健康

卵のコレステロール問題がまた浮上してきた!正しいのはどっち?

昔から卵はコレステロールの問題から1日1個までと言われてきたと記憶する人もいるでしょう。

筋トレをする人でもタンパク質摂取のために毎日卵は摂取するけども黄身に含まれる脂質を嫌い卵白のみ摂取するという人が多いのです。

私は以前毎朝卵を5個(全卵1個、卵白4個)摂取していましたが、現在は全卵2〜3個/日摂取しています。

しかしここ数年前から卵のコレステロールの問題には科学的根拠が乏しいと判断されるようになりました。さらに厚生労働省(食事摂取基準)では、それまであったコレステロールの摂取基準値(成人男性750mg未満/日、成人女性600mg未満/日)が2015年版から削除されました。

ところが、今度(2019年)はアメリカのノースウエスタン大学が世界5大医学雑誌の1つであるJAMAで

「卵を週3〜4個摂取する人は全く摂取しない人に比べて脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクが高い」

と発表しました。

一体どっちが正しいのでしょうか。

卵はコレステロールが高いから問題という根拠

100年前のロシアの病理学者が、コレステロールが人体に与える影響を調べるために、ウサギを使って、栄養価の高い卵を食べさせた実験をしました。

この実験結果から、血中コレステロール値が増加し、卵が動脈硬化の原因になるという話が出回ったとされています。

しかしウサギは草食動物、そして人間は雑食性動物です。

草食動物であるウサギは、通常コレステロールを食することがないので、体内にその調整機能を持っておらず、卵を食べれば食べるほどコレステロールが増加していきます。

一方、人間は魚や肉を食しますので体内にコレステロールを調整する機能を持っています。

コレステロールは肝臓で合成されるものと食事から吸収されるものがあります。

食事で人の体内に入ったコレステロールは小腸で吸収され肝臓で調整されます。

血中のコレステロールは、約25%が食事から、約75%が肝臓で合成されたものです。

そしてコレステロールは食事で摂る量が少ないと肝臓で多く合成され、逆に食事で量が多くなると肝臓での合成量が少なります。

つまり食べ物でコレステロールを少し多めに摂取しても、肝臓でその合成量を減らし、その量を一定に保とうとするのです。

このあたりが科学的にわかってきて厚生労働省の食事摂取基準からコレステロールの摂取基準(目標値)が削除されたのでしょう。

2019年のノースウエスト大学の論文

これに対してアメリカのノースウエスト大学のJAMAへの論文発表では、

「週3〜4個の卵を摂取する人は全く卵を摂取しない人に比べて脳梗塞、心筋梗塞になるリスクが高い」と報告しています。

これは1日1個どころではありません。

この根拠はアメリカ人29,000人を17年半に渡って調べてきた結果で非常に信頼性の高い報告と評価されています。

この調査では卵以外のコレステロールは当然排除して卵に的を絞って調査している点と6つのグループの調査アプローチを総合して判断している点で画期的と言われています。

しかしそんなに卵のコレステロールは人体にとって悪者なのでしょうか。

そもそもコレステロールとは?

コレステロールは、「4つある脂質の1つ」でその他脂質には中性脂肪、リン酸質、遊離脂肪酸があります。

一見有害物質と思われがちなコレステロールですが、細胞膜、胆汁(脂肪を消化、吸収する)、ホルモン、ビタミンDを作る材料として必要な栄養素なのです。

またコレステロールは肝臓で体重50kgの人では600〜650mg/日作られます。

HDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロール

肝臓でつくられたコレステロールは血液を通して全身の細胞に運ばれます。この時、脂質であるコレステロールは血液に溶けないので特殊なタンパク質(アポタンパク)と結合してリポタンパクとなって血中に溶け込みます。

HDLコレステロール:血管の壁などに溜まったコレステロールを肝臓に持ち帰る

LDLコレステロール:全身にコレステステロールを運び、不要なコレステロールは血管などに放置

したがってできるだけHDLコレステロールを増やし、LDLコレステロールを減らすが重要な課題となります。

ちなみに、オレイン酸、DHA、EPAにはHDLを下げずにLDLを下げる働きがあり、それらを多く含むオリーブ油(オレイン酸)や青魚(DHA、EPA)の摂取が推奨されています。

私の場合毎晩サバの水煮缶を1缶摂取しています。

卵の成分

それでは、卵黄の成分はどうなっているのでしょう。

Lサイズの卵1個あたりでは66kcal、 タンパク質2.81g、 脂質5.7g、炭水化物0.02g となっており、その割合は水分50%、 脂質30%、 タンパク質15%です。

さらに脂質の内訳としては、中性脂肪65〜70%、 リン脂質25〜30%、コレステロール5%となっています。

これから見ると卵に含まれるコレステロールは少ないように見えますが、量にすると210mg/個(50gの卵)となりやはり他の食品に比べると高い数値となっています。

また、このリン脂質の中の成分に神経伝達物質の材料の一つであるレシチンが多く含まれ、善玉コレステロールを増やしたり、血液中の中性脂肪を下げたりする働きがあるのです。

さらに卵のコレステロールは良質なので気にする必要はないとも言われています。

別の海外の大学の報告では、

「筋トレ後筋タンパク質の合成率を計測したところ、卵白だけ摂取したグループと全卵を摂取したグループでは、全卵を摂取したグループの方が筋タンパク質の合成率が高かった」

とあります。

その理由として、卵黄の栄養素が筋タンパク質の合成を促進したのではないかと結論付けています。ただし、高脂血症などの方は、要注意とも。

まとめ

卵のコレステロールに関しては、いろいろな機関の報告がありどれが正しいか現時点でははっきりしません。こういった話は結構時代とともに科学的エビデンスが変化していくものなので。

もちろんノースウエスト大学の報告は無視できるものではありませんが、1つ言えることはあります。

それは高齢者になるとタンパク質の摂取量・吸収量が減るので卵は1日1個は何らかの病気、例えば高脂血症などの疾患を除いて意識的に摂取すべきだと思います。

卵はリーズナブルな価格で入手でき、手軽に摂取することができるので高齢者にとっては必要なタンパク源だと思います。

また、筋トレやその他の日常的に運動をしている人にとっては1日全卵2、3個は全く問題ないのではと個人的に思っています。

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