日本社会も健康ブームが定着し、トレーニングジムはどこも盛況です。
しかし、筋トレは長続きしない人が多いようです。私が通っているジムでも何にもの新顔さんが来ては消えています。もちろんジムで他のトレーニング、例えば、エアロビ、トレッドミル、プールなどでエクササイズをしているのかもしれませんが。
例えば、ジョギングをする人は、筋トレをする人よりも多いでしょう。しかし、そのジョギングも継続している人は多くはいません。
さらに、どちらも嫌い(苦手)なは人はジョギング好き、筋トレ好きよりはるかにたくさんいるでしょう。
つまり、嫌いな順に、筋トレ>ジョギング>運動 となっています。
ヒトは健康でありたいと思っているのになぜ筋トレやジョギングなどの運動が苦手なのでしょうか。
以下は、ある進化生物学者の考えをもとにしています。
ヒトは700万年前にチンパンジーと共通祖先から分岐し独自に進化し二足歩行になりました。
そして200万年前の旧石器時代から狩猟をメインにした生活を送るようになりました。
狩猟中心生活では、獲物を獲得するために爪も牙もないヒトは、石を投げたり槍や斧などの武器を作って長時間走ったり歩いたりしてして追い込みをかけていたのです。
そのため、ヒトのアキレス腱は長くなり、大臀筋などが発達しました。また、長時間は走ったりするために体温が上昇するので発汗調整をするために体毛も短くなったり、なくなったりしたのです。
その移動距離は15km/日とも言われ、現代人の消費カロリーの2倍ありましたが、その摂取カロリーは少なく2600-3000kcal程度。つまり、獲物がないと常に消費カロリー>摂取カロリーの状態が続くわけです。
当然、獲物が捕れず消費カロリー>摂取カロリーになると消費カロリーを抑えようとしてきます。
しかし、エネルギーを補給しなければなりませんのでそのエネルギー源として筋肉を分解してタンパク質から糖質(ブドウ糖)を作るようになります。つまり、「糖新生」をするわけです。「有酸素運動は筋肉を落とすというのは本当か」を参照願います。
これは基本的に肉食動物である猫も日常糖新生を行っています。
この結果、筋肉量は少なくなって基礎代謝量も落ちてエネルギー消費が抑えられることになります。
ホメオスタシス(外界の変化に対して、体内環境を安定した状態に維持しようとする仕組み。恒常性。)が働いていたのです。
彼らにとって生存するためには、
- 子孫繁栄(生殖活動)
- 狩猟(食物獲得)
- 肉食獣からの逃避
が生活の優先事項になり、それ以外の時は「休息」の時間となるのです。
つまり、休息は彼らの生活にとって生きるために非常に重要な時間なのです。
その後1万年前から農耕時代に入ってても、上記の記憶は長く残り、必要最低限の動きしかしないような「記憶」が出来上がってきます。
つまり、食物獲得のためでもない筋トレやジョギングなどは全くのエネルギーの無駄使いというわけです。
この記憶が未だに現代のヒトにも残っているので「家の中でゴロゴロ」したがるわけです。
以上が進化生物学者のザクッとした話ですが、筋トレをしている私としては、エネルギーの無駄遣いと言われるとなんとなくしっくりこないような気もしますが、そう思っている人もたくさんいるでしょう。
しかし、1万年前に農耕生活に変わっても同じような記憶が続いているということは、今生きているヒトは後世のヒトに「記憶(本能)として残るような」どんな影響も与えられることがないような気もしてきます。
確か私の記憶では1995年にウインドウズ95ができて以来ネット時代と言われていますが、これはヒトの記憶、本能にどれだけ影響を及ぼすのでしょうか。
運動不足による様々な病気(糖尿病、心臓疾患、動脈硬化、高血圧など)を引き起こしている現代。
現代のヒトは、石器時代のヒトよりは運動が必要なことは間違いのないことです。
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