筋トレ

思わず首を傾げてしまう高齢者のジムでの筋トレ

毎週ジムのフリーウエイトコーナーで筋トレをしているといろいろな人がきます。

常連から一見(初心者でその後姿を見なくなる)まで様々ですが、その中に高齢者のトレーニーも結構見かけます。

しかしどうもその筋トレは理にかなっていないように思えてならないのです。

ある高齢者の行き当たりばったりの筋トレ

60代後半と思われる白髪の高齢者は同じ時間帯にジムに来るので覚えています。少なくとも5、6年前から見かけています。以前は何をやっていたのかわかりませんが、ここ1年ほど前からときどきフリーウエイトでベンチプレスをやったりしています。

ベンチプレスは確か35kg〜40kgのバーベルで10回程度を2、3セット。そして5、6kgのダンベルを2個持ってスタンディングサイドレイズ(肩中部の筋トレ)や同じダンベルでグッドモーニング?かルーマニアンデッドリフト?のようなフォームで筋トレをやっていました。

さらに次に何やろうか迷っているようでベンチに片足を乗せてブルガリアンスクワット (自重)を10回程度。

これでおしまい。この間20分程度。汗の一つもかきません。

最近になって初めてフリーウエイトをやりたくなったのか。少なくとも5、6年前からジムにきていたのですからもっと早く筋トレをしていればもっと重いウエイトで今以上の筋肉発達が見込めたのにと思うのです。

あるいは私のように(原因不明の)腰痛など何らかの持病があってできなかったのかもしれません。

私は筋トレ歴8年目の65歳ですが50代後半になってから筋トレを始めたので最初は10kgのダンベルでさえ重く感じたのを今でも覚えています。全くの非力でした。

ベンチプレスもスクワットも40kgから始めましたが、その両方とも諸事情(スクワットは腰痛)によりすぐやめてダンベルに切り替えました。

いろいろ試してみて自分に向き不向きの種目があるとわかり、現在は全くバーベルを使用していません。

またその間あちこちの関節(両肩、左足首、右股関節、右腰、左手首)を筋トレで痛めて部位によっては1〜8ヶ月程満足な筋トレができない種目がありました。

そして現在も試行錯誤中ながら自分に適しているであろう種目に絞って筋トレをしています。

それも私の目標が短距離アスリートのような体形でどの山も駆けることができる脚力、体力をつけるためでした。

現在は『山を駆ける』目標から『動ける身体』に変えていますがアスリートのような体形を目指していることには変わりありません。

その視点からこの高齢者を見ると何のために筋トレをしているのか全くわかりません。

おそらく明確な目標などなく健康維持という感じです。

健康は誰しも望むことですからいいのですがもっと筋肉をつけたいとか筋力アップしたいとかそういう気持ちであればその筋トレ方法は間違っているのです。

もちろん人それぞれですから私が本人に向かって言うことではありません。所詮他人事で、私はジムでは誰とも口を聞かず黙々とトレーニングをしていますから。

私はトレーニング雑誌はもとより筋トレ動画などはほぼ毎日のように探してみています。この種目は自分に使えそうだ、今度試してみようとか、これは自分には合わないな、とかいろいろ考えるのです。

今日の筋トレメニューはすでにジムに到着する前に決まっています。

体調が悪いときは軽めのウエイトでセット数を増やして総負荷数を多くしようとか、今日は調子が良さそうなのでちょっとだけ重いウエイトでやってみようとか日々自分で考えます。それはトレーニーとして当たり前のことです。

