まだ5月というのに暑い日が続いています。地獄の灼熱低山登山にはまだ時期尚早で今のうちに登山しておこうと思っている人もいるのではないでしょうか。
そんな中、先のGW中に奥多摩(東京都)の大岳山(1,266m)でまた滑落事故死がありました。
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昨年に次いで奥多摩の大岳山で高齢者の滑落事故死がありました
山頂付近からかなと思っているとどうも大岳山荘付近のようです。大岳山荘(現在改築中)は大岳山山頂の下方にあり御岳山へ行くルートの分岐点にも位置します。
大岳山へ登る途中で滑落したのか下山して御岳山へ向かう途中で滑落したのかわかりません。想像するに登りより下山時の方が事故が多いので下山中だったのかもしれません。
登山道は前日の雨でぬかるんでいたとはいえあのあたりはそんなに狭くて危険な登山道ではないはずなのですが。
目撃者の証言では滑落した人は高齢の男性で数10メートル滑落し顔面から出血していたそうです。
昨年も大岳山付近で滑落死亡事故がありました。私は大岳山はもう10回以上登っていますが一般ルートを歩く限りそんなに危険などころはないあるいは少ないはずです。
あるとすれば御岳山方面の大岳山直下の岩場が危険箇所になります。特に冬期で路面がアイスバーンになっている時は滑りやすく危険です。そのため私は寒冷期には大岳山には行きません。
ちょっとした油断だったのか突然気分が悪くなってしまったのかはもはや不明ですが、下山時は登りで体力、脚力を消耗するので自分が思っている以上脚が思うように上がらない時があります。特に登山をする高齢者は自分の体力を過剰に信じている傾向があります。
先述の通り登山での事故は登りより下山時の方が圧倒的に多いのです。
脚の筋力は登りより下りの方が使うことは案外知られていません。
そのため登りでは主にハムストリングス(後ろ太もも)と大臀筋、下りでは大腿四頭筋(前太もも)を使い、その使い分けによって筋肉疲労を分散させるのが登山するうえのコツ(常識)となっています。
怖いですね。
私も高齢者の部類に入り100%ソロ登山なので今現在の自分の脚力、体調は大丈夫かと確認してから行きますが、体調は毎日同じというわけではなく日々異なるものなので当日登り始めて今日はちょっと体調が悪いなと気づく場合もあります。したがって予めそういう場合も考慮してエスケープルートを確保しておくようにしています。
登山にも筋トレは必要
登山をしているので脚力は問題ないと思っている人もまだいるのではないでしょうか。しかし、登山では一定の筋力はつきますがジムトレのように漸進的に重量アップをしない限り筋力維持が精一杯で加齢によりさらに筋肉の減少がしてしまいます。
そのことを理解できていない高齢の登山客が多いのです。高齢になっても登山を楽しむためには筋トレは必須です。
私は登山を初めてまもなく左膝が腸脛靭帯炎になりそれを克服するために下半身を鍛えるべく筋トレを始めました。以来10年が経ち私の中年期よりもはるかに体力がつき見た目の体全身もかなり変化しました。
登山に向いた筋トレ種目
登山に向いた筋トレには下半身では
・ブルカリアンスクワット
両脚を前後に広げ後ろ足をベンチに預けてそのフォームによって前脚の大腿四頭筋かハムストリングス・大臀筋を鍛えるエクササイズです。
・スプリットスクワット
ブルガリアンスクワットがまだ難しいという人のために両脚を前後に広げそのままスクワットをするエクササイズです。ベンチは使いません。
・ウォーキングランジ
大股でゆっくり歩きながら後ろ脚の膝が床につきそうになるくらい腰を落としながら歩行するエクササイズです。
が向いています。
慣れてきたら両手にダンベルを持ったり重りを入れたリュックを背負ったりして少しずつ加重していきましょう。
そのほかフロントランジやバックランジもありますが(鍛えようとする)片脚にかかる時間が一瞬で脚に重量(体重)がかかる負荷が小さくなるのでその効果は限定的です。
私はもともと体が硬かったのですが経年劣化のせいか特に右股関節が痛むようになり詰まり感が出てきました。特に昨年晩秋・初冬に4週間連続して登山をしさらにその間週2回ジムで脚トレをしていたので股関節周囲の筋肉が炎症を起こし右尻痛になり一時は歩行時にも困難を伴いました。
色々調べるとどうも股関節のインナーマッスルである外旋六筋が炎症しているらしいとわかってきました。
梨状筋症候群
外旋六筋のなかに梨状筋という筋肉があります。その筋肉の下に坐骨神経が通っており梨状筋が硬くなるとその神経を圧迫して痛みがでるのが梨状筋症候群です。
