私は平日週3回筋トレ60分、その後トレッドミル30-40分。山へ行かない週末1回トレッドミルのみ120分を実践しています。トレッドミルは最大傾斜15%でウォーキング(平均5km/h)です。
筋トレをしていると、有酸素運動は筋肉を減らすという話はよく聞きます。一方で日常ランニングのみをしている人は、有酸素運動で筋肉は落ちないという人もいます。
どうも、筋トレのトレーニーとランナーは、筋肉の合成・分解に関してそれぞれ異なった考えを持っているようです。
それでは、実際のところ有酸素運動で筋肉は落ちるのでしょうか。
目次
走行距離の長いランニングは、筋肉合成を促進するテストステロン(男性ホルモン)の量を低下させるので、筋肉量を減らす
市民ランナーの世界では月間走行距離が200kmを超えると怪我の頻度が急上昇すると言われています。その理由としてテストステロンの分泌量の低下が原因と言われています。あるテストでは45-55歳のランナーをテストすると月間100kmまではテストステロンが増加し、120kmから減少し、200kmでは大きく減少するという結果になっています。シニアの市民ランナーは月間120km程度に抑えておいた方が良いのもしれません。もちろん、これも個人差はありますが。
テストステロンの減少による症状:心筋梗塞、脳血管疾患、頭痛、不眠、意欲の低下など
長期間の有酸素運動では、速筋が遅筋化し、筋肉量が落ちる
筋肉には大きく分けで速筋と遅筋があります。(それ以外にもピンク筋と言われる速筋と遅筋の両方の機能を持つ中間筋があります。)
速筋は、瞬発力に優れ筋肉肥大しますが、遅筋は持久力に優れ筋肉肥大はしません。したがって、遅筋が発達し速筋が退化する長期間の有酸素運動は筋肉量が落ちてきます。
短距離ランナーとマラソンランナーの体型を思い浮かべてください。下半身は、マラソンランナーもある程度発達していますが、上半身はガリガリで、下半身に比べて負荷のかからない上半身の筋肉が特に落ちてきます。つまり、上半身と下半身の筋肉のバランスが取れていないのです。
しかし、有酸素運動と筋トレを併用する場合は、この限りではありません。
また、筋肉量が落ちることで当然のことながら基礎代謝が落ちてきます。
筋トレ後直後の有酸素運動は、タンパク質合成を阻害する
筋トレ後少なくとも6時間はタンパク質合成作用が持続しますが、筋トレ後直ぐ有酸素運動をするとこれを阻害してしまいます。
筋肉は、毎日分解と合成を繰り返している
人体のすべての細胞は日々分解と再生を繰り返しています。その理由は、人体のそれぞれの機能維持のために細胞を交換するのです。つまり、新陳代謝の一環です。
そのため筋トレや有酸素運動をしてもしなくても筋肉は日々分解(異化)と合成(同化)を繰り返しているのです。
しかし、ハードな筋トレや有酸素運動を続けてオーバーワークとなると異化>同化となって筋肉が減少してしまいます。
したがって、筋トレでは筋肉は分解し、栄養を補給し休息をとることで回復し筋肉が少しずつ増加し肥大していくのです。
有酸素運動は、特に運動後糖質の補給が必要です。
体重が減ると筋肉量も減る
ダイエットに限らず体重が減ると脂肪だけでなく筋肉も減ります。そのため筋肉をできるだけ落とさないようにするためにライザップのように、低糖質、低脂質、高タンパク質の食事と共に筋トレをするわけです。
栄養不足で筋肉が落ちる
「適度な」有酸素運動をしてもきちんと栄養補給をしていれば、基本的に筋肉は落ちません。しかし、過度なカロリー制限をすると有酸素運動の有無にかかわらず脂肪と同様に筋肉も落ちてきます。
糖新生は日常的に起こる
体内の糖質が不足すると体内の脂質やタンパク質を分解して糖質(ブドウ糖)を作ることを一般に「糖新生」と言います。
別の言い方をすると「血糖を維持するために肝臓が糖以外の物質から糖を合成すること」です。
糖新生の材料は、乳酸、ピルビン酸、アミノ酸、グリセロールなどです。
タンパク質は筋肉の材料ですので、この筋肉を分解して糖質に変換します。