筋トレをやりながらも本当に効いているのか片手、片脚だけ動かして空いている片手でその効かせたい部位(筋肉)を触って収縮程度を確認したりします。

この高齢者だけではなく筋トレをするほとんどの高齢者はそれをしていません。実際あまり考えていないのではないのでしょうか。

ただやっているだけとしか思えないのです。

そうであればとてももったいない話です。

残り少ない貴重な人生の中でジムで筋トレすること自体、非常に恵まれた環境下にいると私は思います。

また70歳になっても80歳になっても筋トレをすれば筋肉が増加することは科学的に実証されているのですから。

レッグエクステンション一つとっても

出典:くびれサーキット

例えば大腿四頭筋を鍛えるレッグエクステンションではほとんどの高齢者は軽めの重量でやっています。もちろんこれはこれで意味があります。

レッグエクステンションの基本フォームは足の爪先を反らせて脚をまっすぐ伸ばし切ることですから高重量ではとても難しいのです。

伸ばし切ることで大腿直筋が発達するのです。この大腿直筋は大腿四頭筋の中でも唯一膝下まで伸びる二関節筋です。この筋肉はスクワットではなかなか発達しません。

したがって大腿直筋を鍛えるためにレッグエクステンションをするトレーニーもいます。

その場合は膝を伸ばし切ることが大切で太ももの付け根から脚を上げシートから太腿が離れるほど脚を上げなければ大腿直筋は効きにくいのです。

したがって重い重量ではできず軽めの重量になります。

しかしその軽めの重量でも膝を伸ばし切らないでやっている人がほとんどです。

つまりどこを鍛えているのか、どの部位を鍛えたいのか知らないまま脚の上げ下げをしているのです。

ある程度の重量で膝を伸ばし切らないでやると私のように膝上の筋肉ばかり発達してしまうのです。

私は右膝の変形性関節症になって以来リハビリの一環でレッグエクステンションを採用してきましたがだんだんそのやり方がわかってきました。

上記はちょっと自戒をこめての発言です。

参考記事:『高齢者の下半身の筋肉減少と膝痛とレッグエクステンション

一方で筋トレのベテランと思しき高齢者もいます。

高重量で筋トレをするベテラン高齢者たち

以前ブログでも書きましたが(私からみて)高重量で筋トレをする高齢者も何人かいます。

ひとりは60代後半で小柄な男性なのですが20〜38kgのダンベルでベンチプレスをやっています。すべてパーシャルリフティングで可動域が狭いのですがもうそれが板についていると言っていい安定したフォームです。

懸垂もバーベルバーを使ってバーが胸につくまで体を反って広背筋に効かせています。もう上級者ですね。ディップスも板についており胸を反らせるフォームではなく背中を丸めるやり方でやっています。しかも20kgのプレートをぶら下げて。

ロッカー室で背中の広背筋がくっきりでていた人がいて誰だろうと思ったらこの人でした。もちろん大胸筋もくっきり。

次は懸垂バーにぶら下がって両脚を懸垂バーまで上げる腹筋運動を連続20回ほどやっていた70代前半らしき高齢者もいました。小柄で一見病弱そうな色白の人です。

この人はベンチプレスも以前90kg程度挙上していたのを見かけました。

最後の一人は70代前半の亀仙人のような人で若かりし頃はボディビルダーのような体形だっただろうなと思うほど筋肉が発達しています。

同じ高齢者でもいろいろですね。

終わりに

夢中になってできることを持っている人は幸せです。

私は少し前まで筋トレと登山に夢中でしたが登山で右膝を痛めてからモチベーションが少しダウン。しかし「やりすぎないように」と何らかの啓示とこれを受け止めています。

せっかく筋トレをしにきているのに考えなしに筋トレをするのはもったいないことです。

特に高齢者には残された時間は若者より限られているのですから。

何か夢中になれるものがないのであれば筋トレをしてみましょう。

自分の身体が以前より引き締まり筋肉がつくことは快感です。

私は登山にハマってから半年後に筋トレをやるようになり、今では登山より筋トレにハマっています。

筋トレをするようになって登山でも登りが楽になり下山時に腸脛靭帯炎になることがなくなりいつも息が上がる場所でも上がらなくなり心肺機能もアップしたと実感しています。

残念ながらその登山で調子の乗って下山時に走るようになり右膝の半月板を損傷してしまいましたが。

それでもそのリハビリで食わず嫌いだったマシントレを下半身の筋トレに採用してからまたかなり回復してきたのです。やっぱり『きっかけ』と言うのは大事です。

でもその『きっかけ』は何かをしなければ出会わないのです。

1年、2年ではなく5年、10年と黙々と何かをしていると何らかの化学反応が起こるのです。

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