坐骨神経痛と非常に似ているのですが坐骨神経痛は痛みとともにお尻からハムストレングス、ふくらはぎ、足先までの痺れを伴う場合が多いのに比べて梨状筋症候群はお尻からハムストリングスにかけての痛みや痺れという少し痛みが限定的な場合が多いのが特徴です。(私のように痺れがない場合もあります。)
外旋六筋の働き

外旋六筋は言葉通り股関節を外旋させる作用があります。脚を外側に回したり歩行時の股関節の安定に寄与します。
特にスポーツにおける方向転換、姿勢やバランスの維持に重要な役目をします。

私の場合、特に外旋六筋のなかで一番大きい筋肉である梨状筋がオーバーユースで硬くなっているのではないか推測しています。
この筋肉が炎症を起こすとその下を通る坐骨神経を圧迫するので坐骨神経痛となる場合があります。
私はその症状特有のお尻から太もも、ふくらはぎ、足先までの痺れはないのでおそらく「梨状筋症候群」だと思いますが、これが慢性化すると問題です。
梨状筋症候群のなりやすい人
この部位に筋肉痛(炎症)を起こす人は
・よく走る人(マラソン、サッカーなど)
・よく歩く人
・登山をする人
・長時間座りっぱなしの人
・運動不足の人
に多いと言われています。いわゆる過剰にこの部位の筋肉を使う人か逆にあまり使わない人に多発するということ。
私の場合は登山だけなら梨状筋は痛めなかったのでしょう。
登山、筋トレ、トレッドミル、(喫茶店での)長時間の座りっぱなし、加齢による身体機能の低下が複合的に働いたのだと思います。
やはり同時進行でジムでの脚トレ(週2回)とトレッドミルでの傾斜ウォーキング(週3回)は今思うとやりすぎでした。
そのため現在はトレッドミルでの傾斜ウォーキングを封印しています。おかげで股関節周囲、特に腰部の硬さや重さが少しなくなってきました。
またトレッドミルは脚力トレーニングと脂肪燃焼の2つの目的で行っていましたが、少なくとも脂肪燃焼効果はもうなくなったと自覚しました。なぜなら傾斜ウォーキングをやめても体重、ウエストに変化はないからです。
それに気づかずずっと惰性のことく傾斜ウォーキングしていたわけです。やはり筋トレを初めて1年くらいまでが一番体形に変化がありました。筋トレを始めた当初は筋トレ後50分程度最大傾斜15%@3.5km/hで息も絶え絶えのウォーキングで体重もウエストも減少し明らかに体脂肪が減少しました。
しかしそれは筋肉がついたというよりも体脂肪、特に内臓脂肪が劇的に落ちたのです。またこの当時はトレッドミルをやっているときは体臭が非常に臭かったのを覚えています。
この筋トレ後の息も絶え絶えの傾斜ウォーキングは当時の私にとっては高強度トレーニングだったのかもしません。当時は筋トレも肩で息をしていました。本当に体力が全然なかった時代でした。
軽い汗を各程度の有酸素運動を長時間すると効率よく脂肪が燃焼すると言われていますが現在では高強度トレーニングをするとより体脂肪が燃焼すると言われています。高強度トレーニングとはヒート(HIIT)トレーニングで有酸素運動と筋力トレーニングを交互に短時間で行うエクササイズです。
私の現在の有酸素運動は主にジムと駅間の往復徒歩、地元駅の一駅前からの徒歩帰宅と月2回程度(天候と体調により一定ではありません)の登山です。
今のところこれで十分なのではと思っています。
梨状筋の痛みの解消法
また梨状筋の痛み解消には股関節周りのストレッチしかなさそうです。
いろいろな動画が出ていますのでそれを参考にしてください。
著書では中野ジェームズ修一の「すごい股関節」に参考になる股関節周りのストレッチ方法が出ています。本屋のスポーツコーナーの棚にあります。
終わりに
大岳山付近でまた滑落事故死が起きたのは少なからずショックです。この高齢男性は普段の脚トレは登山だけだったのでしょうか。
登山愛好家も自分は山で鍛えているから何も筋トレをする必要がないと思っている方もまだまだ多いと思います。
しかしそれは間違いです。加齢に慣ればなるほど下半身の筋肉量の減少は顕著でジムや自宅での筋トレは必須です。登山だけでは下半身の筋肉の減少を止めることは不可能です。
私が登山をするにあたって非常に効果的と思った筋トレはブルガリアンスクワットです。特に登り時に片脚で体を持ち上げる力はこのブルガリアンスクワットでつきました。
ただし、登山にしろジョギングにしろ、筋トレにしろオーバーユースになると体のあちこちで不具合を起こすので無理は禁物です。特に高齢者は自分の身体を過信することは止めましょう。つい自分の若い頃のままの思考(そして願望)が支配してしまい「自分はまだまだ若い!」なんて思っていると落とし穴にハマってしまいます。
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