先日地下鉄駅の下りエスカレーターに乗っていると隣の上りエスカレーターに乗った80歳程の高齢男性が乗ったまま片手で手すりにつかまりながら屈伸運動(スクワット)をやっていました。
あの年齢になると下半身の筋肉量が20代の頃の半分になったり膝関節そのものの動きがこわばってくるので無意識のうちにやってしまう行為なのでしょう。
高齢になればなるほど階段を利用した方がいいのですがどうしてもメンタルは楽な方楽な方に流れてしまうのが人間のサガです。
私も普段駅では上りも下りも階段を使うのですが長い階段になると楽をしようとエスカレーターを使うときがときどきあります。
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは
上記の高齢者は無意識に自らの筋力の低下がわかっているのでしょう。
加齢による筋力の低下は自然な現象ですが筋力が低下すると様々な症状を発症し日常生活に障害をもたらすのです。
通称ロコモとは加齢により筋力の低下、関節や脊椎などの病気の発症で運動器機能が低下し、立ったり、歩いたりすることができなくなって移動機能が低下した状態を言います。
関節リウマチ、変形性関節症、骨租しょう症、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、サルコペニアなどの発症によって移動が不便もしくは不能になります。
骨租しょう症、変形性関節症は特に女性に多い症状です。
また脊柱管狭窄症は70歳以上、サルコペニアは80歳以上に多いと言われていますがこれも個人差が若くてもなる症状です。
サルコペニアは筋肉量の減少による筋力低下ですが、脊柱管狭窄症は背骨にある脊柱管に入っている脳と各臓器や筋肉などをつなぐ神経の束は何らかの原因によって狭くなることによって神経が圧迫され手脚のしびれや歩行障害、排尿障害などの症状を引き起こすのです。
70歳以上の50%がこの症状を発症するとも言われています。
私は丸6年筋トレをしていたのにも関わらず登山で変形性膝関節症になりました。
残念ながら「登山の下山時の走行負荷総量>筋トレによる筋肉肥大量」だったのでしょう。
また排尿障害というほどではありませんが尿の排出が悪くなってきて小便に時間がかかるときがありますが私の場合はおそらく前立腺肥大ではないかと思っています。
筋トレはロコモの最大予防策
私があの高齢者と知り合いならば即筋トレを推奨します。
身体の70%の筋肉が集まる下半身の筋力の衰えは20歳前後から始まっており60歳代では歩行速度が遅くなり70歳以降は加速度的に筋肉量が低下します。
80歳になると筋肉量はもはや20代の半分に落ちます。
高齢者になると散歩がいい運動という人がいますが確かに下半身の関節を動かしたりカロリー消費をしたり血行を良くしたりするという意味では散歩はいい運動になります。
しかし散歩では筋肉はつきません。
残念ながら駅の階段を一歩ずつ上っても筋肉はつかないことも国内の大学の調査でわかっています。
それではどうしたらいいのか。
それは筋トレ、特に下半身中心の筋トレをすることです。
私が推奨する下半身の筋トレは下記の通りです。
・ブルガリアンスクワット (前脚の大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋、中臀筋)
・バックランジ(前脚のハムストリング、大臀筋、中臀筋)
・スタティックランジ(前脚の大腿四頭筋、大臀筋、中臀筋と後脚の大腿四頭筋)
・コブレットスクワット(両脚の内転筋)
・デッドリフト(両脚のハムストリングと大臀筋、中臀筋、脊柱起立筋)
・スクワット(大腿四頭筋)
これらは基本はダンベルやバーベルを使って行いますがまずは筋トレをしたことがない人はまず自重で行いましょう。
自重では15回x3セットを基本とします。それが楽にできるようになるとダンベルかペットボトルを持って加重してやってみましょう。
一番いいのはジムへ行くことです。
ジムに起きという行為自体が生活にリズムを与えてくれます。このリズムは非常に大事です。
またジムにはいろいろな設備が整っているだけでなく有償になりますがトレーナーもおり各人にあった筋トレ方法を指導してくれます。
サルコペニア関連記事:
『加齢による筋肉量の低下(サルコペニア)の原因とその予防法』