しかし、糖新生は、人が飢餓状態になった時にのみ行われると言う人もいますが、実際には糖新生は、日常的に行われています。
高強度の筋トレのエネルギー消費順位
高強度のパワーや瞬発力を要する 運動では、次の順番または同時にエネルギーを産生します。
1.筋グリコーゲンを分解してブドウ糖を作る
体内には肝臓と骨格筋にグリコーゲンがそれぞれ成人で100-120g、300g程度貯蔵されています。この数量も個人差があり、かつ食事内容(カーボローディング)で増加することが可能です。
ただし、肝臓のグリコーゲンは主に脳、内臓、血糖の維持のために使用されます。
2.血液中のブドウ糖
肝グリコーゲンで血糖を維持しています。一般に血中には10-15gのブドウ糖があると言われています。
3.血中アミノ酸を窒素代謝させてブドウ糖を合成する
肝グリコーゲンは、肝臓で血中アミノ酸から糖新生が始まり血糖が維持される限り枯渇することがありません。
4.筋肉のアミノ酸を材料に窒素代謝させてブドウ糖を合成する
肝グリコーゲンで血糖を維持できなくなると筋肉の異化(分解)が起こります。
有酸素運動では、上記以外に血中の遊離脂肪酸、筋肉の中性脂肪もエネルギー源となります。
体内のグリコーゲンはどの程度の運動で枯渇するのか
上記より筋グリーコーゲンは300g、肝グリコーゲンを120g、血中のブドウ糖を15gとすると、全部で435gの糖質です。糖質のエネルギーは4kcal/gですから435×4=1740kcalとなります。
これを下記の運動に換算(METs)すると、体重60kgの人の場合
ランニング(8km/h)で4時間弱、筋トレで5.5時間となります。
しかし、ランニングは、有酸素運動ですので上記のグリコーゲン以外にも脂質をエネルギー源にするのでグリコーゲンが枯渇する時間は筋トレよりももっと長い時間になります。
それに比べて、筋トレは無酸素運動ですのでエネルギー源は糖質のみとなり、十分な栄誉補給を怠ると有酸素運動より早く筋肉が分解してしまいます。
飢餓状態になると、体内に貯蔵されたグリコーゲンは1日で枯渇し、脂質、タンパク質が分解され1週間で2kgの筋肉が喪失すると言われています。
ダイエットしたいのであれば、食事制限、有酸素運動、筋トレの順
ダイエットしたいのであれば、基本は食事制限ですが、有酸素運動と筋トレでは有酸素運動のほうがはるかにエネルギー(カロリー)を消費します。カロリー消費目的で筋トレをするのはあまり意味がありません。
しかし、最も最良のダイエット方法は、上記の組み合わせです。食事制限と有酸素運動で半分ずつカロリーを消費させ、筋トレで筋肉量が減るのを抑制します。
この時、食事制限では、糖質制限がメインとなりますが、タンパク質は多めに摂取(1.5-2g/体重kg/日)しましょう。肉では鶏肉の胸肉、ささみがいいでしょう。
肉・魚が苦手であれば、砂糖なしのプレーンギリシャヨーグルトやチーズ・卵・納豆などを摂取しましょう。オイコスの上記ヨーグルトには1カップ(110g)中に11.7gのタンパク質が含まれています。(高タンパク質のギリシャヨーグルトを参照願います。)
また、ダイエットは継続しなければ意味がありません。ダイエット後にも減量を維持できるかどうかを考慮する必要があります。そうでなければ、「リバウンド」が起こります。
まとめ
- 体重が減ると脂肪以外にも筋肉が減る
- 筋肉は新陳代謝の一環で毎日分解・合成を繰り返している
- 月間走行距離200kmを超えるとテストステロンの分泌量が落ち、筋肉が落ち、ケガ発生率が急上昇する
- シニアは月間走行距離120kmまでに抑える
- 筋トレ後6時間はタンパク質合成作用が続く
- 筋トレ後6時間以内の有酸素運動は、筋肉合成を阻害する
- 長期にわたる有酸素運動は遅筋が発達、速筋が退化し筋肉量が落ちる
- 体内のグリコーゲンは筋トレの場合、数時間で枯渇する
- 栄養不足・運動不足で筋肉は落ちる
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