アイキャッチ画像:朝日新聞
ロシアのウクライナ侵略はまだ続いています。連日のテレビ報道やネット記事を見ているといたましくて気持ちが落ち着きません。
こういうときは一旦これ関連の情報をシャットアウトするのが一番精神衛生上いいと分かっているのですが、目を背けることはなかなかできません。
侵略者ロシアのプーチンに対して欧米や日本が経済制裁を強めていますがどこまでそれが効果があるは分かりません。
またブーメラン効果で欧米や日本にも跳ね返ってくることは必至です。
ロシアへの経済制裁は日本にも跳ね返る
特にロシアの天然ガスに頼っている国は多くヨーロッパでは脱原発政策を打ち出しているドイツなどはその筆頭でしょう。
しかもロシアとドイツ間の天然ガスパイプラインは完成しておりあとはドイツの承認を待つまでだったのでドイツ人生活への打撃が大きいと思います。
ロシアもこのパイプライン施設に1兆円を超える投資をしているのです。
日本もサハリンIIプロジェクトでロシアの液化天然ガス(LNG)を輸入しています。これには三菱商事と三井物産が資本参加していますがプラント運営のイギリス石油大手のシェルが撤退を決めたので今後どうするか問題になっています。
サハリンIIから輸入するLNGは日本全体のLNGから見ると6〜7%程度ですが痛手であることは間違いありません。
日本政府が撤退を決めるとこのLNGは中国に向かう可能性があります。
石油・ガスは電力エネルギーになるので電気・ガス代を数ヶ月後には値上げになるでしょう。
小麦なども値上げするでしょうからそれらの加工食品なども連鎖を受けれ値上げするでしょう。
ただでさえ日本は生産効率の悪さなどから経済成長ができず世界から取り残されてきている上に今現在このコロナ禍で経済に打撃を受けているのです。
この上さらにロシア・ウクライナ戦争で経済に打撃を受けると今年も日本経済はガタガタです。
ウクライナと中国の関係
旧ソ連時代ウクライナ東部はソ連の一大軍事産業の地域でした。
ソ連製軍事製品の部品を数多く生産していたのでソ連崩壊後ソ連は独立したウクライナから部品を購入しなければなりませんでした。
そのためロシアは自国内で製造を始めたのです。
中国はソ連の科学技術・軍事技術が欲しかったのですが下記に述べるように中国がソ連にとって脅威になることを防ぐためにも中程度の技術を供給するだけでした。
ところがソ連崩壊後ウクライナは自力で生きるためにソ連時代の軍事技術を他国に売りつけるビジネスを始めたのです。
そこに目をつけた中国はウクライナに接近しロシアの軍事技術を横流ししてもらっていたのです。
ウクライナも中国から経済援助を受けお互いにウィン・ウィンの関係だったわけです。
それをロシアがウクライナ侵略を始めたのですから中国は正直面白くはないはずです。
しかし表向きはロシアと仲の良い関係を保っています。
それはロシアも中国も反米で一致しているからです。
ロシアとロシアを擁護する中国の関係
ロシアにとってもこれらの経済制裁はある程度想定済みだったでしょうし、今までも経済制裁を受けていたのでロシア経済もその耐性ができているでしょう。
唯一の救いは中国がウクライナ侵略を表向き容認していることです。
ロシアと中国はもともと国境問題で犬猿の仲だったのですが50%-50%で分けるということで決着して以来一応表向き仲直りということになっています。
特にろくな産業がなく天然資源と武器輸出で歳入の半分を超えてしまう貧困国家のロシアは今やGNP世界2位の経済大国になった中国に頼るほかないのです。
中国はロシア・中国間のみならずドイツやイギリスまでつなぐというユーラシア大陸を横断する鉄道網を完成しつつあります。
中国としては鉄道開通は世界へ中国鉄道技術のアピールになりロシアとしても自国内のインフラ整としても有益と思っていたのでした。
また経済成長するために産業エネルギーを大量に必要とし中国国内だけの資源では到底足りません。
隣国ロシアにある石油や天然ガスは中国にとって大変魅力的なのです。
さらに反米で軍事力を一層高めたい中国としては同じ反米のロシアの軍事技術は宝の山。
その結果人工衛星からジェット戦闘機、空母までロシアから高額で技術提供を受けたり購入。
またロシアとしても中国は大のお得意様なのです。
ロシアと中国は仮面夫婦の関係
ロシアと中国は反米ということでは同じ船に乗っています。
しかしロシアにとって中国は信用できる国ではありません。
先の鉄道網でもロシアと協議した当初の計画ルートからは外れロシアの主要都市を通らず中国に都合のいい場所を通過するという始末。
しかも鉄道網を敷いても主要駅間ではレール幅が異なりその度に列車を乗り換えなければならないという不便さ。
さらに鉄道は船よりも早いのですが運賃がかかり、飛行機より安価ですがスピードが遅く中国・ロシア経由ヨーロッパでは利用率があってもその逆コースではかなり低い利用率になってしまっているのです。
また軍事技術提供に関しても技術提供を受けたり購入したりしたものは当然秘密保持契約があるのですが中国はなんでもコピーし完成品をパキスタンなど他国にロシアより安価に売るつけているのです。
これは武器輸出が地下資源とともに2大産業となっているロシアからするととんでもない話であり許容しがたいものがあるのです。
何度も中国にクレームをつけるのですが中国のやり方が変わりません。
なめられていますね、ロシアは。
しかし中国を怒らせるとインフラの共同開発などの経済援助を受けることができなくなる危惧を持っています。
ただでさえ味方のいない貧困なロシアです。
中国が巨大になりすぎるとロシアの領土も脅かされかねません。そうなったらウクライナどころではないのです。そのため非常に警戒心を持って中国と接しているのです。
それでも中国を突き放したくてもできないでいるのです。
中国としても同じ反米で大国のロシアはまだ利用価値があるのです。
したがってロシアと中国は仮面夫婦のようなものなのです。表向きは結構して仲が良さそうに見えても家庭内では寒風が吹いている関係です。
にこやかに話していてもテーブルの下では足の蹴り合いをしているのです。
同床異夢です。
悲しい関係です。
仕方がありません。世界の嫌われ者どうしですから。
終わりに
ロシアと中国はどちらも独裁者が支配している国です。
プーチンに習近平。
どちらも頭の中の妄想を実現しようとしています。
現実と妄想の区別がつかなくなってきているのです。
誰が罰を与えるのでしょうか。
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