとされる地球に対して一番古いDNA生物の出現は38億年前。その前に出現したRNA生物の生き残り(?)がウイルスという説です。
したがってこの説の支持派はウイルスは「究極の寄生性微生物」と考えるようです。
・細胞の遺伝要素の一部が細胞から飛び出したもの
つまりその遺伝子がウイルスとする説でこれが現在最有力です。先述の「ウイルスは生物か?」でもこの説をもとにしています。
つまりウイルスはどちらかというと「物質」と考える派です。
注1)DNAは遺伝子を持っている物質であり、遺伝情報の保存(記録)の役割があります。またDNAには遺伝子を持っている領域と持っていない領域があります。
注2)遺伝子とは遺伝情報を持っているDNAの一部(領域)を言います。
注3)RNAは遺伝情報の伝達、指示の役割を持っていますが非常に不安定で分解しやすい物質です。
人のウイルスは動物由来
人は何億年も前から存在していたわけではありません。
それではどうしてヒト(人)は感染したのでしょうか。
・6000年前 ネズミの祖先が出現
・5400万年前 牛や豚の祖先が出現
・100万年前 人類の祖先がアフリカに出現
・20万年前 現在の人類であるホモサピエンスが出現
ヒトは狩猟生活からやがて農耕生活になり野生動物を家畜として飼いならし一緒に生活するようになりました。
その結果ヒトは動物(家畜)からウイルスを感染されたと考えられています。
なぜコロナウイルスはコウモリが発生源(宿主)になるのか
多くのウイルスは野生動物、家畜、人などの体の中にいますが、人と同じように哺乳類であるコウモリは哺乳類の約20%を占めその種類は900種にも及びます。
さらに地球上に広く生息しているのです。そのためこれらのコウモリと接触した生物にウイルスが感染してしまうのです。
コロナウイルスはコウモリの中でも日本にも生息する「キクガシラコウモリ」の疑いが強く持たれています。
新型コロナウイルスは中国の武漢の海鮮市場が発生源と言われています。そこには日本人から見ればありとあらゆる動物が中国人の食材として生きたまま売られています。
また中国では今でも家畜と人が同じ屋根の下で生活する場合も多いのです。
したがってこういった環境下では人がウイルスに感染する可能性が高いのです。
ただし、コウモリから人へ直接感染するわけではありません。
それではどの動物から人に感染するのでしょうか。
コロナウイルスのパンデミック
コロナウイルスは1965年に発見されました。現在でも風邪の原因ウイルスの10〜15% はコロナウイルスによるものです。
過去のコロナウイルスの世界的流行(パンデミック)を見ると全てコウモリが感染源となっていますが、人に感染するのは「仲介役」の動物が必要です。
コウモリのウイルスが人の体に入ってもそのまま活動するわけではないのです。ウイルスは遺伝子として機能するので活動しやすくなるためには遺伝子(配列)の変異が必要になります。
そのために調査の結果他の動物(鳥、豚、犬、猫、タヌキ、ネズミ、猿など)が仲介役を果たしてきました。これらの動物の中に入ったウイルスが人に適合するウイルスに変異するのです。
下記は近年のコロナウイルスのパンデミックです。
2003年 SARS(中国)
2012年 MERS(中東)
2019年 COVID-19(中国)→新型コロナウイルス
SARS、MERSのいずれも感染ルートは「コウモリ」→「ヒトコブラクダ」→「人」でした。
今回の新型コロナウイルス(COVID-19)の仲介役の動物がまだ不明ですがいずれ解明されるでしょう。
人に適合しやすいウイルスを持つ動物
一般に人に適合しやすいウイルスを持つ動物がいます。
それは鳥と豚です。
つまり「コウモリ→鳥・豚→人」となりやすいのです。
鳥は人に感染するレセプター(受容体)を持っており、豚は人と鳥の両方のインフルエンザウイルスを持っています。
そのため人に適合するウイルスが豚にも当てはまるのでウイルスの流行のチェックのためにウイルス感染研究者は豚のウイルスを検査しているのです。
もちろん日々他の(実験)動物を使って人に適合した・しやすいウイルスの研究もしています。
まとめ
3つのコロナウイルスのパンデミックのうちSARSとCOVID(新型コロナウイルス)の2つは中国が発生地です。
その原因は中国特有(?)の動物を生きまま売買する市場と人・畜同一住居にあります。
中国の動物を全て食する貪欲な食欲は世界から非難されています。しかし日本ではクジラ、韓国では犬の食文化がありこの食文化はなかなか消えて無くなりません。
さらに中国では「上に政策あり、下に対策あり」と言われるくらいいくら共産党が生きた(食用)動物の売買を禁じてもその効果が一時的もしくは限定的なのです。
またウイルスは上記のように人や他の動物にとって悪役そのもののように映りますが決してそうでもないのです。
人や他の動物、植物の生存を助けるウイルスも存在し、海洋ウイルスは地球環境の維持にも役立っているのです。
60年前に発見されたコロナウイルスは未だに風邪の原因になっています。したがってこの新型コロナウイルスも今後も死滅(生物だとしたら)することなく毎年インフルエンザのように流行していくことでしょう。
そのインフルエンザウイルスでも毎年日本では毎年2,000〜3,000人、アメリカでは10,000〜20,000人亡くなっています。
したがって研究者のみなさんには一刻も早く新型コロナウイルスのワクチンを作っていただきたいものです。
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