『高齢者の下半身の筋トレはサルコペニア防止と脳トレになる!』
筋肉をつけるために大切な栄養素
加齢にしたがって食事量が減ってくる傾向にあります。
いくら筋トレに励んでも筋肉をつける栄養素が不足していると筋肉量が増えません。
特に日本人は炭水化物を過剰に摂取しタンパク質が不足しています。
栄養学で3大栄養素と呼ばれるタンパク質(P)、脂質(F)、糖質(C)の3つのバランスが身体に大きな影響を与えます。
この比率がP:F:C=15〜20%:20〜25%:55〜60%になるように摂取することが大切です。
またタンパク質は筋肉肥大のために体重1kgあたり2gが必要と言われています。
例えば体重60kgであれば120g/日が必要になります。
しかしこれを食物から摂取すると結構な量になります。
さらに加齢にしたがって食物の分解・吸収量が落ちてくるので高齢者がさらに摂取タンパク質量を増やさなければなりません。
またタンパク質の1回の吸収量には限度があり個人差はありますが20〜40g/回が限度量になります。
したがって1回にタンパク質をたくさん摂取するのではなく小分けして摂取することが推奨されます。
小分けして食事をするのが面倒だったりそんなに食べることはできない人はプロテインパウダーの摂取をしましょう。
特に食が細くなった高齢者にはサプリとしてプロテインパウダーもいいでしょう。
しかし基本はあくまでも食事できちんとそしゃくして摂取することが大切です。
プロテインパウダーはあくまでも補食でなければなりません。
そしゃくすることで唾液が出たり脳に刺激を与えることができるのです。また胃腸などの臓器機能を維持するためにも食物をきちんと摂取することは非常に大切な行為と言えます。
また主食に白色パンや白米を摂取する人が多いと思いますがこれらはGI値を急激に上げインスリンを大量に分泌を招いて脂肪細胞に脂質を溜め込んでしまうのです。
インスリンは筋肉合成に必要なホルモンであると同時に肥満ホルモンとも言われているのです。
このため白物ではなく褐色もののパン(ライ麦や全粒粉)や玄米を摂取すると血糖値は緩やかに上昇するです。
ちなみに日本のパンは美味しいのですがバター、マーガリンほかいろいろな添加物が入っており健康的な食物とは言えないのです。
私も朝食は玄米です。
ビタミンも必要
筋トレにはビタミンも必要になってきます。もちろん筋トレをしなくても身体で合成できないビタミン摂取は必須です。
特に筋肉合成に関与するビタミンはビタミンB群とビタミンCです。
私のように毎日晩酌をして筋肉合成には良くない行為を行なっている人間には特にこれらのビタミンが必要です。
なぜならアルコール分解時にはビタミンCやビタミンB群が消費されてしまうからです。
アルコール分解でビタミンCが消費されることは以前から知っていましたがビタミンB群もそうだったとは知りませんでした。
それを知って以来ビタミンB群も摂取しています。
筋トレで筋肉肥大を狙っているトレーニーはプロテインだけでなくマルチビタミンも毎日摂取しています。
終わりに
男性に比べてもともと筋肉量が少ない女性がロコモになりやすい原因の一つにこの筋肉量の少なさがあるのです。
そうなる前に筋トレで筋肉貯金をしておく必要があるのです。
もちろん70歳からでも筋トレをすれば筋肉は発達します。
思い立ったら吉日なのです。
もはや3人に1人が65歳以上と言われる日本。
日中街を歩けば高齢者が多数を占めます。
トボトボ、ヨボヨボ歩きが多く日本一利用客が多い新宿駅構内では危なかしい高齢者がたくさんいます。
単に筋力を失ってカメ歩きをしているのか認知症で徘徊しているのかもはや判別不能な高齢者もいるのです。
そうなる前に筋トレで下半身の筋肉をしっかりつけることは本人の残りの人生に多大な影響を与えます。
この事実を真剣に考えない人はやがて人の手を借りないと歩けなくなったり寝たきりになったりするでしょう。
適切な筋トレ、栄養、睡眠で近い将来に寝たきりにならないように、また運悪く寝たきりになりそうなときに自死する体力(筋力)を残しておくべく筋トレをすることは必須なのです。
ジムでの筋トレは単に筋力アップのみならず生活のリズムをつける意味でも大変有効な自己投資なのです。
継続は力なり。
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